膝蓋大腿関節症(膝蓋骨の脱臼を放置しておくと どうなるのでしょう?)

いままで、膝蓋骨の不安定症の御話と、
膝蓋骨が脱臼してしまうケースの御話をしましたが、
その後、どんなしわ寄せなどが出てくるのでしょうか?

決して全員がそうなるわけではありませんが、
違和感を放置しておくと、
膝蓋骨や大腿骨の軟骨を傷めたり、
行き着くところは骨にまで影響が出るケースがあります。

そこで、以下に当院であったケースを御覧頂きたいと思います。

膝蓋大腿関節症とは?

下の図は、膝をしたから見た図です。

膝蓋大腿関節は、膝蓋骨と大腿骨から構成される関節で、赤丸印で示した部分を言います。

下の図は膝蓋骨の裏を見ています。

白いつるつるの面が関節軟骨です。

膝の曲げ伸ばしの時に大腿骨の溝にうまくかみ合って
関節がスムーズに動くようにします。

下の図は、膝蓋骨と大腿骨の接触する部分を示したものです。

上の図の水色の部分は大腿骨が膝蓋骨の軟骨と
接触する部分を示しています。

上の図の水色の部分は膝蓋骨が大腿骨と
接触する部分です。 

上の左右の写真をみてわかるように、大腿骨と膝蓋骨は水色部分でうまくかみ合うようにできています。

しかし、膝蓋骨が外れるということが繰り返されると、
水色の咬み合わせ部分の一方だけに圧がかかって、
軟骨がすり減るという事態がおこります。

結果として、上の図の黄色の矢印の方へ膝蓋骨が移動して行き、青色矢印で示した部分で膝蓋骨と大腿骨がぶつかり、

膝蓋大腿関節症という状態になってしまいます。

膝蓋大腿関節症の画像所見

以下の図は、膝蓋大腿関節症のレントゲン画像とMRI画像です。

膝蓋大腿関節症のレントゲン画像

膝蓋骨が、外側へ偏移しており、赤色矢印で示した膝蓋大腿関節が接触していることがわかります。

膝蓋大腿関節症のMRI画像

赤色矢印の部分が接触部分です。

上の画像のイメージ図が、下で示したものです。

膝蓋骨が外に移動することで、大腿骨側の軟骨がすり減ってしまって、
赤い丸で囲んだ部分の膝蓋大腿関節症が生じていることになります。 

軟骨部分を守るためにも、
関節注射でヒアルロン酸を入れることが、
治療の一つになると思われます。

以下で、実際の症例をご覧いただければと思います。

60歳の女性です。

左膝の痛みを訴えて来院されました。

左の写真は初診時の外観写真です。

赤色矢印で示した部分に膝の痛みを訴えておられました。

左の写真は、少し斜めから膝を見ている外観写真です。

膝の外側(膝蓋骨の外側)に抑えていたい部分が見られました。

膝の曲げ伸ばしをすると、痛みが出るとのことでした。

左のレントゲン画像は、初診時のものです。

赤色矢印で示した部分が痛みを訴えていただ部分です。

膝蓋大腿関節の隙間が消失しており、骨の棘がかけてしまっているのか、骨片が認められます。

痛みの原因は、この膝蓋大腿関節症によるものと考え、ヒアルロン酸の注射による治療を行いました。

68歳の女性です。

左膝の痛みを訴えて来院されました。

膝を完全に曲げたり伸ばしたりができないとのことです。

また、膝の曲げ伸ばしでギシギシと音がなり、痛みも出るとのことでした。

左のレントゲン画像は初診時のものです。

赤色矢印の膝蓋大腿関節の隙間は消失しており、膝蓋骨と大腿骨が接触していることがわかります。

左のレントゲン画像は、膝を側面から撮影したものです。

痛みのない右側も膝蓋骨と大腿骨が接触していることがわかります。

左の膝蓋大腿関節でどのくらい変形が生じているか、痛みの原因は膝蓋大腿関節なのか確認する目的で、MRI撮影をおこなったものが左の写真です。

赤色矢印で示した部分が膝蓋骨を大腿骨の接触している部分で、大腿骨側に骨棘ができおり、膝蓋大腿関節症による痛みということがはっきりとわかりました。

ヒアルロン酸注射などをおこなっておりましたが、痛みが強く歩くのも困難になってきたため、手術を行いました。

膝蓋大腿関節症は一般に言う変形性膝関節症より見つけにくいものです。

症状や本人の訴えから病変を疑うこともできるのですが、
単純なレントゲン撮影では異常なしとかたづけられてしまうことがあります。

多角的に膝の状態を診ることで、膝蓋大腿関節症は発見できます。

膝の違和感があるのに、異常なしと言われた場合でも、
専門的にもう一度診てもらうことで、
根本的な原因がわかることがあります。

膝の違和感を甘く見ないで、専門医に診てもらうことで、
根本的な違和感の原因をつきとめ、
膝の問題解決をしていただきたいと思います。