当院では、手根管症候群に対して、日帰りで行える手術を行っています。
以下は当院の手根管症候群の手術件数です。
手根管症候群 総手術件数;217手
手根管症候群の手術で、手のしびれや、痛みが楽になるのか、
どのような経過で、治っていくのかなどについて、
手術を受けられた患者さんにアンケート調査を行いましたので、
以下でご覧いただきたいと思います。
手根管症候群の状態を知るためのアンケート
当院では、手根管症候群の手術を行う患者さんに以下のアンケートにご協力いただいております。
このアンケートは「日本手の外科学会」の「手根管症候群質問票」として使用されているものです。
赤色の枠で囲んだ部分は、手根管症候群の重症度を把握するためのものです。
痛みやしびれが強いといっても、個人差があるので、
具体的に患者さんがどれぐらいつらいのかを理解するために行います。
また、青色の枠で囲んだ部分は、
実際に日常生活でどの程度不便や困難が生じているかを把握するためのものです。
このアンケートを、
手術前・手術後1週間・手術後1ヶ月・手術後3ヶ月で18人の方にご協力いただきました。
以下で、このアンケートの結果をご覧いただきたいと思います。
症状の重症度について
以下のアンケートは、手根管症候群の重症度をみるものです。
以下のように、質問に対して5つの回答があります。
各回答番号は、そのまま重症度を示す指標になっています。
この指標が高いほど、重症度は高いと言えます。
それぞれの質問にSS1からSS6まで番号をつけ、平均を出し、グラフ化したものが左下のグラフです。
SS6以外の質問項目では、1週間で明らかに症状の改善が見られ、
3ヶ月後には、手術を受けられたすべての患者さんが、満足のいく結果となりました。
SS7からSS11まで番号をつけ、平均を出し、グラフ化したものが左下のグラフです。
SS11以外の質問項目では、1週間で明らかに症状の改善が見られ、
3ヶ月後には、手術を受けられたすべての患者さんが、満足のいく結果となりました。
以下のグラフは、上記重症度の合計点数の推移を表したものです。
手術前に比べ、手術後は時間の経過と共に、右肩下がりに症状の改善がみられます。
日常生活に対する手根管症候群の影響
以下のアンケートは、手根管症候群の機能的状態をみるものです。
実際の日常生活のなかで、どれぐらい不便を感じているかをみています。
以下のように、質問に対して5つの回答があります。
各回答番号は、そのまま日常生活に対する支障の度合いを示す指標になっています。
この指標が高いほど、日常生活での支障が大きいと言えます。
それぞれの質問にFS1からFS8まで番号をつけ、平均を出し、グラフ化したものが左下のグラフです。
術後機能の回復は、時間はかかっているものの、少しずつ改善傾向にあることがわかります。
機能状態は術後すぐの改善はあまり見られず、緩やかに改善されていくことがわかります。
以下のグラフは、上記機能状態の合計点数の推移を表したものです。
緩やかに右肩下がりになっており、昨日状態が回復していることがわかります。
以上の内容から、手根管症候群に対する手術療法では、
手のしびれや、痛みに関しては、術後すぐに症状の改善が見られます。
朝の手のしびれや痛みでつらい思いをされているかなどは、
すぐに手術の効果を感じていただけると思います。
それに対して、手の感覚や、筋萎縮による機能障害などの回復には時間を要します。
神経の圧迫による、組織の回復には、時間がかかるためです。
手根管症候群による、手術では、以上のような症状の改善が期待できるので、
保存療法(装具療法)で症状の改善が見られない方は、手術療法を良いかもしれません。
家事やお仕事で、支障がある方は、一度整形外科でご相談ください!