膝内側側副靭帯損傷後のリハビリはどうしたらいいの?〜スポーツ復帰を目指して〜

スポーツ外傷の中で膝関節を捻って生じる怪我には靭帯損傷があります。

中でも、内側側副靱帯損傷は発生頻度が高く、

ラグビーや柔道のように直接外力を受ける競技や、

スキーやサッカーの際に方向転換をしようとして

受傷する場合など様々なスポーツの場面でみられます。

膝の内側側副靱帯損傷は損傷の程度によって治療の方針が変わってきます。

そこでこのページではスポーツ復帰を目的とした

リハビリメニューをご紹介していきます。

内側側副靱帯損傷の程度分類

上の図は、膝の内側側副靱帯損傷を三つの損傷度に分けたものです。

Ⅰ度は、小範囲の線維の損傷で、膝の不安定性を認めないものです。

Ⅱ度は、軽・中等度の膝の不安定性を認めますが、靭帯は完全断裂には至ってないものです。

Ⅲ度は、靭帯組織が完全に断裂したものです。場合によっては他の靭帯も合併して損傷しています。

膝の内側側副靱帯損傷に関して病態や治療法についてはこちらのページをご覧下さい。

膝の内側側副靱帯損傷

スポーツ復帰に向けてのリハビリの進め方

膝の内側側副靱帯損傷のリハビリには、固定療法と運動療法を損傷度合いに応じて進めていくことになります。

固定療法

Ⅰ度損傷の場合

治療期間中は関節の固定は

必要ありません。

スポーツ復帰の際には膝関節装具を着用しての復帰が望ましいと考えています。

左の写真は、

内側側副靱帯損傷治療用装具です。

Ⅱ度損傷の場合

受傷初期には、腫脹と痛みの軽減を目的に、ギプス固定または取り外しが可能なギプスシャーレを行います。

固定期間は、約10日行います。

その後は、上記の膝関節装具に

切り替えます。

スポーツ復帰の際には膝関節装具を着用しての復帰が望ましいと考えています。

Ⅲ度損傷の場合

受傷初期には、ギプス固定または取り外しが可能なギプスシャーレを行います。

固定期間は、約10日行います。

また、固定期間中は痛みの生じない範囲で体重をかけていきます。

膝関節装具に変更する際には全体重がかけれるようになっていることが目標です。

スポーツ復帰の際には膝関節装具を装着をした状態で復帰することとし、

不安定性に応じて数ヶ月間は装具を装着してのプレイが望ましいと考えています。

運動療法

筋力トレーニング

Ⅰ度損傷では、疼痛に耐えうる範囲で、出来るだけ速やかに自身で行える運動を

開始します。

Ⅱ度損傷では、膝関節装具装着下で痛みのない範囲で、

自身で行える運動を開始していきます。

また、痛みの程度をみながらトレーニングの強度を増強していきます。

Ⅲ度損傷では、疼痛、腫脹が軽減すれば外反ストレスがかからないように

膝関節装具装着下で自身で行える運動を開始していきます。

自身で行える運動

関節可動域訓練

Ⅰ度損傷では、疼痛に耐えうる範囲で、出来るだけ速やかに自身で行える

自動関節可動域訓練を行います。

Ⅱ度損傷では、膝関節装具装着下で痛みのない範囲で、

自身で行える自動関節可動域訓練を行います。

Ⅲ度損傷では、疼痛、腫脹が軽減すれば外反ストレスがかからないように

膝関節装具装着下で自身で行える自動関節可動域訓練を行います。

バランストレーニング

Ⅰ度損傷では、疼痛に応じてバランストレーニングを開始していきます。

Ⅱ度損傷では、全可動域が戻り、自身で行える運動が痛みがなく行えるように

なればバランストレーニングを開始していきます。

Ⅲ度損傷では、Ⅱ度損傷と変わりはありませんが、

原則として膝関節装具を着用下で、

外反ストレスがかからないように注意して行う必要があります。

俊敏性のトレーニング

Ⅰ度損傷では、疼痛に応じて俊敏性のトレーニング、ランニング、スポーツ動作を開始していきます。

Ⅱ度損傷では、全可動域が戻り、自身で行える運動が痛みなく行えるようになれば俊敏性のトレーニング、ランニング、スポーツ動作を開始していきます。

Ⅲ度損傷では、Ⅱ度損傷と変わりはありませんが、原則として膝関節装具を着用下で、外板ストレスがかからないように注意して行う必要があります。

ラダートレーニング

スポーツ復帰の基準は?

可動域、筋力、バランス能力、俊敏性が健側と同等のレベルまで

改善した段階とします。

また、Ⅱ度、Ⅲ度損傷の場合は、膝外反不安定性が健側と同等のレベルまで

改善した段階とします。

当院で膝関節装具装着下で不安なくスポーツ動作が出来ていれば、

スポーツ復帰とします。

スポーツ復帰までの流れ

Ⅰ度損傷の場合では、以下のようなリハビリメニューを行います。

Ⅱ度損傷の場合では、以下のようなリハビリメニューを行います。

以上のように、膝の内側側副靱帯損傷に対するリハビリでは、損傷の程度を見極めて、膝関節に過度な負担をかけずに進めていくことが大切です。

スポーツ復帰を焦るあまり、過剰な負荷をかけ続けることになると膝の外反不安定性が残存する結果となることがありますので、段階を経てスポーツ復帰を目指しましょう。