変形性関節症の代表的な治療には、関節に栄養剤を注入する治療法があります。
その他にも、他のページでご紹介する装具療法や運動療法などがあります。
このページでは、膝関節内に栄養剤を注射する効果についてお話したいと思います。
関節注射液の主成分はヒアルロン酸です。
ヒアルロン酸というのは、もともと目や皮膚、関節などに含まれている成分です。
左図のように、ヒアルロン酸は鎖状の構造をしていて、体内では細胞の間で水を保持しています。
ですので、細胞や周囲の組織に適度な潤いを与え続けています。
ヒアルロン酸の保水力は1gで、6リットルの水を保持するといわれるぐらい大変優れています。
ヒアルロン酸は、体の中のさまざまなところに存在しています。
特にへその緒や関節液、皮膚、目などに多く含まれています。
赤ちゃんの肌がみずみずしく張りがあるのは、ヒアルロン酸を多く含んでいるからです。
保水性に優れているので、ヒアルロン酸は皮膚に潤いを保つ化粧水や、スキンクリームなどに応用されています。
関節の中では、左の図の水色の部分(関節腔)において、関節液の中に含まれています。
関節の動きをよくする潤滑作用や、クッションのように衝撃を吸収する働きをしています。
体の中のヒアルロン酸の量は、加齢とともに減っていきます。
関節の変形などにより、関節軟骨がすり減ってくると、クッション性や循環が悪くなって関節に痛みが出てきます。
症状としては、歩き始めるときに膝に違和感を覚えたり、階段の登り降りの際に痛みが出てきます。
ヒアルロン酸の特徴を生かして、膝や肩の関節に注射を行うことがあります。
注入している薬剤は、高分子ヒアルロン酸です。
ですので、もともと体内にある成分を補っているだけので、副作用などの心配はありません。
ヒアルロン酸注射の効果としては、関節の動きをよくする他、炎症をおさえたり、軟骨の摩耗もおさえます。
ただ、痛み止めではないので、1週間に1度、5週間ぐらい続けてみて状態を見てください。
徐々に動きがよくなり、痛みも和らいできます。
このように、注射をすることで、関節が動きやすくなって、痛みも和らぎ、生活の質を上げることができます。
参考資料 企画:科研製薬株式会社
(ヒアルロン酸と関節のお話)
参考資料: 中外製薬 パンフレットより
具体的に、ヒアルロン酸がどういう働きをしているのかというのが上の表です。
上の表のように、ゆっくり歩くような動作の時には、オイルのような潤滑作用があり、
関節をスムーズにさせる作用があります。
また、少し運動レベルが上がってジョギングやジャンプなどの動作時には
ゴムのようなクッション機能を果たします。
注射をすることに抵抗がある方も多いとは思いますが、最近では注射針も細くなってきて、
注射をする時の痛みも、さほどありません。
ヒアルロン酸注射によって、関節の動きを良くして、
スムーズに歩いたり、肩を回せる様になったりすることで、
日常生活上の支障を無くし、生活の質を向上させることがこの治療の目的なのです。
このほかにも、運動療法によって膝を安定させて、
膝の痛みを軽減させる方法もあります。