このページでは、半月板損傷とはMRIの検査などでどのように描出されるのか、
実際の患者さんの症例をご覧いただきながらご説明していきたいと思います。
半月板損傷の形態
半月板損傷は、大きく分けて以下の3つのタイプに分けられます。
Aは縦断裂といい、半月板に対して縦方向に切れてしまいます。
この状態が長く続いたり、断裂の仕方によってはC状の内側の部分が関節の間に挟まり、
膝を曲げれない、伸ばせないといった症状を引き起こしてしまいます。
Bは横断裂といい、半月板に対して横方向に断裂を生じます。
Cは断裂部分がオウムの嘴に似ていることから、オウムの嘴状断裂と言われています。
以下で、上記で示した断裂がMRI画像でどのように描出されるのか
実際の症例をご覧いただきながらご説明していきたいと思います。
半月板の縦断裂
52歳の女性です。
左膝の痛みを訴えて来院されました。
1年前より左膝の痛みがあり、4ヶ月前より膝の曲げ伸ばしで引っかかり感を感じていたとのことです。
受診日1ヶ月前には、膝が伸びなくなったことがあったそうです。
左はMRI画像です。
左の画像は、正面から膝を撮影したものです。
赤色矢印で示した部分に、半月板損傷の断端部が中央部分に移動していることがわかります。
右の画像は膝を横から見たものです。
赤色矢印で示した部分に断端部が移動していることがわかります。(Double PCL sign)
59歳の女性です。
1年前に膝の痛みがあったのですが、
一時楽になったので、放置しておられました。
来院される1週間前に膝が伸びなくなり、強い痛みが生じたので、MRIで確認したところ、左の写真のように、半月板の断端が膝の中央部分に移動していることがわかりました。
そこで、関節鏡手術を行うことになりました。
左の図は関節鏡の写真とイメージ図を重ねたものです。
関節鏡で膝の中を見ると、
膝の中央付近の大腿骨と脛骨の間に、
反転した断端が挟まっていました。
断端が移動してしまい、本来の位置にある残された半月板は、
もとの機能が失われつつあり、薄くなっていました。
関節鏡での手術は、引っかかっている断端を切り取り、除去します。
そうすることで、ロッキングはなくなり膝がスムーズに動くようになります。
半月板の横断裂
62歳の女性です。
左膝の痛みを訴えて来院されました。
3ヶ月前より膝の痛みが続いているとのことでした。
左の画像はMRIです。
正面像の赤色矢印で示した部分に断裂像が確認できました。
膝を側面から見た画像でも断裂像があり、内側の半月板は外側の半月板に比べてコントラストも薄く、変性断裂を疑い関節鏡の手術を行いました。
左の画像は関節鏡で観察している画像です。
赤色矢印で示した部分に半月板の横断裂が認められました。
部分的に半月板を切除する処置を行いました。
半月板のオウムの嘴状断裂
66歳の男性です。
右膝の痛みを訴えて来院されました。
右膝が完全に伸ばせず、無理やり伸ばすと痛みが強くなるとのことでした。
左の画像はMRI画像です。
正面像の赤色矢印で示した部分に断裂像が確認できました。
また側面から膝を見たMRI画像では、赤色矢印の部分に断裂像が認められました。
痛みのため、関節鏡による手術を行いました。
赤色矢印で示した部分にオウムの嘴状の断裂が認められ、膝を伸ばすことで半月板がたわみ断端が関節に挟み込まれて痛みが生じていることがわかり、断端部の部分切除を行いました。
以上のように、半月板損傷は様々な断裂のTypeがあります。
治療は、断裂のTypeによって、また症状や患者さんの背景によって異なります。
膝が伸びないなどの引っ掛かりを訴えている場合など、手術が必要なことがあります。
半月板に断裂があったとしても、保存療法による膝周囲筋の筋力トレーニングなどを行うことで、
症状を改善できることもあります。
膝の痛みでお困りの場合は、我慢せずにお近くの整形外科の受診をお勧めいたします。