家でできる股関節の運動

股関節の疾患は、徐々に進行して行くものもあれば、急速に痛みが出て関節が傷んでしまうものもあります。

多くの場合は、変形性関節症から来る痛みによって筋力低下が生じてしまうので、
少しでも筋力を落とさないように運動が必要になってきます。

また、人工関節置換術後、お家での日常生活に戻れるように、
リハビリとして行っていただく運動としても有効です。

そこで、このページでは、ご自宅でできる股関節疾患に対する運動をご紹介します。

股関節周辺を取り巻く重要な筋肉
股関節周辺を取り巻く筋肉

上記の筋肉群は股関節周辺だけに限らず、体幹や下肢にまたがる重要な筋肉です。

通常、体重を支える役目を持つ下肢の中でも股関節は可動域も広く、いろんな方向に動けるようにできています。

いったん股関節が痛み始めると、立ち座り動作がつらくなり、やがて歩くこともつらくなってきます。

関節へかかる負担を少しでも分散させるために、筋肉を維持しなければなりません。

股関節を守るために必要な運動は?
股関節の構造

上の図は、股関節を正面から見たものです。

股関節は球状の関節なので、可動域が広く、あらゆる方向に動かせます。

しかし、体重を支え続ける場所でもあるので、いったん痛みが出だすと、痛みが長引くことが多いように思われます。

痛みが続いている間も、なんとかして進行を抑えたいのですが、
そのためには股関節周辺の筋肉を鍛えて、少しでも機能を維持していく必要があります。

股関節症の進行度

上のレントゲン写真は変形性膝関節症の進行度を示したものです。

数年前から、股関節の関節症変化が見られていますが、徐々に進行して関節が変形してしまっています。

痛みが強くて、日常生活やお仕事に支障が出ている場合、
人工関節置換術を施行されることが多く見られます。

近年では、手術後翌日から歩行練習を開始し、リハビリを集中的に行うことで2~3ヶ月で退院できています。

股関節周辺筋群の運動

上の写真は、ボールを使って行う股関節の運動です。

左側の写真は、膝をまっすぐに上に上げていますが、右の写真は膝が外へ向くような動きになっています。

このような動きになるのは、鍛えようとしている筋肉がたくさんあり、
膝の向きや、足の上げ方で作用している筋肉が違うからです。

股関節疾患に対して安全にできる運動は、右の写真にあるように、足先をやや外側に向ける「外旋」という動作になります。

股関節の疾患で気を付ければならない動作

股関節は可動域の広い関節なので、自由度がきく反面、
動作によっては、かえって傷めてしまう動作があります。

特に人工関節置換術後の方にとっては、注意が必要です。

共通して言える動作は、深く曲げない、内股にならないということです。

実際どういう場面で気を付けなければならないのかを、以下でご紹介します。

立ち上がり動作

上の写真にあるように、膝の向きが内側へ入らないようにします。

安全なのは、足先がやや外側を向く形です。

ものを拾う動作

上の写真にあるように、足下にあるものをとるときは、身体の横で取らないようにします。

なるべく身体の前から、取るようにします。

かがむ際には、膝がが伸びきらないように、やや膝を曲げて身体の近くで身体をかがめて取ります。

靴を履く動作

上の写真にあるように、靴の踵を入れる際は、外側から手を入れるのではなくて、内側から手を伸ばします。

椅子の高さの選び方

上の写真にあるように、椅子の座面の高さによって股関節の屈曲角度が違うのがわかります。

座面が低いと、より股関節を深く曲げることになり、負担が大きいので、なるべく高い椅子に座った方が良いと思います。

以上のように、多くの場合は内股にならないように気を付けるということがポイントです。

しかし、手術のアプローチの仕方によって、注意点が変わる場合もあるので、
人工関節置換術後の運動をされる場合には、
主治医の先生から、どのような姿勢に注意しなければ鳴らないのか念のため確認をお願いします。

ボールを使ったトレーニング

上の写真は股関節の周辺の筋群を使う運動です。

膝の向きの違いで、鍛える箇所が違ってきます。

以下の動画で確認してください。

ボールタッチ

上の写真にあるように、股関節を開いた状態で足くるぶし、膝をボールでたたきます。

この運動は、下のものを拾ったり、靴を履く動作の際、内股にならないように意識して行くための運動です。

股関節を外旋する意識で、日頃から習慣つけるための運動です。

下の動画でこの運動を確認してください。

バランス良く立つための運動
レッグランジ

足先をやや外側に向けて出して、股関節外旋を意識したステップです。

安定した姿勢が保てるので、転ばないようにバランスをとることになります。

踏み出すのが怖い場合は、手すりを持って行っても大丈夫です。

立位バランス運動

股関節の安定性を保ちながら、臀部の筋肉を使って立つバランス運動です。

ゆっくりと身体を起こして立って行きます。

詳しくは、下の動画でご確認ください。

日常生活動作に即したトレーニング

上の写真は、入浴の際に、浴槽をまたぐ動作を意識して行う運動です。

ハードルをまたぐことを繰り返し行ってみます。

注意点としては、膝を前に出さないことです。

ハードルを股ぐ際には、つま先をなるべく伸ばすようにして、またぎ超すときに躓かないように気を付けます。

股関節の向きも膝が内側に入らないように意識します。

下腿がハードルと平行になるような姿勢から初めていくと安全にできます。

ご自宅で股関節の運動として、椅子に座って行う場合は、
先にご紹介したように足を外に開くようにして行うと安全です。

入院している間は、リハビリは毎日しっかりできますが、
退院して家で運動を行うのは大変だと思います。

毎日少しずつで、かまいませんので、痛みの出ない範囲で、やってみてください!