頚椎圧迫骨折 (頚椎骨脆弱性骨折)

脊椎の骨粗鬆症性圧迫骨折は、

胸椎や腰椎で見られることが多いのですが、
まれに、

頚椎部でも圧迫骨折(骨脆弱性骨折)

がおこる場合もあります。

今回このページでは、

実際に頚椎圧迫骨折が生じた

実際の患者さんの症例をご紹介したいと思います。

脊椎とは?

脊椎は椎骨が積み木のように重なり、構成されています。

全部で24個の椎骨から構成されており、

頚椎は上から7つ目までの椎骨を指します。

脊椎は体の姿勢を保持するため

適度なS字のカーブを描いており、

これを「生理的弯曲」と言います。

以下の図は、脊椎のイメージ図です。

生理的弯曲は頚椎と腰椎の部分で前弯を形成しています。

この生理的弯曲は脊柱のクッションの役割を担っています。

頚椎のレントゲン画像

頚椎は以下のようにレントゲン画像では見えます。

正常な首のレントゲン画像では、

頚椎の前弯が見られ、

椎骨の形がはっきり確認できます。

しかし、頚椎圧迫骨折のレントゲン画像では、

赤色矢印で示した椎骨が圧潰することによって、

生理的弯曲が消失し、後弯変形が見られます。

外観では猪首のように、

首が短縮し、後弯変形しているのもわかります。

治療は?

痛みが強い場合などは、

頚椎カラーなどで除痛を図ります。

根本的には、骨粗鬆症の投薬治療が大切です。

頚椎圧迫骨折は非常にまれな疾患です。

原因としては、

骨代謝が低下する骨粗鬆症が基盤となって椎体が崩れてしまうのですが、
骨代謝が低下する原因には、

内科的に問題がある場合にも生じることがあります。

血液検査で全身の状態を診ることで、

早期に原因となる疾患を見つけて、対処することが大切です。

以下で実際の患者さんの症例をご覧いただきたいと思います。


〜症例〜

79歳の女性です。

首の痛みを訴えて来院されました。

数年前より、首の痛みがあり、

1か月前より首の痛みが強いとのことです。

首を真っすぐにし、
頭を保持しているだけでもつらいとのことです。

上のレントゲン画像は初診時のものです。

赤色矢印で示した

第3頚椎、第4頚椎の椎体の圧潰が認められました。

以前より、骨密度と血液検査で、骨粗鬆症と診断されており、骨粗鬆症の治療をされておられました。

内科的な異常は特にありませんでした。

痛みを強く訴えられていたので、

頚椎カラーを処方しました。

上のレントゲンは、初診時より3ヶ月後のものです。

赤色矢印で示した上の第3頚椎の圧潰は増悪していました。

痛みは少しずつではありますが、ひいてきており、手の痺れなどは有りませんでした。

頚椎の圧迫骨折が原因でアライメントが変わり、

頚椎の前弯が消失し、

後弯変形していることがわかります。

こちらのレントゲン画像は下を向いた状態で撮影したものです。

第3頚椎が圧迫骨折によって、楔状型に変形していることがわかります。

こちらの写真は初診時より3ヶ月後の外観です。

頚椎の短縮が見られ、外観でも後弯変形しているのがわかります。

頚椎の圧迫骨折は、比較的稀な疾患です。

骨粗鬆症があって、

長期間首の痛みを訴えていたり、

頭を保持するだけで、

首が痛いという場合には、
こういった疾患もあるのだという事を念頭に置いて対処することが大切です。

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