有痛性分裂膝蓋骨の骨癒合を目的とした保存療法の治療成績

このページでは、当院で行っている有痛性分裂膝蓋骨の治療成績についてお伝えします。

有痛性分裂膝蓋骨の治療は大きく分けて2つあります。

1つは裂離骨折した部分を骨癒合させる方法。

もう1つは、裂離骨折し、分裂した骨片の骨癒合が困難な場合、手術による骨片摘出を行う
方法があります。

当院では数年前より有痛性分裂膝蓋骨の骨癒合を目指した治療を取り組み始め、
その成績もまとまったものになりましたので、2015年11月に学会で報告した内容をこちらで御紹介したいと思います。

2015年11月7日に新潟県にて開催されました第24回日本柔道整復接骨医学会学術大会には、
佐野順哉先生が「有痛性分裂膝蓋骨に対する骨癒合を目的とした保存療法」という演題名で発表されました。

治療受けられた患者さんについて

2003年に有痛性分裂膝蓋骨の症例に対して骨癒合を目的に保存療法を試み、骨癒合が得られました。
 
有痛性分裂膝蓋骨は、外側広筋と腸脛靭帯を共にした牽引力による裂離骨折であるという考えのもと保存療法を行ってきました。
 
2009年2月~2015年5月までに膝の痛みで当院を受診し、
有痛性分裂膝蓋骨であった患者さんは男性40例46膝、女性2例2膝で、計42例48膝でした。
 

年齢 8歳~14歳 平均11.4歳で、内訳は右26膝、左22膝、計48膝(両膝例6例を含む)でした。

以下の図は、saupe分類別ので見たものです。

saupeⅢ型が圧倒的に多くみられました。

治療の流れ

初診時、疼痛が強くADL障害のある患者にはギプス又はシャーレ固定、装具を行い、皆さんにスポーツ中止を指示しました。

骨癒合の判断は、レントゲンで分裂部が不明瞭になった時点とし、

スポーツ復帰は圧痛が消失した時点で許可しました。

また、分裂部が確認しにくいものに対してはCT検査を追加で行いました。

骨癒合率

①分裂形態別

Ⅱ型は、全膝骨癒合(100%)が見られました。

Ⅲ型は、38膝中37膝骨癒合(97%)がみられました。

Ⅲ型は、一般的に骨癒合率が低いと言われているのですが、当院では高い骨癒合率を得ることができました。

よって、分裂形態にかかわらず骨癒合は期待できます。

疼痛出現から来院までの期間

1ヵ月未満1〜3ヵ月4ヵ月以上
24膝中24膝18膝中18膝6膝中5膝
100%100%83%

痛みが出てから3ヵ月以内にご来院していただき、治療をした患者さんは、全員骨癒合を得ることができました。

しかし、4ヵ月以上してから来院した1膝(1例)のみ骨癒合を得ることができませんでした。

よって、有痛性分裂膝蓋骨は早期発見・早期治療が大切です。

膝の痛みを我慢してスポーツを続けるのでなく、一度医療機関にご相談しに行くことも大切です。

 

固定種類別

ギプスギプスシャーレ膝装具スポーツ中止のみ
19膝中18膝12膝中12膝7膝中7膝10膝中10膝
95%100%100%100%

固定の種類によって、骨癒合に差は見られませんでした。

よって、大切なことは痛みのある時期はスポーツ中止をすることです。もし、痛みが強い場合などは、

ギプス固定など強固な固定を行い、除痛を第一優先に治療を行うことが大切です。

また、子供さんに病識を持っていただく意味でも、装具などの固定を行うことは大切です。

生活指導

免荷荷重
7膝中6膝41膝中41膝
86%100%

日常生活での過ごし方として、筋の収縮による牽引力を少しでも軽減するために

免荷を行っていたが、歩行程度の日常生活動作では分裂部の離開に影響がありませんでした。

よって、治療を行う際、免荷の必要性はありません。

年齢別

8~13歳では全例骨癒合し、骨癒合率は100%でした。

14歳では1例のみ骨癒合せず、骨癒合率は83%でした。

よって、13歳以下の方の分裂膝蓋骨は保存療法で骨癒合が期待できます。

スポーツ復帰時期の検討

今回の調査では、圧痛が消失し、レントゲンで骨癒合が見られた時点でスポーツ復帰を提案しました。

結果、スポーツ復帰までに要した期間は26日〜121日(平均66.5日)でした。

よって、症状やレントゲン画像から、スポーツ復帰の目安は約2ヵ月が一つの目安となります。

当院では、このような治療経験を生かしながら、日々の診療に取り組んでおります。

有痛性分裂膝蓋骨の膝の痛みでお困りの方は、お気軽にご相談ください。