パーキンソン病の方に対する身体機能向上運動

要介護状態になる主な疾患の一つに「パーキンソン病」があります。

この疾患は、ゆっくりと進行する神経疾患ですが、高齢化社会の中で今後ますます患者さんの数が増えると予測されています。

このページでは、デイサービスの中で、実際にパーキンソン病の方に対して
行っている機能訓練の内容をご紹介したいと思います。

パーキンソン病とは?

主に40~50歳以後に発症し、徐々に進行する神経の変性疾患であるとされています。

原因として考えられているのは、脳内の黒質という部分の神経細胞が作るドーパミンという物質が
減少することで生じると考えられています。

上の図にあるように、黒質と線条体の関係が重要になってきます。

ドーパミンは神経線維の中を伝わって、線条体に蓄えられます。

黒質の神経細胞が働くと、神経線維の先端からドーパミンが放出されて、
神経の働きが促され、結果として身体の動きを調節することになります。

このように、ドーパミンは機械でいうところの潤滑油のような役割をしています。

これが減ると、油の切れた機械のようにぎくしゃくとした動きになってしまいます。

これがパーキンソン病の症状として表れてきます。

パーキンソン病の症状

パーキンソン病の主な症状として、以下の4つの症状があります。

手足が震え、思うように指先が使えないことが増えます。

筋肉が硬く硬直したような状態になり、関節の動きが硬くなります。

動作の速さが遅くなってしまい、運動の量が減ってしまいます。 

立ちあがり動作時や、歩行時にバランスを崩しやすくなり、転倒しそうになります。

他にも、症状としては、便秘気味になったり、字を書くと小さな字になってしまったりという事があります。

精神的な面でいえば、表情が乏しくなり、意欲や自発性が低下してしまうということも言われています。

日常生活の動作の中では、1歩目が出にくくなって、足の運びが悪くなってしまうので、転倒しやすくなります。

以上のような症状に対しては、ドーパミンを補うような薬物治療が行われています。

また、症状の軽減や苦痛の緩和には、運動療法がリハビリテーションとして行われています。

パーキンソン病の症状を和らげ、少しでも日常生活を快適に過ごしていただくには、
薬物療法とリハビリが車の両輪のように用いられることが大切です。

パーキンソン病に対する機能訓練

関節が硬くなったり、筋肉が強張ったりしている場合には、痛みを伴うぐらい無理やり動かしてしまうのは逆効果となります。

そこで、徐々にやんわりと関節が動く範囲を広げていくことが大切です。

関節可動域の拡大運動

指の関節の拘縮を改善する運動です。

ボールを両手で握ったり、離したりを繰り返します。

ボールは空気を少し抜いて、つまみやすいようにします。

ご自身で握ることができない方は、スタッフがボールを支えて、指の動きを誘導します。

肘関節の拘縮を改善するために、肘の曲げ伸ばしを行います。

無理に伸ばそうとすると、余計に強張ってしまう事があるので、徐々に関節の可動範囲を広げていきます。

膝の関節拘縮を改善する運動です。

下肢全体を動かすので、足関節・股関節も一緒に曲げ伸ばしができます。

膝周囲の筋肉が緊張しないように、徐々に可動範囲を広げていきます。

箸を使った巧緻(こうち)運動

箸を使って、ビー玉や豆をつまむ動作を行います。

滑りやすいものや、形や大きさが違うものをうまくつかむことで、指先の微妙な動きや感覚を養います。

目印を使った歩行

歩行器を使って、実際に歩いていただきます。

足が前に出にくくなって、前傾姿勢になり、小刻みな足取りになっているのがわかります。

このように、足の出方がうまくできない方の場合には、歩く先にマークをつけることで、足の運びが改善します。

直線を歩いて、目印が来たところで、目印位の通りに左右の足を交互に出していただきます。

歩きだしでは、重心が足先の方にあるので、まずは土踏まずのあたりで、踏み出すような意識をもって歩き出します。

歩行器があることで、体を支える支持基底面積が広がるので、安定した歩行ができます。

そのため、カーブを曲がる際は、曲がる方向の足を中心にして足踏みをするような感じで、支持基底面から逸脱しない範囲でターンしていきます。

目印をつけることで、次の一歩をどこに出すかがわかりやすくなって、足の運びが変わってきます。

目印の幅を変えることで、さらに足の幅を広げていきます。

この場合も、前傾が強くなっていかないように、注意して行います。

パーキンソン病のリハビリテーションには運動は欠かせません。

デイサービスで運動をしない日でも、ご自宅で軽い運動をするだけでも十分です。

すなわち、毎日軽い運動でも継続して行う事が大切です。

病気と上手に付き合いながら、張り合いのある生活を送っていただけるように、
スタッフもアイデアを出して頑張っていきますので、
ご一緒に楽しく運動しましょう!