スポーツ中に生じる足の痛みは、パフォーマンスの低下を引き起こします。
このページでは、スポーツ中の痛みを足底板によって軽減できた症例を御紹介したいと思います。
〜症例1〜
50歳の女性です。
左足の親指の付け根が痛いということで、来院されました。
半年前より、同部位の痛みが強くなり、特にテニスのプレー中に痛みがひどく、プレーに支障が出て困っておられたそうです。
赤矢印で示した部分が右側に比べて腫れていることがわかります。
左右の足の状態を比べてみるために、足指を自力で背屈していただくと、左足の親指は、上手く背屈しないことがわかります。
さらに、他動的に背屈を試みても、左の親指は、上手く曲がらないことがわかりました。
このことから、母趾MTP関節そのものに何らかの原因があると考えられました。
ご本人の訴えから、実際に使っておられるテニスシューズを見せていただいたところ、 左側にある底が固い靴では、テニスのプレー中に痛みはあまり出ないのですが、右側の底が柔らかい靴では、痛みが出るとのことでした。
レントゲンを撮って関節の状態を確認したところ、やはり、母趾MTP関節の隙間は狭くなっており、 一部に骨棘も形成されていたことから、強剛母趾という診断ができました。
この場合の治療法として、プレー中に背屈をしたときに、この図にある赤い丸で囲んだ部分に圧がかからないようにすることを治療の方針として考えました。
また、日常で痛みが出ないように工夫しました。
そこで、考え出したのが左の足底板です。
上から見ると、足指の全体を囲むようにしてありますが、足の親指の部分をとくに守るように作ってあります。
素材は熱可塑性の板を使い、患者さんの足の形状に合わせて加工してあります。
裏から見ると、取り外しが簡単にできるようにマジックベルトで着脱が可能にしてあります。
正面から見ると、サンダルのように足指の先が出るようになっています。
母趾MTP間接の周辺は、直接固い素材が当たって痛くならないように、衝撃緩和素材を入れています。
横から見た写真でもお分かりいただけるように、母趾MTP関節が背屈しにくいようにしてあります。
一番の問題は、テニスのプレー中の痛みを軽減することであったので、テニスシューズへの工夫も試みました。
底が固い靴では痛みがないということであったので、ご自分が履きなれたテニスシューズの底に熱可塑性の板を入れて、靴底が固くなって背屈しにくくなるように工夫しました。
インソール装着前と、装着後の状態を比較したのが左の写真です。
装着後は背屈しにくくなっていることがわかります。
インソール装着後は、母趾MTP関節が背屈しにくくなったので、痛みも軽減し、プレーにも支障が出なくなり、楽にプレーできるようになりました。
強剛母趾はMTP関節の背屈制限があり、背屈角度が強くなると痛みも生じるため、
に足底板を入れてなるべく背屈しないようにして、痛みを軽減することで、
スポーツのプレーも元通りにできるようになります。
強剛母趾には足底板が有効です!
足の親指が痛い場合には、ぜひ当院リハビリでご相談ください!