五十肩で痛いけど、動かした方が良いんです!

五十肩(肩関節周囲炎)は、動かすことで痛みが出たり、じっとしていても夜間痛を伴い、
どのように対処したら良いかわからないものです。

五十肩は痛みがあっても、動かさないといけないのはわかっていても、
なかなか動かせないのが実情で、お困りなのではないかと思います。

このページでは、痛みが出ないように動かす方法を、いろんな視点からご説明していきたいと思います。

肩甲骨の位置と筋肉の作用

五十肩の運動療法を行うに当たって、肩甲骨の位置を把握することは非常に大切です。

なぜなら、肩甲骨の位置異常からどの筋肉の筋活動が低下しているのかを予測します。

以下の図は、それぞれの肩甲骨の動き方と、その名称です。

健側の肩甲骨と、患側の肩甲骨を比較して、患側の肩甲骨がどの位置にあるかを把握します。

肩甲骨の位置異が起こっているところから、どの筋活動が低下をおこしているのかがわかります。

位置異常と低下している筋活動の関係を示したのが以下の図です。

例えば、肩甲骨が外転方向に位置異常をしているのであれば、
内転位保持能力が低下していると考えられ、
肩甲骨の内転動作に必要な菱形筋、広背筋、僧帽筋中部繊維が弱くなっていると考えられます。

このような場合は、筋活動の低下している筋肉の収縮を促す運動を行うことが効果的です。

手を上げる動作は肩関節の動きだけではない!

背中を丸めた状態で手を真上にあげようとしても、きれいに上がりません。

胸をはった状態であれば、手を真上に上げることは簡単です。

このように、胸椎の動きと肩甲骨の動きは手を上げる動作に深く関与しています。

以下の図は胸椎の動きを説明しているものです。

背中が丸くなる、円背状態というのは、左側の写真のように胸椎の後弯が強くなった状態です。

以下の写真のように、この状態で、手を上げると、顔が隠れるあたりまでしか、手が上げられません。

ですので、手を上げる運動療法として、胸椎の後弯を軽減させるための運動や、
胸椎の動きを出すための運動などが、リハビリとして有効です。

以下で脊椎(胸椎)の動きを獲得するための運動を少しご紹介します。

座って行う運動 

座った状態で背中を丸めることで、脊柱の起立筋がゆっくり伸ばされ、ストレッチができます。
また、椅子の後ろに手を回して、胸郭を広げるストレッチも行います。
交互に繰り返して行うことで、脊椎の動きをよくします。

四つん這いになって行う運動

四つん這いになり、背中を丸くしたり、反ったりすることで、脊椎の動きを促します。
この運動も交互に繰り返して行うと効果的です。

上記でご紹介した運動療法は、脊椎に対して行う運動です。以下では、これら以外の運動をご紹介したいと思います。

五十肩に対する運動療法の例

以下で実際の運動療法について一部ご紹介したいと思いますので、ご参考になさってください。

freezing phaze (炎症期)

この時期の治療目的は、主に除痛である。

可動域制限の治療は、拘縮進行の予防に努め、疼痛を伴うような可動域訓練は避けることが望ましいです。

自動介助運動

疼痛が出ないように、患側の手関節を健側の手で保持して行います。

痛みの出ない範囲で行ってください。

テーブルサンディング

机やベッドなどに手を置き、お辞儀をするように身体を倒していきます。

上肢はできるだけ脱力して、痛みのない範囲で行います。

振り子運動

患肢におもりなどは付けずに、自重のみで行います。

疼痛が増強しないように気を付けておこないましょう。

できるだけ脱力し、体重を前後移動させて上肢を振ります。 

frozen phase (拘縮期)

急性期の強い疼痛が消失した後は、可動域制限とその制限に起因する疼痛のため、日常生活動作に支障がでる時期です。

運動療法は、疼痛管理と共に可動域制限の改善を中心に行っていきます。

 棒体操(棒を利用した自動介助運動)

棒を利用しての自動介助運動です。

棒の重みを利用しながら、痛みのない範囲で、肩関節の挙上を行います。

滑車運動(滑車を利用した自動介助運動)

滑車の作用を利用し、肩関節の挙上を助けてもらいながら、可動期訓練を行います。 

肩関節包のストレッチ(ストレッチポールを利用したストレッチ)

ストレッチポールに乗り、上肢を地面に置くことで、肩関節の前方関節包へストレッチをかけます。

肩関節の拘縮が強い方は肩に痛みを伴うことがあります。

そういった場合には、バスタオルを丸めて円柱状にしてポールの代わりに使ってみてください。(お家にストレッチポールがない場合にも、バスタオルを丸めて円柱状にして、同様にお使いください。)

筋力トレーニング
(a)前鋸筋トレーニング

棒を利用しての自動介助運動です。

棒の重みを利用しながら、痛みのない範囲で、肩関節の挙上を行います。

(b)僧帽筋上部繊維トレーニング

筋力トレーニングは、肩甲骨の位置を把握し、不足した肩甲骨の動きに合わせて(筋肉を選択して)筋力トレーニングを選択的に行います。

ですので、肩甲骨の位置異常をしっかり確認することが大切です。

こちらにあげた運動は一例です。
それぞれ狙った筋肉のトレーニングは多種多様にあります。

五十肩は、動かさないといけないと言われますが、動かすと痛みがあり、動かしたくないのが本音かと思います。

しかし、痛みが出ないような動かし方でトレーニングを行うと、問題なく運動ができます。

上記でご紹介した運動の方法は、ほんの一部です。

痛みを取るためには、時期の応じて適切な運動療法が効果的です。

お近くに、整形外科があれば、一度ご相談になってはいかがでしょうか?

五十肩は痛いけど、動かした方が良いんです!