踵立方関節裂離骨折

階段で足を踏み外したり、人の足を踏んで捻挫したといったことは、日常でしばしば遭遇することです。

その時に、靭帯を傷めたり、骨折をしたりすることで足に強く痛みを訴えられることがあります。

そのような骨折の一つに「踵立方関節裂離骨折」があります。

これは、あまり聞きなれない怪我の名称だと思います。

このページでは、踵立方関節裂離骨折について詳しくご説明し、どのような治療方法を行ったらよいのか、
実際の患者さんの症例をご覧いただきながら、ご説明していきたいと思います。

踵立方関節とは?

踵立方関節は、踵骨と立方骨で構成される関節の名称です。

以下の図で示すように、踵骨と立方骨をつないでいる靭帯を「背側踵立方靭帯」と言います。

足部を内に捻る(内反する)ように、怪我をした場合、
背側踵立方靭帯の部分が引き離されようとする牽引力によって、裂離骨折を引き起こす場合があります。

踵立方関節裂離骨折のタイプとは?

踵立方関節裂離骨折は、以下のような骨折のタイプがあります。

踵立方靭帯の牽引力によって、立方骨が裂離骨折を起こす場合と、踵骨が裂離骨折を起こす場合とがあります。

痛みを訴える場所は、初診時では非常にわかりにくく、どちら側で骨折しているのかは、レントゲンをとらないとわかりません。

では、実際にそれぞれの骨折はレントゲンでどのように見えるのでしょうか?

以下の写真でご覧いただきたいと思います。

立方骨側での裂離骨折

踵骨側での裂離骨折

レントゲンでは、骨折する場所によって、上の写真のような見え方の違いがあります。

踵立方関節裂離骨折とは?

実際に、来院されるのは、「足を捻挫した」とおっしゃって来られることがほとんどです。

しかし、捻挫と一言で言っても、怪我をする場所は色々あります。

以下の図は、怪我をした場所と、痛みを訴えている場所の違いです。

踵立方関節裂離骨折

足関節外側靭帯損傷

第5中足骨基部骨折

捻挫をして、痛みを訴える場所が似ていますが、それぞれの疾患では少しずつ圧痛点が異なってきます。

踵立方関節裂離骨折の治療はどうするの?

この骨折の治療法としては、骨折が認められたら、ギプスによる固定を3~4週間行う事で、骨癒合が見られます。

しかし、お仕事をされている方など、ギプス固定ができないとおっしゃる方々のために当院では足底板による治療行っています。

以下のような、足底板を実際に使用しています。

Rウェッジ(サポーター)

使用例

どちらも外側に体重をかけにくくするために使用しており、サポータータイプのものもありますので、
患者さんの生活習慣などに合わせて、足底板を選択しています。

以下で、実際の患者さんの症例をご覧いただきたいと思います。

69歳の男性です。

右足外側の痛みを訴えて来院されました。

3日前、駅の階段を降りていて、つまずき、右足を内がわにねじり、受傷されました。 

その後腫れと、皮下出血が出て、
右側背中外側に触れると痛みが強く出るという事で来院されました。

左の写真は初診時のものです。

赤色矢印で示した部分に強い痛みを訴えておらてます。

左の写真は、初診時のレントゲンです。

赤色矢印で示した立方骨の部分に、裂離骨折像が認められました。

ギプス固定を提案しましたが、お仕事の都合上ギプス固定は難しいという事で 、外側ウエッジヒールサポーターによる足底板療法で、除痛を行い、経過をみることとなりました。

左の写真は、レントゲンの経過です。

受傷後4週間後の時点で、痛みは消失し、
受傷8週間後のレントゲンでは、骨折部は全くわからなくなりました。

足底板療法で骨癒合をえることができました。

46歳の女性です。

右足外側の痛みを訴えて来院されました。

2日前、階段を下りていて、右足を内に捻って受傷されたそうです。

その後、腫れて、歩くと痛いそうです。

左のレントゲンは初診時のものです。

赤色矢印で示した部分に、背側踵立方靭帯の踵骨の付着部での裂離骨折が認められました。 

左のレントゲンは、受傷1週間後のものです。

左のレントゲンは、足を正面から撮影したもので、
右側のものは、足を側面から撮影したものです。

赤色矢印で示した部分に、はっきりと裂離骨折による骨片が認められました。 

左のレントゲンは、受傷8週間後のものです。

赤色矢印で示した踵骨裂離骨折の部分が骨癒合しているのがわかります。

痛みも無く、お仕事も問題なくできているそうです。

59歳の女性です。

左足外側の痛みを訴えて来院されました。

受診日当日、体操をしていてジャンプで着地した時に、
左足を内側にねじって、受傷されたそうです。

左の写真は初診時の外観です。

左足外側に皮下出血が認められ、
赤色矢印で示した部分に圧痛が認められました。 

左のレントゲンは、初診時のものです。

赤色矢印で示した部分に、
背側踵立方靭帯付着部の踵側での裂離骨折が確認できました。 

お仕事の都合上、ギプス固定ではなく、足底板で治療を行う事となりました。

左のレントゲンは、受傷3週後のものです。

赤色矢印で示した裂離骨折の部分は、骨癒合してきており、
この時点で、痛みは消失していました。

捻挫は怪我の中では、頻度が多いかと思います。

しかし、単なる捻挫でも、踵立方関節裂離骨折のように骨折を伴う場合もあります。

基本的には、手術は必要なく、ギプスによる固定で骨癒合します。

ギプス固定ををせずに、足底板による治療でも骨癒合は期待できます。

捻挫をして腫れが強いなどという事がある場合には、お近くの整形外科を早めに受診されることをお勧めいたします。