足趾(足指)の変形:ハンマー足趾&鉤爪趾&槌趾(足趾の変形で、靴が当たって痛い!)

足趾の変形には、多くの種類が存在します。

しかし、足趾の変形はそれ自体が痛いと訴えることはあまりなく、
足趾の変形があるが故に靴障害が生じ、

足の痛みを訴えている方をよく見ます。

このページでは、

足趾の変形について引き起こされる痛みや、
足趾の変形が生じる原因など

詳しくご説明していきたいと思います。

様々な足趾の変形

足趾の関節は、以下の図のように

MTP関節、PIP関節、DIP関節で

構成されています。

それぞれの関節は、

赤色矢印で示したように、

外在筋である長趾伸筋と長趾屈筋や、
内在筋である虫様筋と骨間筋が働き

関節運動の方向に関与しています。

足趾の関節が様々な原因で変形をきたします。

足趾の変形には以下の図のようなタイプが存在します。

ハンマー趾(hummer toe) 

鉤爪趾(claw toe) 

槌趾(mallet toe) 

ハンマー足趾は

MTP関節伸展位

PIP関節屈曲位

DIP関節伸展位

による変形をきたしており、

鉤爪趾は、

MTP関節伸展位

PIP関節屈曲位

DIP関節屈曲位

槌指は

MP関節中間位

PIP関節中間位

DIP関節のみ屈曲位を

ていするものをいいます。

それぞれの足趾の変形の原因は、

神経筋疾患(脳血管障害)、

脱臼や骨折などによる外傷や

リウマチなどがあげられます。

他には、靴が原因となっていることも少なくありません。

ハイヒールや、つま先が狭くなっている靴や、成長に見合った靴を選べていないなど、
靴による足趾の障害は、女性に見られます。

以前は、日本人の足はエジプト型の足の人が多いといわれていました。

しかし、近年ではギリシャ型の足も多くなってきており、
足の形と履く靴の形の違いが足の変形を起こしている原因の一つではないかとがいわれています。

変形によって困る足の痛み

足趾の変形で診察に来られる方は、

足趾の痛みを訴えて来院されます。

足趾の変形によって、

体重をかける場所が変わって、

接触面でベンチ(皮膚が硬くなること)が形成されたり、
靴が当たって、皮膚とこすれ合わさって痛みが出ていることがほとんどです。

以下の写真は、変形に伴って生じている足の痛みの場所をさしています。

赤色矢印で指し示している足趾の背側部は、

変形によって靴のアウトソールが当たって、痛みを引き越しています。

青色矢印は足趾の変形ににともなって、

歩く際に地面と接触し続けることで皮膚が硬くなり痛みの原因となります。

このように、足趾の変形は、変形自体が痛いのではなく、
変形していることによる靴障害や、接触部分の痛みが主となっています。

治療は、当たって痛みがあるので、ドーナツ型のパッドを当てたり。
インソールの部分に穴を開けて、除圧します。

それでも、痛くて生活に思想があれば、手術を行う場合もあります。

以下で、実際の症例をご覧いただきたいと思います。

ハンマー趾(hummer toe)

71歳の女性です。

第2・3趾PIP関節の傷みを訴えて来院されました。

この方は趣味で社交ダンスをされているそうです。

上の写真は初診時の外観です。

3日前より靴を履くと、
赤色矢印で示した部分が当たって痛いということでした。

同時に、腫れも出てきたそうです。

上の写真は別の角度から見たものです。

赤色矢印で示した部分に靴があたり、化膿して、指が赤く腫れていることがわかります。

上の写真は初診時のレントゲン画像です。

赤色矢印で示した部分が当たって痛い部分です。

第2・3趾がハンマー趾になっていることがわかります。

この方は社交ダンスで、ヒールが高く、つま先が細い靴をはき続けていたことで、
外反母趾やハンマー趾といった変形が生じていると考えられました。 

生活指導として、できるだけヒールの低い靴や、
あまり先が狭くない靴を選んでいただくようにしました。

化膿して痛くなっている部分には、

ドーナツ状のパッドを当てて、
直接患部が靴に当たらないように処置を行いました。

靴に当たらなければ、痛くないと喜んで帰られました。

鉤爪趾(claw toe)

49歳の男性です。

左第2・3趾PIP関節の痛みを訴えて来院されました。

3ヶ月前より、靴を履くと靴に当たって痛いとのことでした。

上の写真は初診時のものです。

赤丸で囲んだ部分の足趾が鉤爪様に変形していることがわかります。

上の写真は足を上から撮影したものです。

この方は10年前に脳出血で左半身麻痺が残っており、
歩行時、左足が硬く、指が伸ばせないということです。

そうすることで、PIP関節が靴とあたり、

上の写真の赤色矢印で示したように、足趾PIP関節背側にベンチが認められます 。

上の写真は、

立った状態(体重をかけた状態)で、

左足を上から撮影したものです。

赤色丸印で示したように、

足趾の変形(鉤爪趾)であることがわかります。

上の写真は初診時のレントゲン画像です。

赤色丸印で囲んだ部分が痛みを訴えている場所です。

この方は、脳梗塞によって左半身麻痺があるため、
根本的に治すのであれば、

屈筋腱を切離する手術療法でないと治らないことをご説明しました。 

まだ若いので、いろいろなおしゃれな靴を履きたいという希望があり、

手術をすることになりました。

槌趾(mallet toe)

64歳の男性です。

左前足部の痛みを訴えて来院されました。

2年前より、登山の下りで足が痛くなるそうです。

また、フローリングの床を歩くと、腫れ感が出るそうです。

上の写真は初診時の外観です。

赤色丸印で囲んだ部分が足趾の変形が見られるところです。

上の写真は前足部を違う角度から見たものです。

PIP関節は伸展位であり、DIP関節が屈曲し、マレット趾変形していることがわかります。 

上の写真は初診時のレントゲン画像です。

レントゲンでも、赤丸で示した部分が足趾の変形が見られるところです。

DIP関節が屈曲していることがわかります。

この方には、指先だけを曲げて、歩いたり、運動をしているということでしたので、
足趾の曲げ方などを指導し、運動療法と足底板を処方しました。

足趾の変形は、様々なタイプが有ります。

実際、変形によって痛みが出ることはほとんど無く、変形によって靴が合わなくなり、
皮膚との接地部分で痛みが生じています。

治療は、靴に当たっている部分が痛くなるので、
対処の仕方は、靴選びや、自分の現在の足の状態(足の形)を知ることが大切です。

足全体を見て、一人一人に応じた足底板をすることで、痛みを緩和できます。

このような足の痛みでお悩みの方は、
一度お近くの整形外科を受診されることをお勧めいたします。

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