脛骨遠位骨端線損傷

足関節の外傷で、子供さんにみられる怪我の一つとして、

「脛骨遠位骨端線損傷」があります。

成人では、足関節の骨折は複雑に折れた場合、手術が必要とされる場合が多いのですが、
子供さんの脛骨骨端線損傷では、固定療法を試みて治っていくのがほとんどです。

しかし、脛骨が損傷されるほどの外力なので、相当強い力が加わっています。

したがって、なるべく外力によって変形した骨端線部を元に戻して、

それから固定するという事が必要になります。

脛骨骨端線損傷って、どんなケガ?

脛骨遠位骨端線は、身体部位で言うと、足関節を構成する脛骨の一部を指します。

骨端線損傷とは、子供さんにみられる骨折の事で、

脛骨遠位骨端線で損傷があった場合、上の図のような5つの型に分類できます。

中でも、Ⅰ型とⅡ型がギプス固定によって治療を行えるタイプであるといわれており、

予後も良好であるとされています。

Ⅲ型は骨端線部の整復が完了して、ギプス固定で安定しているのであれば、固定だけで十分治療ができます。

では、上の図と共に比較しながら、実際のレントゲン写真をご覧ください。

Ⅰ型の場合

14歳の男の子です。

右足関節の痛みを訴えて来院されました。

サッカーの試合中に怪我をして、痛みと腫れが強く、歩けないぐらい痛くなって、来院されました。

左は初診時のレントゲン写真です。

赤色矢印で示す脛骨遠位骨端線の部分で、離開していることが確認できました。 

治療はギプス固定を行い、松葉杖を使用し、体重をかけないようにしてもらいました。

ギプス固定を4週間行い、レントゲン撮影したものが写真です。 

離開していた赤色矢印の部分は、健側と比較しても差が見られませんでした。

また、患部の圧痛や腫れは消失しており、体重をかけても痛みがないことから、治癒したと判断しました。

Ⅱ型の場合

17歳の男の子です。

右足の痛みを訴えて来院されました。

5日前に、原付バイクで走行中、転倒し、受傷されました。

右足関節の腫れが強く、皮下出血も認められ、歩行が困難でした。

レントゲンを撮ってみると、赤色矢印で示す骨端線部に離開していることが確認できました。

治療としては、骨端線のずれが小さかったので、
そのままギプス固定を行い、松葉杖を使用して、体重をかけないようにしてもらいました

ギプス固定を4週間行い、
レントゲン撮影を行ったものです。

黄緑の矢印で示した骨端線の離開は開いておらず、安定していることが確認できました。

また、圧痛や腫れは消失しており、荷重をしても痛みはありませんでした。

この時点で治癒と判断しました。

12歳の女の子です。

左足関節の痛みを訴えて来院されました。

腫れと痛みが強かったため、外傷を疑いレントゲンを撮りました。 

写真が初診時のものです。

正面のレントゲンではわかりにくいのですが、
側面から撮影してみると、赤色矢印で示す部分で骨端線の損傷が確認できました。

転位が認められるので、徒手整復を行いました。

上の写真は整復後のレントゲンです。

転位していた骨端線部のずれは、
正常の位置へ戻っていることが確認できました。

ですので、ギプス固定と、松葉杖による免荷を行ってもらいました。

ギプス固定を4週間行い、
レントゲン撮影したものが上の写真です。

緑色矢印でしめした骨端線損傷部分は、
転位も認められず、安定した状態で保たれていました。

圧痛や腫れも消失しており、体重をかけても痛みがなかったことから、
ギプスを除去し、足関節を動かすリハビリや、筋力トレーニングを1ヶ月間行いました。

脛骨遠位骨端線損傷は、転落やスポーツによる激しい接触など、強い外力によって生じます。

怪我をした時は、腫れますし、体重をかけることができないぐらい痛いので

足関節捻挫とは明らかに症状が違います。

骨端線損傷のタイプにもよりますが、できる限り早い段階で治療にとりかかり、

骨端線部が安定した状態を保てれば、手術をせずにすむことが多いのです。

怪我の状態が心配な場合、早い目に病院に行って処置を受けてください。

救急病院で固定の処置を受けたのち、その後のリハビリなども含めて、

治療でお困りの場合は、お気軽に当院へご相談ください!

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