足底腱膜断裂(走っていて、急に足の裏が痛む!)

前のページで、足底腱膜炎についてお話しましたが、
ここでは、足底腱膜が断裂してしまった例について御紹介します。

こういう症例はまれで、足底腱膜断裂はスポーツによる足底腱膜にかかる1回の外力によって起こります。

ダッシュをするとか、強く蹴りだすとか、足の裏に強い衝撃がかかるときに生じます。

痛みの出る部位は足底腱膜炎と似ていますが、歩くことも困難なぐらい痛みが強かったり、
見た目に腫れているという症状が見られるので、腱が断裂しているとすぐに判断できます。

このページでは、足底腱膜断裂について詳しくご説明させていただき、
どのようにスポーツ復帰へのプラン立てをしていけば良いのかなど、実際の症例も併せて覧いただきます。

足底腱膜断裂とは?

足底腱膜断裂とは、 強く足底腱膜が緊張して、引きのばされると、踵骨に近いところで腱膜が断裂します。

以下の図は、足底腱膜断裂のイメージ図です。

強い1回の外力で起こるので、受傷したときは痛みのため、正常な歩行が困難となります。

足底腱膜断裂の診断

足底腱膜断裂かどうかは、外観やエコー画像で診断することができます。

まず、外観では以下の図のように足底部に皮下出血が見られることが特徴的です。

また、足底腱膜断裂が生じていれば、以下の動画のように、母趾を背屈させ、

足底腱膜を緊張させても、レリーフ(浮き彫り)が確認できません。

https://www.youtube.com/embed/jMZQW_h9q-k

これは足の巻き上げ現象(windlass 機構)といい、
足底腱膜が断裂していなければ、以下の図のようにMTP関節が背屈すると、
足底腱膜が緊張し、足の立てアーチが増加します。

足底腱膜断裂が生じると、これらの構造は破綻し、正常な歩行ができなくなり、歩行で痛みを伴います。

さらに、診断の一助となるのが、軟部組織を観察するのに優れているエコー検査です。

足底腱膜断裂のエコー画像は、以下のように描出されます。

以下で、実際の症例をご紹介したいと思います。

48歳の女性です。

左踵の痛みを訴えて来院されました。

17日前、マラソンをしていて、急に痛みが出現したそうです。

6日前に、再び走ってみたそうですが、痛みが強かったそうです。

左の写真は、初診時の外観です。

赤色矢印で示した部分に皮下出血が見られます。

左のレントゲン画像は初診時のものです。

痛みを訴えている踵の骨などには特に異常は見られませんでした。

左の写真は初診時のエコー画像です。

赤色矢印で示しているのが足底腱膜です。

痛みを訴えている足底腱膜の部位に
黄色矢印で示した低エコー像が認められました。

以上の所見より、足底腱膜断裂と診断し、
スポーツ中止を行いました。

スポーツまでの復帰プランは、上のプロトコルで示した通りです。
ジョギングを開始する頃には、足底腱膜をサポートする目的で縦アーチの足底板を処方しました。

左のエコー画像は初診時より1ヶ月後のものです。

足底腱膜周囲に見られた血腫とみられる
低エコー像は消失していたため、
この時点から徐々にジョギングを開始していただきました。

およそ初診より2ヶ月で、マラソンに復帰できました。

15歳の男性、陸上部の短距離選手です。

練習時にダッシュしたときに激しい痛みのため、
転倒し、その後走れなくなりました。

歩くことも困難で、痛みが強くなかなか引かないので、
接骨院からの紹介で御来院になりました。

右足と左足の裏を親指を曲げた状態にすると、
怪我をした左足の足底腱膜には緊張が見られないので、
切れているということがわかりました。

左右の矢印の先のにある腱膜の緊張具合を比べてみてください。

足の裏を体重をかけた状態で見てみると、
左足の土ふまずが幅が広くなって、
平ら気味になっていることが分かります。

ということは、体重をかけた状態で足底腱膜に緊張が無いので、
ダッシュのような動きは頭底できません。

エコー検査をすると、左足の赤丸で囲んだ足底腱膜は、
緊張を失って途切れていることが分かります。

良い方の右足のエコーは足底腱膜に、
一連のつながりが見えていることが分かります。

今度はMRIを撮って、病状を詳しくみてみると、
足を横側から撮ったMRIの映像で、
白く写った足底腱膜の一部が赤色矢印の先に示された部分で
断裂しているのが分かります。

今度は足の裏側をMRIでみてみると、
切れた部分で腱が細く写り(赤色矢印の先の部分)、
部分的に断裂したことが分かります。

この方は、手術をして、断裂部分を縫合しました。

その後、しばらくギプス固定をして、足底板も利用しながら、
リハビリは紹介していただいた整骨院で行っていただきました。

術後2ヵ月後の状態の写真です。

腫脹も無く、足底腱膜にも張りが出ていることが分かります。
(赤色矢印の先で示された部分。)

さらに、親指を曲げてみると、
足底筋膜にさらにはっきりと緊張が見られることが分かりました。
(赤色矢印の先で示されている部分。)

症状を聞いてみますと、疾走時の痛みも無く、
術後2ヶ月で完全にスポーツ復帰ができました。

スポーツ時に、足の裏が急に痛くなった場合、
もし、足底腱膜断裂であるときには、足の裏に内出血が見られるので、すぐにわかります。

そういった場合には、早く足の専門医にご相談ください!

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