骨折や脱臼は手術をしないと治らないと思われているものが多いのですが、手術をしないで治せる可能性もあります。
手術をしないで治療することのメリットとしては、手術と比べて通院で治療ができるため、治療費が抑えられることや、
手術後入院が必要となり仕事ができなくなるなどといった生活の質の低下が避けられるという点にあります。
しかし、総ての患者さんに手術をしないで治すという方法が適応されるわけではありません。
当院では、どうしても手術が嫌だとおっしゃる患者さんや、その疾患が手術以外の方法で治せる可能性がある場合に限り、
ギプスなどを用いて治療を行っています。
当院で行っております、手術をしないで治せる可能性のある病気や怪我について、以下の各ページで詳しくご覧いただきたいと思います。
外傷編
上肢
橈骨遠位端骨折 |
橈骨遠位骨端線損傷 |
中手骨骨折(頚部) |
中手骨骨折( 基部・親指) |
中手骨骨折 (基部・その他) |
中手骨骨折(骨幹部) |
マレットフィンガー(Ⅲ型) |
上腕骨近位端骨折 |
基節骨骨折 |
上腕骨顆上骨折 |
伸筋腱脱臼 |
手の舟状骨骨折 |
中節骨骨折 |
中節骨基部裂離骨折 |
橈骨頭骨折 |
体幹
下肢
ガングリオンや靴による圧迫が原因の末梢神経麻痺
スポーツ障害編
保存療法を目的として当院にご来院になった方
橈骨遠位端骨折は高齢者に多くみられる骨折です。
当院では、できる限り入院をせず、外来(通院)で行える
ギプス固定による保存療法を行っています。
不安定な骨折であっても、手術せずに治療ができる可能性があるならば、
保存療法の方が患者さんにとっては、有効な治療になると考えています。
できるだけ、患者さんに負担のかからない治療法を選択して、
患者さんのご希望に沿う形で治療を進めていこうと考えています。
鎖骨骨折は、子供から大人まで幅広い年齢層で見られる骨折です。
当院では、鎖骨骨折に対して、ほとんど手術をせずに、
固定療法による治療で、骨癒合が得られています。
骨折部の転位と痛みが強い受傷直後の場合は、
ギブスによる固定を行います。
ギプス固定の後や、痛みや転位が軽度のものには、
クラビクルバンドの固定を行います。
骨折部がかなり離れていると、骨癒合が困難に思われがちですが、
ほとんどの場合、固定をすることで、骨折部は近づき、骨癒合します。
鎖骨骨折はほとんどの場合、手術をせずに治療が可能です。
鎖骨骨折の中でも、鎖骨の真ん中よりも外側で起こる骨折を
鎖骨遠位端骨折といいます。
この骨折は、難治性であるといわれており、
通常の鎖骨骨折よりは、骨折部が不安定であるため、
手術療法が選択される場合が多く見られます。
当院では、鎖骨骨折に使用するクラビクルバンドの固定を行ったり、
肩鎖関節脱臼で用いる肩鎖関節バンドなどを用い、
できるだけ手術をせずに治療できる方法を工夫して行っています。
骨折のタイプにもよりますが、どうしても手術は嫌だとおっしゃる場合、
患者さんとともに、協力しながら保存療法を行っています。
成長期腰椎分離症は、スポーツを活発に行っている、
成長期の子供さんによくみられる腰椎の疲労骨折です。
治療方法は、骨癒合の可能性が期待できると検査でわかれば、
スポーツの中止と、コルセットによる固定を行います。
子供さんにスポーツの中止をお願いすることは非常に心苦しいのですが、
骨癒合を目的とした保存療法を行える時期は、成長期の今しかありません。
当院では、できるだけ骨癒合を目指して保存療法を勧めています。
有痛性分裂膝蓋骨は思春期の子供さんにみられる膝蓋骨の裂離骨折です。
サッカーや野球をしているお子さんに多く見られ、
走ったりすることで、痛みを訴えます。
治療は、スポーツを中止して、痛みが強い場合は、
ギプスや装具などの固定を行います。
有痛性分裂膝蓋骨は思春期の時期であれば、
手術をしなくても骨の形成力が旺盛なため、
早期発見・早期治療をすれば、骨癒合することが可能です。
成人になってからでは、骨癒合させることはできず、
痛みがあれば、手術をするしか方法はありません。
子供さんにスポーツの中止をお願いすることは非常に心苦しいのですが、
骨癒合を目的とした保存療法を行える時期は、成長期の今しかありません。
当院では、できるだけ骨癒合を目指して保存療法を勧めています。