アキレス腱断裂のリハビリ
ギプス固定はだいたい3週間~6週間ぐらい行います。

その後、6週間以降からは、以下のような装具に切り替えます。
以下、装具について御覧いただきたいと思います。
短下肢装具

こちらの写真は「短下肢装具」です。
ギプスと違い、取り外しができるので、取り外してお風呂に入れます。
足に全体重をかけることができるので、歩行時にストレスを感じません。

この装具の特徴は、回復にあわせて踵の部分(赤丸で囲った所)の高さが変えられることです。
約1週間ごとに上げ底式の踵部分を低くしていきます。
最終的に踵が床にフラットにつく状態にまでもって行きます。
ギプス固定期間中の運動
アキレス腱断裂患部は固定して安静を保たなければなりませんが、
そのほかの部分はしっかり運動して筋力を落とさないようにすることが大切です。
ギプス固定期間中に足の筋力を落とさないことが、
ギプスが取れてからの回復に直結します。
以下、ギプス固定期間中に行っていただきたい運動についてご紹介します。

SLR
仰向けに寝て、良いほうの足の膝を立てておきます。
ギプスをした足を床から20~30cmの高さに上げて止めます。
5秒間静止したら、ゆっくりと下ろします。
10回を1セットとし、2~3セット行ってください。

Hip-abduction
ギプスした足を上にして、爪先を前面に向けて横に寝ます。
ギプスした足を床と平行になるぐらいまで上げます。
10回を1セットとし、2~3セット行ってください。

Reverse-ALR
うつぶせに寝て、ギプスをした足を床から20~30cmの高さまで上げます。
5秒間静止したら、ゆっくりと下ろします。
10回を1セットとし、2~3セット行ってください。

内転ボール
椅子かベッドに座ります。
膝の間にボールかクッションを挟み、両膝で押しつぶします。
10回を1セットとし、2~3セット行ってください。

タオルつかみ
足ゆびでタオルを手繰り寄せてきます。
こうすることで、足の内在筋の筋力強化をはかります。
アキレス腱の回りに走っている足指の筋肉の動きをなめらかにします。

ビー玉つかみ
こちらの写真は足の指でビー玉をつかんでいます。
足の固定後は、足の感覚が落ちます。
ですので、こういった運動をして、足の感覚を取り戻していきます。
固定解除後のリハビリ
固定解除後は硬くなった足首の動きを元に戻すように努力していきます。
また、ふくらはぎの筋力をつけていきます。
しかし、ギプスをとった時期が一番再裁断列の恐れがあります。
ですので、断裂部分にできるだけ負荷をかけずに運動することが大切です。
そこで、以下のような運動を行っていきます。

受傷後8週間ぐらいから足首を動かしていきます。
すねの筋肉も、ギプス固定のために弱くなります。
ですので、左のような背屈運動を行います。
ここで使っているゴムチューブは、リハビリルームで実費でお分けしています。(1mにつき500円です。)

足のふくらはぎの筋肉や、足を下へ向ける(底屈)する筋肉の強化運動です。
足首を固定すると、底屈する力がどうしても落ちるので、このような運動を行って、筋力強化をします。

この運動は腓骨筋を強化するものです。
この筋肉は足の安定性に関与するものです。
ですので、腓骨筋を鍛えることで、足の安定性を増して捻挫をしにくくします。

受傷後10週ぐらいから、カーフレイズを始めます。
足首の関節可動域がほぼ回復していれば(左右の足首が同じぐらい動かせる)左の動画のような運動を行います。
この運動は、ふくらはぎの強化運動です。
ギプス固定によって、弱くなっているふくらはぎの力を強化します。
断裂部分に負荷をかけたくないので、最初は手すりなどにつかまって少し踵を上げる程度で行います。
回復に伴って、徐々に自分の足に荷重していき、手すりなどに頼らないようにしていきます。
この写真では平面上で両足を使って行っていますが、回復のレベルに合わせて徐々に段差上で行ったり、片足で行うことで強度を上げていくこともできます。

受傷後約12週以降になると、バランスボードで感覚訓練を行います。
両足でバランスをとりながら足の感覚を徐々に戻していきます。
最初は両足でボードに乗る事から始めますが、徐々に片足で乗れるようになるまで訓練します。

受傷後約14週位になると、足を動かせるようになる反面、再断裂の危険性があります。
足を固定していたので、アキレス腱を伸ばす恐怖感があると思います。
その恐怖感が取れてきたら、ハーフスクワットを開始します。
10回を1セットとして、2~3セット行ってください。
以上のようなリハビリを経て、受傷後3ヶ月ぐらいで軽いジョギングや水泳などの運動を始めていただけます。
受傷後約6ヶ月ぐらいで、もとのスポーツへ復帰可能です。
アキレス腱断裂の治療ならびにリハビリには、入院の必要性はありません。
ですが、ご自宅でリハビリを無理なくかつ、地道に継続しておこなっていただくことが
アキレス腱断裂からの順調な回復につながります。
治療期間中は再断列に注意しながら、継続したリハビリを行って行きましょう!
関連する参考資料
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