何にもしていないのに、肩が痛い!(肩関節不安定症)

「肩関節不安定症」とは、字のごとく関節部分で安定感が無くなりルーズな状態になっていることをいいます。

この疾患があっても、症状が出てこないこともあります。

しかし、クラブ活動や仕事などをきっかけに腕の痛みや肩のだるさなどの症状がでてくることがあります。

今回の疾患は脱臼などの怪我をしたことで出てくる肩関節の不安定をのぞいて、
外傷がないにもかかわらず生ずる不安定な肩関節の疾患について御説明したいと思います。

下の写真は左右の肩関節を同時に撮ったレントゲン写真ですが、
腕の骨が下にさがっているのがわかりますか?

本来は、腕の骨はもっと上の方にありますが、
おもりを持ってレントゲンを撮ると、
この写真のように腕が下がって写ります。

肩関節不安定症の診断はこのような錘を持った状態でレントゲンを撮って診断を行います。

以下で患部がどのようになっているのか御覧頂きたいと思います。

肩関節の周りには、上腕骨と肩甲骨をつなぎ止めるために左の図にあるような靭帯があります。

これらはカプセル状に形状ができていて、カプセルの中は常に一定の圧を保って上腕骨の骨頭が関節に入り込むように、真ん中に寄せられています。

肩関節は下の方へ多少緩みがありますが、通常の緩みは数ミリ程度です。

下へ引っ張られても、上に戻ろうとする力がかかるので、さほど下へは行きません。

正常な肩関節の構造としては、先ほど述べた関節のカプセルが緊張を保っています。

肩関節がいろんな方向へ動いても、常に関節と上腕骨頭は求心性を保っています。

ところが、肩関節不安定症の肩では、関節をつなぎ止める靭帯などの緊張がゆるく、肩を取り巻くカプセルがゆるく伸びているような状態になっています。

しかし、明らかな病因は不明です。

また、骨頭を引き寄せる筋肉の筋力低下も原因の一つであるといわれています。

本来肩はいろんな方向へ筋肉が働いて複雑な動きができますが、肩関節不安定症の場合は、自由に腕を動かすことはできても、腕がある角度になると力が入らなかったりします。

それが不安定感や、脱臼感につながります。

左の図のように、腕を上げるときに肩関節を安定化させるのは、腱板がその役割を担っています。

また、骨の形状にも原因があるといわれています。

赤い線で示したように、受け皿である関節窩の形状が上腕骨頭を受け止める形になっていなかったり、関節そのものが小さくて形成不全だったりした場合(黄色矢印)、腕を下に引っ張る力がかかると、上に行き戻す力がうまく働きません。

以上のことから、いろんな不安定の原因があるといわれていて、これという定説はありません。

では、どんな「肩関節不安定症」をどうやって見つけるのかというと、左の図のような関節の緩みを見る7つの動作をしてもらいます。

この疾患の素因として、関節に緩みがある方は、この7項目のうち5項目に当てはまることが多く見受けられます。

すなわち、全身の関節弛緩があると判断されます。

ですので、肩の関節も不安定なのだと考えられます。

外見の不安定性の検査としては、肩関節の力を抜いた状態で腕を下に引っ張ると、赤矢印の部分にくぼみが生じ、関節の不安定感があることが確認できます。 

おもりを両手首に下げて、レントゲンを撮ると、この写真のように、肩関節不安定症のある左の肩(赤色矢印の部分)は右肩(青色矢印部分)に比べて関節の間が広く写って見えます。

肩関節不安定症の方は両肩ともゆるい傾向にある方が一般的です。

しかし、症状が出てくるのは片方の肩であることが多いのです。

〜症例1〜

30歳女性です。

肩関節の鈍痛と肩コリを訴えて来院されました。

特に怪我をしたようなことは無いのに、肩関節に違和感を覚えたそうです。

レントゲンを撮ってみても、骨の変形などは見られません。

ところが、4kgのおもりを両手首に下げると、この写真のように右肩が明らかに下がって見えます。
(赤色矢印の先)

レントゲンで負荷をかけた状態を撮ると、赤色矢印の先に見えるように、肩関節の間が広がって見えます。

負荷がかからない状態と、負荷がかかった状態を比べることで、肩関節の不安定状態が顕著にわかるようになります。

この方の治療としては、肩関節周囲の筋トレと、肩甲骨の位置異常を改善するための体操を指導をしました。

〜症例2〜

27歳男性です。

右肩の脱力と鈍痛を主訴に来院されました。

物を下げたりリュックを背負ったりして負荷がかかった時、症状が強く出ます。

また、パソコンのマウス作業で右肩に鈍痛があるそうです。 

負荷がない状態でレントゲンを撮ると、左右の関節の間にはさほど違いは見られません。 

負荷をかけた状態でレントゲンを撮ると、関節の間が広がって見えます。

右肩の関節の間が特に顕著に広がって見えます!

外見上も、負荷をかけた状態だと、赤色矢印の先にへこみが見えます。

肩関節の不安定がこういったところにも表れてきます。

〜保存療法〜

肩関節不安定症のリハビリの一つとして、左の写真のようにクラビクルバンドを用いて肩甲骨の角度を変えて、上腕骨頭の位置を調節する方法を用いることがあります。

肩甲骨をバンドによって引き上げることで、肩甲骨を安定させ、その結果として、上腕骨頭も引き上げることができ、肩関節の不安定感を解消することができます。 

肩関節不安定症は、スポーツ活動や仕事などで肩関節を特に使うことが多くなったときに痛みや重だるさが生じますが、
原因となる運動や仕事などで肩にかかる負担が少なくなるようにしてあげることで、改善する場合がほとんどです

リハビリとして、肩関節の筋力強化や肩甲骨の位置の改善などをおこなうことで、かなり改善できます。

また、体幹をトレーニングすることで、全身の姿勢を改善し、緩和することも可能です。

後日、そういったリハビリについてもアップさせていただく予定です。

地道にリハビリすることで、かなり改善が見込めます!

肩関節が外れる感じやだるさなどがある方は、
是非ご相談ください!