上前腸骨棘裂離骨折

走っていて、股関節や鼠径部の痛みを訴える疾患の一つに、

上前腸骨棘裂離(じょうぜんちょうこつきょくれつり)骨折」という怪我があります。

筋肉の牽引作用によって起こり、発症すると歩くのも辛いほどの痛みを訴えます。

以下で、実際の症例を踏まえて、詳しくご説明したいと思います。

上前腸骨棘裂離骨折の原因

下の図は、上前腸骨棘裂離骨折が起こるメカニズムです。

骨盤の周辺には先にも述べたように足にまたがる筋肉がたくさんついています。 

上前腸骨棘と呼ばれる部分には上の図のように、縫工筋と大腿筋膜張筋と呼ばれる筋肉の腱が付いています。

その筋肉の作用により、ダッシュやジャンプ時の一瞬の強い収縮時に骨をはがしてしまうことがあります。

特に、スタートダッシュ時や、ゴール前の加速時に多く見られます。

発症時期の特徴

以下のグラフは、骨盤周辺の裂離骨折(上前腸骨棘裂離骨折・下前腸骨裂離骨折)がどの年代に多いかを示したものです。

この疾患は左のグラフで分かるように、15~16歳ぐらいの年齢でよく発症することがわかります。

骨が成長して、ちょうど完成しようとする時期に運動量が増えて一回の強いストレスによって
未完成の骨がはがれてしまうことがわかります。

レントゲン画像

レントゲン画像では、以下の写真のように描出されます。

上前腸骨棘裂離骨折
下前腸骨棘裂離骨折

正面から撮影したレントゲン画像ではわかりにくいため、少し斜めから撮影します。

レントゲンで、筋肉の付着部分に裂離骨折した骨片が確認できます。

以下で、実際の症例をご覧いただきたいと思います。

〜症例〜

16歳の男性です。

サッカー部に所属しています。

1か月前に痛みが生じたのですが、痛みが治まらず、来院されました。

こちらのレントゲン画像は、初診時のものです。
赤色矢印の部分の骨が少しはがれているのがわかります。

約1ヶ月間の練習の中止をし、経過を見ました。

こちらのレントゲン画像は、初診時に別角度から撮影したものです。

正面のレントゲンよりはっきり裂離骨折している部分(赤色矢印部分)がわかります。

股関節や鼠径部の痛みが続いている場合は、骨折している場合があります。

特に、成長期が未完成の時期に発症することが多く見られます。

逆に、骨の成長が終了している成人の場合は、筋肉の付着部炎といって、

骨と筋肉の付着部での炎症が痛みとなって出現します。

股関節、鼠径部の痛みが出現したら早い目にお近くの整形外科の受診をお勧めいたします。