アキレス腱肥厚症(あれ?アキレス腱が太い!?)

アキレス腱の痛みは

アキレス腱炎

アキレス腱周囲炎

アキレス腱骨化症

など様々存在します。

今回このページでご紹介する

「アキレス腱肥厚症」は

アキレス腱にコレステロールが蓄積し、

アキレス腱そのものが肥厚し、痛みが生じる疾患です。

以下で、実際の症例をご覧いただきながら、ご説明していきたいと思います。

アキレス腱肥厚症とは?

アキレス腱肥厚症は以下の写真の様に、

見た目や触診で容易にアキレス腱が肥厚していることがわかります。

上の写真は両側ともアキレス腱の肥厚がはっきりと認められます。

片足だけアキレス腱の肥厚がある場合には、健側と比較すると、

アキレス腱のレリーフが異なっており、

患側で肥厚していることがわかります。

アキレス腱肥厚症の画像診断

アキレス腱肥厚症では、

レントゲン画像では以下のように描出されます。

外観写真とレントゲン画像

上の写真のように、

アキレス腱の肥厚した外観写真では、赤色矢印で示したように、
レントゲン画像でアキレス腱が肥厚しているかどうか、軟部陰影から確認することができます。

また、アキレス腱肥厚症の方のエコー画像は以下のように描出されます。

エコー画像では、

長軸では、アキレス腱の痛みを訴えている部分に、赤色矢印のような低エコー画像が認められます。

また、短軸では、健側と比較することで、アキレス腱の肥厚が確認できます。

コレステロールの蓄積により、

アキレス腱実質部が赤色矢印で示したように不均一な像が見られることがあります。

以下で、実際の症例をご覧いただきたいと思います。

47才の男性です。

右アキレス腱の痛みを訴えて来院されました。

1ヶ月前より、歩くと痛いとのことです。

外観写真は、初診時のものです。

赤丸印で示したアキレス腱部分に、痛みがあるとのことです。

アキレス腱を触診してみると、アキレス腱は太くなっており、

外観でもアキレス腱のレリーフがわかりにくくなっていました。

写真は初診時に行った血液検査の結果です。

コレステロール値が高く、高コレステロール血症であることがわかりました。

アキレス腱の痛みや、太くなっているアキレス腱、著しい高コレステロール値などから、

アキレス腱肥厚症と診断しました。

53才の女性です。

左アキレス腱の痛みを訴えて来院されました。

2ヶ月前より、ゴルフのキャディーをしていて、左アキレス腱が痛くなったそうです。

ご自宅の近くの整形外科で、ステロイド注射をされて、
1週間は痛みが緩和されたそうですが、その後、再び痛くなったそうです。

写真は初診時の外観です。

赤色の丸印で示したアキレス腱部分に、痛みがあり、アキレス腱のレリーフはわかりにくくなっていました。

アキレス腱を触ってみると、左は明らかに肥厚していることがわかりました。

初診時のレントゲン画像です。

赤色矢印で示した患側のアキレス腱部分は、アキレス腱が肥厚しているため、

軟部陰影が膨隆して見えています。

お話をよく聞いてみると、内科にも通院されており、
高コレステロール血症に対する薬を飲まれているとのことでした。

上の写真は現在はいている靴です。

この靴を履くと、アキレス腱の痛みがましになるそうです。

靴を見せていただくと、踵が高くなっていることがわかります。

踵が高くなっているため、歩行時の蹴り出しがしやすく、

アキレス腱にかかる負担が軽減されているためであるとわかりました。 

アキレス腱の痛みは、様々な疾患で起こりますが、
アキレス腱肥厚症も、

他の疾患と同様、踵をあげるような処置を行うと痛みが軽減します。

踵をあげる方法は、

足底板を処方したり、

踵の高い靴を履いていただくことで、

対処できます。

また、アキレス腱肥厚症の場合は、

コレステロールが高値であることが多いため、
薬を飲むなどの内科的な治療も併せて行うことが大切です。

こういった症状にお心当たりのある方は、

一度ご自身でご自分のアキレス腱を触って、肥厚していないか確認してみてください。

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