半月板損傷後のリハビリはどうしたらいいの?〜スポーツ復帰を目指して〜

スポーツ外傷の一つである半月板損傷では、膝関節のスムーズな動きが妨げられ、

スポーツにおいてジャンプやターン動作に大きな支障をきたすことになります。

一旦損傷した半月板は完全に修復することはなく、治療法としては

関節鏡視下の半月板部分切除術や半月板縫合術などの

手術治療が選択されることが多いようです。

しかし、選手は重要な大会前であったり、チームにとって

大事な試合を控えているとすれば手術を回避して

競技復帰を果たしたいと考えておられるのではないでしょうか?

そこで、このページでは半月板損傷後のリハビリで注意しなければならない点を

ご紹介し、実際に運動療法で競技復帰が可能となった例と、

手術療法後、競技復帰が可能となった例をご紹介していきたいと思います。

半月板の形態とその役割

下の図は、半月板を斜め上から見た図です。

内側半月板は、外側に比べてやや大きくC状で、外側半月板はO状の形態です。

主に半月板が損傷するとされているのは、半月板の中央からやや後方部分に多いとされています。(赤○印で示した部分)

下の図は、膝を上から見た図です。

半月板は膝を伸ばしたときと曲げたときに若干移動します。

膝を曲げた状態では、それぞれの半月板が後方に移動します。

上の図は、膝を横から見た図です。

半月板は大腿骨と脛骨の間でうまくクッションの役割をして、

膝を曲げた時には、後方に移動して、骨と骨の間に挟まりこむようになります。

半月板損傷の発生機転

半月板の受傷機転は、上の絵で示したように、

曲げた状態でさらに捻りが加わると、

内側、もしくは外側どちらかの半月板が損傷することになります。

中でも膝関節のアライメントが膝が内側に入るような(外反)肢位は、

より膝関節にダメージが加わるので、半月板損傷だけでなく、

靭帯損傷を合併することがあります。

半月板損傷が生じた場合こういう症状があります

半月板損傷に見られる症状には、catchingと呼ばれる膝の屈伸時の違和感や、

階段を下りる時などに膝が崩れるようなgiving wayと呼ばれる現象があります。

上の図にあるように、膝の曲げ伸ばしを繰り返していると、

正常な状態では、半月板がうまく滑走して膝の動きがスムーズに行えます。

しかし、半月板が傷ついた状態だと、曲げ伸ばしの際にひっかっかりが生じます。

実際にスポーツ復帰ができた方の経過

上の図は、実際の患者さんのMRI画像です。

16歳女性、スポーツはサッカーをされています。

サッカーの練習中に足が芝に引っかかり膝がロックされた状態で

踏ん張った際に、左膝外側に痛みを覚えたそうです。

受傷してから約10日後に当院を受診されました。

赤矢印の先で示した部分と、赤い丸で囲んだ部分に半月板損傷が認められます。

この方は、手術をを希望されず、膝関節を深く曲げなければ、

痛みがなかったために運動療法を開始しました。

トレーニングするにあたって注意すべき点は?

半月板損傷と診断を受けた後、損傷の程度や症状によっては、

膝の痛みや腫れが治まってから運動療法を開始する場合があります。

しかし、以下の点に注意しながら運動を行う必要があります。

 

〜早期から患部外トレーニングを開始する〜

受傷して間もなくは膝関節に負担をかけないように日常生活を過ごして頂きます。

受傷してから3週間以内では、膝関節以外の部位をトレーニングをすることによって少しでも筋萎縮を予防することが大切です。

受傷後3週間経っていた時点で膝関節を曲げても痛みがない場合は、下腿の筋萎縮予防を目的にカーフレイズを始めます。

左の図は足の土踏まずを構成する後脛骨筋を鍛える運動です。

土踏まずが低下しているを膝が内側に入る(外反)傾向にあるため、

後脛骨筋を優位に働かせる目的で

メディシンボールを足の裏で

把持します。

〜膝関節を支持する筋群を鍛えるトレーニング〜

左の図は、つま先をまっすぐ上に向けて大腿四頭筋前面のトレーニングを行います。

また右の図のように、つま先を内側に向けて膝を伸ばすことにより、外側広筋の筋力増強を計ります。

左の図のように、前方もしくは側方に膝を踏み出すランジ動作では、関節が90°以上曲がらないように注意して行います。

サイドランジの際は膝が黄色い点線から外に出ないように行います。

上記のランジ動作に次いで、さらにチューブをつけることによって筋力増強を計ります。

この場合、股関節90°屈曲位、膝関節90°屈曲位で行います。

エアロバイクを漕ぐ際は、右の図のように初めは椅子の高さを高く設定し、膝関節が90°以上曲がらないようにします。

痛みに応じて左の図のように、椅子の高さを低くして膝関節を90°以上曲げていき、負荷を上げていきます。

注意点は、外側半月板に負荷がかからないように、膝がまっすぐもしくはやや外側に入るようにします。

スクワットエクササイズは床の上で行うのも効果的です。しかし、右の図のようにバランスディスク上で行うことで、膝関節や足関節の動揺性を生じさせないようにすることによって、より筋収縮を得ることができます。

その際、膝関節は90°以上曲がらないように注意します。

初めは両足で行い、膝を曲げた時の痛みが軽減していることを確認した上で、左の図のように片足で行い負荷を上げていきます。

競技復帰に至るまでの計画

上の図は、外側半月板損傷の方に対しスポーツ復帰を目指して、

当院で実際に行った治療計画です。

以上にように、半月板損傷に対するリハビリでは、

損傷の程度や部位などを把握しながら膝関節に過度な

負担をかけずに運動を行うことが重要です。

一旦損傷した半月板はなかなか修復することは難しいですが、

トレーニングを慎重に行うことによってスポーツ復帰に導くことは可能です。

スポーツ復帰へのリハビリでお困りの方は、ぜひ参考にしてみてください。