脛骨疲労骨折(疾走型)

運動後に下腿の内側(下の写真で示した部位)が痛くなって

お困りになったことはありませんか?

下腿のスポーツ傷害の一つに『脛骨疲労骨折』があります。

この疾患は、繰り返す動作が原因で骨にストレスがかかって

徐々に骨折してしまう疾患です。

また、疲労骨折が生じた部位によって競技復帰にかかる期間が違うため

早期発見・早期治療が大切になってきます。

このページでは、疾患について、対処方法や、リハビリについて述べていきます。

疲労骨折はこうして起こります

左の図は、骨にかかる外力の数々を示したものです。

中でも、骨がたわむような外力がかかり続けると脛骨のような太い骨でも疲労骨折が起こります。

当院でみられた脛骨疲労骨折

2015年1月〜2020年5月までの期間で

当院にて脛骨疲労骨折と診断されたのは以下の通りです。

年代別での症例数は、10〜19歳代に集中し、中でも中学生に多くみられました。

15歳以上になると、運動量もさらに多くなり、トップレベルの運動を行う時期にあたるので症例数も増えています。

スポーツ別での症例数は、陸上競技・サッカーに集中していました。

やはり、『走る』という運動に共通してると思われます。

脛骨疲労骨折はこの部位で起こります

この図で、色の変わっている部分が疲労骨折の好発部位です。

太い骨が脛骨で、上端部・中央部・下端部・内果部に疲労骨折がよく生じます。

中でも、上端部と下端部は(疾走型骨折)とよばれます。

中央部は、(跳躍型骨折)とよばれます。

脛骨疲労骨折がおこる要因の一つに、骨の形状が関係します。

左側の写真は、足を前から見たものです。脛骨が内側にカーブしていることがわかります。

右側の写真は、足を横からみたものです。脛骨が前後にカーブしていることがわかります。

このような形状をしているので、脛骨が内側及び前方にたわむようなストレスがかかりつづけると、上端部・下端部・中央部に疲労骨折が生じます。

脛骨疲労骨折の診断

脛骨疲労骨折の治療において早期診断が大切になってきます。

そこで、以下のような手順をふんで確定診断に至ります。

上の左の写真で、赤矢印で示した箇所が痛む患者さんのレントゲン写真が右の図です。

レントゲン写真上では、痛みを訴える箇所には骨折を疑うような所見は認めません。(赤矢印で示した部分)

レントゲン写真では、異常所見を認めなくても、

骨内に何らかの変化が生じている場合があるためMRIを撮影します。

すると、圧痛部位に一致して色調の変化がみられたため、

早期に疲労骨折と診断できます。(赤矢印で示した部分)

以下で、実際に早期診断が出来た患者さんをご紹介します。

〜脛骨上端部での疲労骨折〜

16歳のバスケットボール部所属の男性です。

右膝の痛みを訴えて来院されました。

1週間前よりクラブの練習中に痛みを覚え、ジャンプや走る動作で痛みが増強するとのことです。

初診時の身体所見では、右脛骨上端部の圧痛と腫脹を認めました。(赤矢印で示した部位)

レントゲン写真を撮ってみましたが、明らかな脛骨の異常所見を認めず、左右差も認めませんでした。

右膝の側面からみたレントゲン写真でも異常所見は認めませんでした。

しかし、脛骨上端部の圧痛が強かったため脛骨疲労骨折を疑ってMRI撮影を行いました。

MRI画像では、圧痛部位に一致して脛骨上端部の輝度変化を認めました。

よって、脛骨疲労骨折(疾走型)と診断しました。(赤矢印の部分)

初診から2週間後のレントゲン写真です。

正面像・側面像ともに骨硬化像を認め骨癒合の過程であることが確認できました。

この時点では、痛みはありませんでしたがクラブ活動の中止を継続していただきました。

初診から4週間後のレントゲン写真です。

正面像・側面像ともに仮骨形成を認めたので骨癒合が得られたと判断しました。

この時点で、圧痛やジャンプ時の痛みが消失したため、クラブ活動の参加をしていただきました。

14歳のサッカー部の男性です。

左膝の痛みを訴えて来院されました。

1週間前よりクラブの練習中に痛みを覚え、痛みが強いため見学をしていましたが、歩くのさえも痛むため来院されました。

初診時の身体所見では、左脛骨上端部の圧痛と腫脹を認めました。(赤矢印で示した部位)

レントゲン写真を撮ってみましたが、明らかな脛骨の異常所見を認めず、左右差も認めませんでした。

左膝の側面からみたレントゲン写真でも異常所見は認めませんでした。

しかし、脛骨上端部の圧痛が強かったため脛骨疲労骨折を疑ってMRI撮影を行いました。

MRI画像では、圧痛部位に一致して脛骨上端部に骨折線を認めました。

よって、脛骨疲労骨折(疾走型)と診断しました。(赤矢印の部分)

クラブ活動中止の期間、下肢筋力トレーニングや下肢ストレッチを並行して行いました。

初診より2週間後のレントゲン写真です。

正面像・側面像ともに骨硬化像を認め骨癒合の過程であることが確認できました。

この時点では、圧痛を認めたため、引き続きクラブ活動の中止を継続していただきました。

初診より4週間後のレントゲン写真です。

正面像・側面像ともに仮骨形成を認めたので骨癒合が得られたと判断しました。

この時点で、圧痛が消失していたため、クラブ活動の参加をしていただきました。

〜脛骨下端部での疲労骨折〜

51歳の男性です。

右下腿の痛みと腫れを訴えて来院されました。

1ヶ月半前よりスポーツジムでランニングマシンで毎日5キロ走っておられました。

最近は、10キロを走り始め1週間前より痛みが出現してきたため来院されました。

左の写真は、初診時の外観です。

腫脹が右脛骨下端部にみられ、脛骨下端から近位4センチの部分に限局性の圧痛を認めました。(赤矢印の部分)

左のレントゲン写真は初診時のものです。明らかな脛骨下端部の異常所見を認めませんでした。

圧痛が限局してあったため、脛骨疲労骨折を疑い、早期診断のためMRI撮影をしました。

MRI画像では、圧痛部分に一致して骨折線を確認しました。(赤矢印の部分)

よって、右脛骨疲労骨折(疾走型)であると診断できました。

左のレントゲン写真は初診から約2週間後のものです。

脛骨下端部にわずかに仮骨が認められました。

しかし、痛みがまだ残っていたため、引き続き経過観察をしました。

左のレントゲン写真は初診から約1ヶ月後のものです。

脛骨下端部に仮骨が明瞭に認められました。

この時点で、痛みも消失していたため、経過観察を終えました。

脛骨疲労骨折は早期診断をすることにより早期治療にとりかかれるため、

結果として早期にスポーツ復帰が可能となります。

また、活動休止期間中も下肢筋力の強化や再発予防のための

ストレッチを並行して行うことにより、

スポーツ復帰時に身体能力を落とすことなく参加することができます。

スポーツ復帰の治療法についてはこちらをご覧ください。

脛骨疲労骨折の予防法〜筋力トレーニングとストッレチングの方法〜