脛骨疲労骨折に続いて腓骨疲労骨折をご紹介します。
下腿の疲労骨折で脛骨ほどは多くないですが、
なかなか痛みがとれなくて、
後でレントゲンをとってみると疲労骨折だったと判明することがあります。
このページでは、実際どんな疾患であるのかを御紹介します。
左の図は、腓骨の疲労骨折が起こりやすい場所をしめしたものです。
腓骨はランニング時に図で示したように
衝撃によって内側へたわむことを繰り返しています。
ウサギ跳びのときは、外側へたわむことを繰り返しています。
このようなたわみによって一か所にストレスがかかり、
疲労骨折がおこります。
なので、現在はうさぎ跳びは
トレーニングとして行われなくなっています。
〜症例1〜
では、実際の患者さんの症例を見てみましょう。
13歳のバスケットボール部所属の男の子です。
1か月前にバスケットボール部に入部してから下腿の痛みが強くなり、体育では陸上の授業があり、走れないぐらい痛くなったので、来院されました。
痛みのある場所を角度を変えてレントゲンを撮ってみると、矢印の先の部分に骨膜反応像があり、腓骨での疲労骨折であるとわかりました。
骨膜反応像というのは、度重なる骨へのストレスがかっている証です。
骨の一部分に集中してストレスがかかり、小さな骨折が生じた個所が、治癒しようとして骨がわいてきている状態の映像です。
さらに1か月後にレントゲンを撮ってみると、骨の太さが変わり、しっかりとした仮骨ができていることがわかりました。
仮骨とは、橋渡しの骨で、この橋渡しができれば、後は骨の中身が詰まってくるのを待つだけです。
仮骨が形成できれば、骨がつき始めている証拠なのです!
この時点で痛みも無く、練習にも復帰できました。
〜症例2〜
次は高校2年生、陸上部所属の女性です。
3週間ほど前から走ると痛みがありましたが、大会が近付いており、練習を休むことなく、痛みを我慢しながら続けていました。
すると、歩く時の痛みも出て来て、ちかくの治療院に通院していましたが、痛みが変わらないため、当院へ来院されました。
症状としては、体重をかけると痛いということと、外くるぶしのやや上に強い痛みがあるということでした。
こちらの初診時のレントゲンでははっきりとした所見はありませんでした。
しかし、圧痛の場所や、痛みの程度などから腓骨疲労骨折を疑い、経過を見ることにしました。
治療としては、アップシューズに足底板を入れることと、痛みが出ない範囲での練習を許可しながら、試合に向けての調整をして行きました。
こちらのレントゲン写真は初診時より6週間後のものです。
左のくるぶしの上のあたりにうっすらとふくらみが見えました。
(赤丸部分)
別の角度からレントゲンを撮ってみると、骨膜反応像がよくわかります。
(赤丸中央部)
この時点で痛みもなく、練習もできていました。
その後、再発もなく、問題なく過ごすことができています。
腓骨の疲労骨折はしばらく痛みがあっても我慢していて、
いよいよ我慢できなくなって来院されるケースが多いようです。
くるぶしの上の部分が痛くなって、なにかおかしいと思ったら、
痛みを我慢せずに早めに整形外科を受診されることをお勧めします。
楽しくスポーツをするためにも、痛みが出た時点での治療開始が一番です!
早い目に対処すれば、その分早く治ります!