足関節周辺の骨脆弱性骨折

足関節周辺の骨脆弱性骨折の患者さんは、足を捻ったなどの理由もないのに、
痛みが強くて歩けないという訴えで来院される場合が多く見受けられます。

足関節の周辺で痛みが出る疾患は変形性関節症や、足関節捻挫など他にもあります。

では、これらの疾患と、骨脆弱性骨折をどうやって見分けるのかというと、
圧痛点の違いで見分けることができます。

足関節が腫れて、痛い、歩くのが辛いという症状から、
足関節ばかりに注目が行きがちですが、
上の絵のように、骨脆弱性骨折では、足首のやや上の方に骨折線が入るケースが多く見受けられ、
痛いのは足首周辺でも、実際に悪いところは上の赤丸印のあたりであるというのがこの疾患の特徴です。

初診時のレントゲン写真でははっきりと骨折線は写っていないので、確定はできませんが、
骨粗鬆症があり、痛みが強く長引いているような場合には、この骨折を疑って経過を見ることとします。

同時にMRI を撮ると、下の写真にあるように転倒や打撲をしたわけでもないのに、
骨折線が入っていることがあります。
こういう場合は、骨脆弱性骨折であると判断できます。

では、以下で実際の患者さんについて御覧いただきたいと思います。

〜症例1〜

86歳の女性です。

右の足のうちくるぶしの痛みで来院されました。

3週間前より、特に誘因がなく、歩くときに痛みが出現し、その痛みが治まらないので来院されました。

見てみると、左足のくるぶし周辺が赤く腫れていました。

痛みが長く続いていたので、足の関節周辺の病態を確認するためにMRIを撮影したところ、くるぶし周辺に色調の変化が見られました。
赤色矢印の先に示された部分。) 

ですので、骨脆弱性骨折と判断しました。

痛みが強く、なかなか軽快しないので、ギプス固定を行いました。

約3週間のギプス固定を行いました。 

初診から3週間後のレントゲン写真です。

左の内くるぶし周辺に骨硬化像が見られたので、骨は癒合したものと判断し、固定を除去しました。 

痛みも消失し、歩くのにも問題はなくなりました。

〜症例2〜

64歳の女性です。

1週間ぐらい前から外傷もなく、右の足関節が痛み、来院されました。

痛みのため、歩くのが辛いということでした。

この方は別の病院で関節リウマチの治療として、ステロイド投与が続けられていました。

足関節のレントゲンでは、正面から撮った画像でははっきりとした所見は見られませんでしたので、別の角度からレントゲンを撮りました。 

横からレントゲンを撮ってみると、足関節そのものには異常が買ったのですが、赤矢印の先で示した部分に白い骨硬化像が見えましたので、踵骨の骨脆弱性骨折と判断しました。

ですので、関節リウマチの治療でステロイド使用が長く続いていたことが原因で、骨が脆弱となり、この骨折が生じたものと考えられました。

さらに、この方は関節リウマチの治療も並行しておられたので、足関節の変形が進行していかないか確認するために経過を見ていました。

すると、2ヶ月後のレントゲンで右側の脛骨に骨硬化像が認められました。
赤色矢印の先で示された部分。)

ですので、踵骨に引き続き、脛骨にも骨脆弱性骨折があったのだと確定できました。

さらにMRIで確認してみると、レントゲンで骨硬化像のあった部分以外に、距骨の一部分にも色調の変化が見られました。

赤色矢印の先で示した部分は距骨の変化を示しています。

また、青色矢印の先で示した部分は、脛骨の骨脆弱性骨折のあった部分を示しています。

初診から3ヵ月後のレントゲンです。

距骨の変形もほとんど進まず、同時に脛骨と踵骨の硬化像もはっきりしていたので 、骨が癒合したと判断しました。

歩く時の痛みも消失したので、治療を終了しました。

〜症例3〜

次は75歳の女性です。

左足首の内側が3日前より思い当たる原因なく、傷むということで来院されました。 

歩くと痛みが増強するということでした。

捻挫したわけでもないのに、左の足関節は右と比べて明らかに腫れていました。

そこで、MRIを撮ってみると、脛骨の内側付近に骨折線が確認できました。

別の角度から見ても、はっきりと骨折線が認められました。

以上のことから、骨脆弱性骨折と判断して、経過を見ることにしました。

この方の背景として、半年前に腫瘍の摘出手術を受けておられたので、骨の代謝が著しく変化し、骨粗鬆症を発症したものと考えられました。

〜症例4〜

84歳の女性です。

右の足首の痛みと、歩く時の強い痛みを訴えて来院されました。

見てみると、足のむくみと足関節前面の圧痛が強くありました。

捻挫をしたわけでもないのに、痛みが強く出ていたことから、変形性関節症か、距骨の病変を疑い、MRIを撮影しました。 

すると、距骨に赤矢印で示したように骨折を疑う色調変化がありました。

距骨の骨折は、後に距骨の形態が崩れやすいなどのリスクもあるので、経過を確認することにしました。 

4ヶ月後のレントゲンでは、距骨が扁平化することもなく、形を維持していました。

痛みもなく、歩くことも可能になりましたので、治療を終了しました。

〜症例5〜

81歳の女性です。

右の足の内くるぶしが痛いということで来院されました。

当日は痛む箇所に注射を行って、幾分か痛みが和らぎましたが、腫れが依然として続き、歩く時の痛みも残っていましたので、レントゲンで骨の状態を確認しました。

初診時のレントゲンでは、特にはっきりとした所見はありませんでしたが、痛む箇所が骨の上にはっきりと認められ、誘因となる外傷もなかったので、骨脆弱性骨折を疑ってMRIを撮影しました。

MRIを撮影したところ、押さえて痛む箇所に一致して、骨折を疑う色調の変化が見られました。
赤色矢印の先で示した部分。)

痛みがあったので、少しでも軽減する目的で、約2週間、取り外し式のギプス固定を行いました。 

1ヶ月後のレントゲンです。

初診時のレントゲンと比べてみると、赤矢印の先で示したところに骨硬化像がはっきりと確認できましたので、骨は癒合していると判断しました。

この時点で、足の痛みも全くなく、問題なく過ごしておられましたので、治療を終了しました。

足関節の腫れを見て、関節症や足首の捻挫を考えてしまいがちですが、
実のところ、こういった骨が折れているという外見とは違った疾患があります。

外傷もないのに、歩く時に足が痛くて、とても辛くてたまらないという症状がある場合、
骨脆弱性骨折ではないかと疑ってみてください。

また、歩行時に足が辛い場合には、我慢せずに整形外科を受診されることをお勧めします!