五十肩はこうやって固まっていきます!

五十肩(肩関節周囲炎)が発症すると、痛みが生じます。

痛みがあるからといって、全く肩関節を動かさないようにしていると、徐々に肩関節は動かなくなってしまいます。

その結果、髪をとく動作や、ズボンの後ろポケットに手を入れるなどの日常生活動作に支障をきたすことになります。

このページは五十肩(肩関節周囲炎)でお困りの方が、少しでも楽になっていただけるようにという思いで作成しました。

五十肩がどうやって発症し、どのような経過をたどって治っていくかなどについて、以下でご説明していきたいと思います。

肩関節の構造

肩甲胸郭関節は、以下の図のように、上肢を挙上する際、肩甲上腕関節の動きに連動し、肋骨の上を肩甲骨が活動します。

肩関節を取り巻く軟部組織(筋肉や滑液包)

全身にある関節の中でも、肩関節は自由度の大きい関節です。

あらゆる方向に自由に動かすためには、骨だけに限らず、その周りに存在する筋肉群や滑液包の働きが必要となります。

このように、肩関節は骨、軟骨を取り巻く軟部組織の働きと、いくつかの関節が共存し合いながら動いていることがわかります。

そこで、筋肉や関節の一カ所でも不具合が生じると、肩関節の円滑な動きが妨げられることで痛みが生じたり、動かし方に異常が生じます。

「こんなに肩が痛いのに、レントゲン写真で異常なしって、どういうこと?」

肩が痛くて整形外科を受診して、最初にレントゲン写真を撮ったら、
「骨には異常はありません」という説明を受けた方も多いのではありませんか?

先の項目でも述べたように、肩関節は、筋肉や滑液包などの軟部組織で取りかこまれています。

五十肩(肩関節周囲炎)では、多くの場合骨や軟骨に病変が生じるというよりも、
軟部組織の病変が原因であるので、骨の変化をとらえるレントゲン写真では、正常な画像として写るのです。

上の写真の様に、見比べてみると五十肩(肩関節周囲炎)では、上腕骨の形状も滑らかで、
肩甲骨の形状も、異常は見られないことがわかります。

五十肩(肩関節周囲炎)の痛みはいつまで続くの?

五十肩(肩関節周囲炎)は以下の表のように病期分類されています。

炎症期といわれる痛みが強い時期は、2~9ヶ月、拘縮期は4~12ヶ月、回復期が5~24ヶ月と幅があると言われています。

上の表にも示したとおり、五十肩の痛みは各時期によって、原因が違います。

各時期に、施す治療も違ってきます。

このように五十肩(肩関節周囲炎)の痛みが長く続くのを防ぐためには、
今どの病期に当たっているのかを見極めていくことが大切になってきます。

治療に関しては、また別のページで、詳しくご紹介します。

五十肩(肩関節周囲炎)はこうやって固まっていきます!

正常な肩関節の動き

関節包は肩関節の安定性に寄与しています。

以下の図のように、肩を挙上したり、動かすことで伸張されます。

健常な肩関節では、腕を下げていると、関節包の下にゆとりがあります。

腕を上げていくと、②のように関節包は適度に緊張し、上腕骨頭もそれに連動し上方に移動します。

さらに腕を上げていくと、③のように下方の関節包は緊張し上腕骨頭も連動して下方へ移動します。

このように、腕を上げる一連の動作では、関節包の適度なゆとりと緊張がうまく作用して、上腕骨をスムーズに誘導しています。

これが拘縮を起こしていない肩関節の動きです。

拘縮を起こした状態の肩関節
(関節包の緊張による)

以下の図は、関節包の伸張性が低下した状態の肩関節の動きです。

①のように腕を下ろしている状態でも、下方の関節包にゆとりが見られなくなっています。

その状態で、②のように腕を挙上していくと下方の関節包は緊張してしまい、腕を上げられない状態、
つまり肩関節の拘縮がおこってしまいます。

②肩関節周囲筋の短縮(緊張)による拘縮

肩関節の拘縮が起こるもう一つの原因は、以下のように筋肉の緊張です。

以下の図のように腱板の炎症や肩峰下滑液包の炎症が引き金になり、筋肉の緊張が生じます。

肩関節周囲筋周囲の痛みが長引けば、防御反応の悪循環が起こり、
肩の前面に当たる小胸筋や大胸筋、肩の後面に当たる大円筋や三角筋後部繊維、
広背筋、上腕三頭筋長頭などに筋緊張が起こり、肩関節の拘縮が生じます。

このサイクルから抜け出すことが拘縮の改善につながります。

肩関節の拘縮による肩甲骨位置異常

肩関節が拘縮することにより、肩甲骨の位置にも異常が生じます。

以下の図は、拘縮が生じた肩関節において、肩甲骨の位置異常を示したものです。

拘縮肩の場合、腕を下垂した状態では、健常な場合と比べて、肩甲骨が下制前傾位でやや外転、外旋しています。

この結果、肩甲骨同士を引き寄せる働きである、内転位保持能力が低下しているといわれています。

このように、肩関節拘縮の場合、肩甲骨の位置を把握することは、
どの筋肉が緊張しているのか、あるいは、どの筋力が低下しているのかなどを把握することができ、リハビリにおいて非常に役に立ちます。

肩甲骨の動きに関する筋肉や、リハビリの仕方については、
別ページにてご紹介したいと考えています。

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