今回はランニングしている方に多く見られる疾患について述べていきます。
走った後、下の写真の矢印で示した部分が痛くなったことはありませんか?
この部分が痛くなる疾患には「シンスプリント」という疲労からくる骨膜周辺の痛みと、
骨そのものが「疲労骨折」となっている疾患の2つが考えられます。
いずれも、オーバーユーズで生じるものですが、
場合によっては完全に長期に運動を休止しないといけない事態になります。
このページでは、シンスプリントについて、
対処方法や、リハビリについて述べていきたいと思います。
シンスプリント
下腿内側の痛みというのは、脛骨(向こうずねの骨)にそって痛みが多く出ます。
特に、脛骨の下3分の1ぐらいのところによくみられます。
この部位は、筋肉の付着部でもある部分で、この部分で炎症を起こす場合があり、これを「シンスプリント」といいます。
場所がほぼ同じで、ある一点に集中するような痛みがある場合、その部分での疲労骨折を疑います。
同じ部分で痛みが生じるので、最初はどちらかわかりづらいというのが実情です。
下腿と足部にかかる筋
シンスプリントの原因となる筋肉としては、
上の図にあるような足首や足の指を使うための筋肉があげられます。
それらの筋肉は下腿から始まっており、
この部分の筋肉を集中して使うことになると、
疲労が集中してたまることになります。
また、身体的な原因も重なって、シンスプリントは生じます。
この図のように、ある程度正常な土踏まずがある場合には、
ショック吸収をアーチでできます。
しかし、アーチがないとショック吸収ができないので、
アーチを形成する筋群(後脛骨筋や長趾屈筋など)にストレスがかかることになります。
それにより、筋群の脛骨付着部周辺に痛みが出現してきます。
また、こちらの写真のように、
下腿と足部のアライメントが内側へ
湾曲する傾向にある場合、
足の内側の筋肉がより伸張されます。
同時に、足部のアーチが低下することになるため、ストレスが筋群の脛骨付着部周辺にかかり、シンスプリントが発生し易いといわれています。
治療について
シンスプリントは回内足傾向のある方に比較的多くみられます。
そのため、足底板療法が有効です。
上の外観写真の①は、右足が回内足を呈しています。
そこで、②のように足底板治療をすることで、回内足が改善されているのがわかります。
回内足が原因となって起こるシンスプリントには足底板療法が有効です。
回内扁平足についての詳しいページはこちらをご覧ください。
足のオーバーユーズによる障害は、上のように下腿の内側に痛みが生じてくる場合が多く、
シンスプリントと思って経過を見ていると、疲労骨折であるとわかる場合も見られます。
痛いのを無理して運動を続けていると、難治性になり、復帰までに時間がかかってしまうので、
痛くなったり、おかしいと思った時点で、早い目に整形外科を受診することをお勧めします。
脛骨疲労骨折(疾走型)のページはこちらをご覧ください。