ご自宅で、誤って転倒してしまって、骨折してしまったという場合、
状況によっては救急搬送されて、入院もしくは手術というケースがあります。
しかし、なかには手術をしなくても治せて、入院の必要もないといったケースもあります。
骨折をした場合には、「動かしてはいけない」という概念にとらわれていて、
入院中もじっとしていたり、入院しなかったとしても、お家に閉じこもりがちになったりして、
運動量が極端に減ってしまう場合も見受けられます。
実際は、骨折部さえ固定していれば、身体を動かしても大丈夫です。
このページでは、当デイサービスに通いながら、骨折の治療もできたという事例をご紹介します。
骨折をしていても、動かせる部分は動かした方が良いです!
体調を崩して、しばらく寝込んでしまって、治ったと思ったら、体力が落ちたと感じたことはありませんか?
骨折をした場合も同じで、まずは、骨折した箇所をギプスなどで固定することで、治すことが最優先になりますが、
安静にしなければならないということで、不活発な状況を作ってしまうのは、体力を落としてしまうことにつながります。
この体を動かさないことによって生じる体の障害のことを総称して「廃用症候群」といいます。
不活動によって身体が受ける影響
身体的な影響 | 精神的・社会的影響 |
身体能力や体力の低下 | うつ状態 |
骨格筋の筋量や筋力の低下 | ストレスの蓄積 |
呼吸機能の低下 | 閉じこもり傾向 |
血圧の調整障害 | 対人関係の不調 |
自律神経調節機能の障害 |
骨折の治療を行いながら、以上のような「廃用症候群」の状態にならないようにする必要があると考えます。
そこで、デイサービスきずなでは、利用者さんの骨折によって生じる不活動な状態を作らないように、
通所しながら、骨折治療も可能にしています。
普段の生活を続けながら骨折を治す方法があります!
以下にデイサービスへ通いながら治療を続けるメリットをあげてみます。
私たちが考える機能訓練の方針は、患部の治療だけでなく、身体的・精神的にも充実して、
利用者さんに生き生きとした生活を送っていただくことを最終目標にしています。
実際に、こういう経過で治りました!
上でご紹介した方針に沿って、デイサービスに通いながら骨折治療も平行して行った事例です。
上腕骨近位端骨折の場合
70歳の女性です。
デイサービスへは、左半身麻痺に対する機能訓練を目的に通所しておられました。
ある日、自宅で転倒して、上腕と肩を強く打ち、受傷されました。
ご家族とご本人の希望で、入院はしたくないとのことで、
在宅での治療を選択されました。
半身麻痺があるため、現状の生活能力の低下は避けたいというご希望もあり、デイサービスに通いながら、骨折治療を行うことを希望されました。
この写真は初診時のものです。
患部の固定は三角巾とバンドで行いましたが、ほかの箇所は動かせるので、エアロバイクを行ったり、右腕はチューブを使ってトレーニングを行っていただきました。
1ヶ月後には、骨折部の部分的な骨癒合が見られ、経過は順調でした。
さらに、2ヶ月後のレントゲン写真では、骨折部を取り巻くように、新しい骨が形成されて、完全に骨癒合が得られていました。
受傷してから、骨癒合に至るまでの間、いつもと変わらない生活ができ、また、デイサービスでの他の利用者さんとのコミュニケーションも維持できました。
第5中足骨骨折の場合
84歳の女性です。
2年前に転倒した経緯があり、その後も転倒予防を目的にデイサービスに通っておられました。
ある日、道路の段差に誤って足がひっかかり、足をねじって受傷されました。
ご自宅近くの病院で応急処置を受けましたが、一人暮らしでもあり、日常生活上、足を固定されると不便なため、どのように今後生活すれば良いのか、デイサービスに相談に来られました。
こちらは初診時の写真です。
ご本人は、入院はしたくない。
ギプスで完全に固定されると、歩きにくくて困るので、完全なギプス固定は避けたいということがご希望でした。
そこで、患部の痛みが落ち着くまでの1週間は、取り外しのできるギプスにして、入浴も可能にし、その後、足底板に切り替えて靴が履けるようにしました。
デイサービスにも通っていただき、上半身の筋力トレーニングや、痛みのない範囲で、足趾や大腿の筋力トレーニングを平行して行いました。
3週間後のレントゲン写真では、骨折部も安定して、痛みもなく、歩いて過ごしておられました。
中手骨骨折の場合
80歳の女性です。
以前から、軽度の認知症があり、徐々に閉じこもり傾向があったため、
交流機会の獲得を目的にデイサービスを利用していただいていました。
ある日、玄関先で滑ってしまい、左手をついて受傷されました。
受傷直後は、ねんざ程度だと思っておられたのですが、痛みが長引くので、デイサービスに連絡があり、
もし、骨折していたら、病院へ行ったら、入院や手術だと言われるといやだということでした。
とはいえ、レントゲンを撮って、状態を確認してもらったほうがいいので、整形外科の受診をしていただきました。
こちらの写真は、整形外科を受診された時のものです。
この方は、認知症もあるので、入院せずに在宅生活を続けながら、治療した方が良いという判断で、
左手はギプス固定を行いながら、デイサービスに通うことになりました。
左の写真はギプス固定した状態で撮ったレントゲン画像です。
受賞後1ヶ月で骨折部が安定していて、2ヶ月後には、完全な骨癒合が得られました。
認知症の症状も進行することなく、 他の利用者さんとのコミュニケーションも良好に維持できていました。
以上のように、利用者さんの生活を中心にして、
医療の視点から入院をせずに骨折を治すということと、
介護の視点から在宅生活を維持するという両面を融合して、
利用者さんをサポートしていくことで、
より良い結果を目指しています!