グロームス腫瘍は、手指の爪下や、指腹部に発生するといった例は
「手指のグロームス腫瘍」でご覧いただきました。
しかし、足趾の爪下や、趾腹部にもグロームス腫瘍ができる場合があります。
発生頻度は手指に比べて稀ではありますが、症状は足趾の場合でも同じです。
足趾グロームス腫瘍の特徴
膨隆を伴う青い変色(blue spot)
ピンポイントで押さえると痛い
冷水につけると
耐えられないぐらい痛みが強くなる。
以上の症状があれば、グロームス腫瘍であると、診断できます。
中には、3つ総ての徴候が見られず、一つだけしか当てはまらない場合もあります。
足趾グロームス腫瘍の特徴的な画像所見
腫瘍による骨浸食像
エコー検査による腫瘍の有無の確認
レントゲン検査では、罹病期間が長ければ長いほど、
グロームス腫瘍により、骨が圧迫を受け、形が変化します。
また、エコー検査では、矢印で示したように、腫瘍は低エコーで描出され、
腫瘍の有無や大きさなどを確認するのに有用です。
以下で、実際の足趾グロームス腫瘍患者さんの症例を、ご覧いただきたいと思います。
38歳の女性です。
左第2趾末節部(爪)の痛みを訴えて来院されました。
15歳のころから第2趾の爪に触れると、痛みがあったそうです。
5年前より、痛みが徐々に強くなってきて、
うずくような痛みが出てきたとのことでした。
そのころから、爪が割れてきたそうです。
左のレントゲンは初診時のものです。
赤い丸印で示した部分が痛みのある部位ですが、
このレントゲンだけでは異常はわかりませんでした。
左の写真は、初診時の外観です。
第2趾の爪をよく観察してみると、青色矢印で示した部分に爪の割れがあり、
赤色矢印で示した爪の付け根にblue spotと思われる影があり、
そこをピンポイントで押さえると、強い痛みを訴えておられました。
左のレントゲンは、第2趾を側面から撮影したものです。
bulue spotのある部分を左右で比較してみたところ、
患側の赤色矢印で示した末節骨の骨浸食像が認められました。
ロームス腫瘍を疑い、エコー検査を行いました。
左のエコー画像では、水色の矢印で示した部分に
グロームス腫瘍と思われる低エコー像が確認できました。
また、赤色矢印で示した末節骨部での骨浸食像も確認できました。
以上より、足趾に生じたグロームス腫瘍と考え、摘出手術を行いました。
左が手術時のグロームス腫瘍摘出写真です。
赤色矢印で示しているのが、グロームス腫瘍であり、
病理組織検査からも、グロームス腫瘍であるということが確認できました。
グロームス腫瘍は手指だけでなく、足趾にも起こることがあります。
また、爪下部分だけでなく、指腹(趾腹)部にも生じることもあります。
爪の変形や、指先が当たって痛い、ひつこい痛みや、原因不明の足趾の痛みなどがあれば、
お近くの整形外科へ受診されることをお勧めいたします。