伸筋腱脱臼の中には、怪我などによる明らかな誘因がなくても発症する非外傷性伸筋腱脱臼があります。この場合は痛みを伴うこともなく、日常生活を送っている中でふとしたときに違和感を覚えて受診されるケースがみられます。その多くは治療することなく経過をみることで、問題はありません。
伸筋腱の解剖(小指周辺)

上の図は前腕から手指にかけての背側部を示した解剖図です。非外傷性の伸筋腱脱臼では並んで走行する伸筋腱の一部が脱臼します。例えば、小指周辺で発症した例では小指伸筋と総指伸筋が並んでいる小指MP関節部周辺で伸筋腱が尺側へ脱臼します。

上の図は握り拳を作った際の手をみています。握りしめた際に中手骨頭上で、伸筋腱は尺側へ脱臼します。特に痛みを伴うことがなければ、そのまま経過観察をしていきます。
以下は痛みを伴うことなく来院された方の伸筋腱脱臼の例です。
このように指の曲げ伸ばしが行いづらくなるケースでは、今回のように非外傷性の伸筋腱脱臼も考えられます。一見ばね指のように思える現象ですが、病態は全く異なります。指の屈伸動作で違和感を覚えたら、一度整形外科を受診してみてください。