術後の経過について以下でご説明させていただきます。
<手術直後の患部の状態について>
・術後の安静について: 当日は患部を安静にする目的でガーゼや包帯で保護させていただきます。
・感染予防のため: 手術当日と、術後の2日間は患部をぬらさないようにしてください。
・薬について: 化膿止め(抗生剤)は必ず飲んでください。痛み止めは痛くなければ飲む必要はありません。
<術後の経過>
術後の経過については、おおむね以下のような経過をたどります。
1、術後1週間は、痛みと腫れのために指の曲げ伸ばしは不自由です。しかし、安静にする必要はありません。自由に動かしてください。仕事もできます。
2、術後2週目から、積極的に動かしましょう。痛みが強ければ、相談に来てください。
3、体質によって、腫れがきつく、痛む場合もあります(特に、中指)。その場合は、腫れを引かせる薬(ノイロトロピン、リザベン)を投与したり、ステロイドの注射を行います。
この処置で、症状は軽快します。
4、母指(親指)の場合は、回復が早く、1か月もすれば、快適な生活に戻る事が出来ます。
5、中指(特に男性)の場合は、手作業などの仕事のために、皮下組織の腫れが消褪せず、痛みが長引いてしまう事があります。
6、術後6カ月ごろまでは物(ゴルフクラブ、ラケット、棒状のものなど)を握ると、傷が痛むことがあります。これもいつの間にか無くなります。
7、1年後までには、傷の違和感も取れ、快適な生活を送る事が出来ると思います。
手術後しばらくは、ご不自由ですが、以上のような経過をたどって回復していくことをご理解いただければと思います。
1日も早いご回復をお祈りしております。
<術後6カ月までの患部の状態について(患者さんからのよくあるご質問にお答えいたします。)>
術後6か月までの時期では、普通の場合は指の引っかかり感もなくなり、問題なく指が動かせるようになります。
しかし、中には患部の腫れやこわばりが生じて、指の動きに違和感を生じる方などもいらっしゃいます。
以下、よくある患者さんからのご質問にお答えしていきます。
Q1、手術後、仕事で手をよく使うのですが、なかなか痛みが引きません。大丈夫ですか?
A:仕事の都合上、早い時期に現場へ復帰しなければならなかった為、炎症が長引き、痛みも治まらない場合があります。この場合は、来院していただき、患部の炎症、腫れを治める薬を服用していただくことで回復していきます。また痛み、炎症が強い場合は手術部へ炎症止めの注射をすることで良くなりますので、ご相談下さい。
Q2、手術後、傷口に腫れや違和感が気になります。どのぐらいこのような状態が続きますか?
A:皮膚の下で生じる浮腫、炎症が原因で、なかなか腫れや痛みがひかないことがあります。この場合は少し長くなりますが、6ヶ月から1年の間で徐々に症状が回復してきます。薬、炎症止めの注射などで対処できますのでご来院下さい。
Q3、術後も運動したとき痛く、こわばりもあります。関節の動きも悪いのですが、どうしたらいいですか?
A:まれですが、腱と腱鞘が癒着し、関節が曲がった状態になっていることがあります。しかし、指を動かしていただくことで可動域が広がってきます。自宅でのリハビリとしては、風呂の中で反対側の手で痛みの出ない範囲でゆっくりと指の曲げ伸ばしをしてみてください。このように徐々に動かしていただいている間に、気が付いたら指の動きが少しずつスムーズになってきます。
手術後の経過についてご心配のある場合は、お気軽にご相談下さい。
上記のご質問以外のことでお悩みがあったり、術後の痛みやこわばりが残る場合には、確認の為に超音波検査を行い、状態を確認させていただきます。
すみやかなご回復をお祈り申し上げます。