脛腓靭帯損傷(捻挫で足関節の前面が痛い)

脛腓靭帯損傷とは、足の捻挫で引き伸ばされる靭帯よりもやや上側にある靭帯の損傷をいいます。

下の絵の赤丸部分が痛みます。

右側の図の下の靭帯が通常の捻挫で痛めやすい靭帯です。

しかし、脛腓靭帯損傷は、それより上側で、くるぶしの前の部分(赤丸で示した部分)が痛みます。

左の図は足首を前から見た絵です。

脛腓靭帯は、右側の脛骨と左側の腓骨を止める働きをします。

ほかの靭帯に比べ比較的強度が強いので、

この靭帯だけが単独で損傷することはあまりありません。

ですが、足首の骨折と同時に損傷することもありますし、
いつもの捻挫だと思っていたら、
一か所だけの靱帯損傷だけではとどまらず、
複合的に左の図のように
脛腓靭帯まで損傷してしまうことがあるのです。


赤矢印で示したのが靭帯損傷を起こしている部分です。

この靭帯で脛骨と腓骨止まっていないので、
緑色矢印のように2つの骨が開いてしまうのです。

左の図は右足首周辺を外側から見た靭帯の位置関係を表しています。

赤丸印で示したように脛腓靭帯の損傷が確認できます。

しかし、足関節の靭帯損傷の中で最も多いのは、
青丸印でしめした前距腓靭帯です。

ですので、前距腓靭帯の単独損傷ではなくて、
前脛腓靭帯の損傷も同時に起こることがあります。

このようにほかの靭帯よりやや上にあるので、
診断時に押さえて、痛みがこの部分に有れば、
すぐに脛腓靭帯損傷だとわかります。

実際に来院された患者さんの経過をご紹介します。

19歳の男性、ラグビー部に所属している方です。
左の写真は、6月に来院された時のレントゲンです。

前日の練習中に左足首を捻挫し、来院されました。

テーピングとアイシングの処置で練習にも復帰が可能な軽い捻挫でした。

ところが、4か月後に再び捻挫をして来院されました。

今回は2週間前に受傷し、アイシングなどを行って様子を見ておられましたが、痛みが変わらないので、来院されました。

前回痛かった場所に加えくるぶしの前方にも痛みがありました。

実際のレントゲンで、怪我をしていない方(青線が入っている方)と怪我をしている方(赤線が入っている方)を比較してみています。

赤線が入っている方が、ほんのわずかですが、
脛骨と腓骨の間が開いているのかがわかります。

さらに、患部を詳しく見るためにエコー検査を行いました。

左の写真は脛骨と腓骨の間を見るために撮った足首のエコーです。

赤色矢印の部分は、青色矢印より脛骨と腓骨が開いているのかがわかります。

そこで、脛腓靭帯損傷と判断されました。

左の写真は、頚骨と腓骨を両方から手で挟んで撮ったレントゲンです。

右の写真は、足首をそのまま撮った写真です。

両手で挟んだ場合、赤い線の間が狭く写っていることがわかります。

つまり、外から圧迫をかけてやると、脛骨と腓骨が寄って来ているので、患部を固定してやることで、伸びてしまった脛腓靭帯を治すことができるのではないかと判断しました。

ところが、足関節の靭帯は脛腓靭帯だけではなく、
前回痛めた箇所も靭帯が伸びきっていることがわかりました。

左のレントゲン写真は怪我をしていない右足首を内側に曲げて撮ったものです。

脛骨と距骨の角度を示す2本の青い線の傾きが
さほど開いていないことがわかります。

怪我をした方の足首を同じように内側にねじってレントゲンを撮ってみると、脛骨と距骨の角度を示す2本の赤い線の傾きが大きく開いています。

さらに、オレンジ色の矢印で示した先には、
丸い小さな骨片が認められました。

これは、子供のころ捻挫して、その時はがれた骨片がくっつかずにそのまま放置され、このように残ってしまったのです。

ですので、足首の不安定さが常にあったものと思われます。

上記の患者さんは、固定療法を行い、手術をせずにラグビーへの競技復帰を果たしておられます。

単なる捻挫と思っていても、このように気がつかない間に、
複合して捻挫を起こしている場合もあります。

そんな場合は、修復までに時間がかかる場合もあります。

単なる捻挫と甘く見ずに、捻挫した場合には、専門医の診断を仰いで、
適切な治療を受けていただきたいと思います。