一般に言う足の捻挫は下の図の青丸の部分でおこります。
ところが、同じような受傷の仕方で、
別の部分の捻挫が生じることがあります。
その中でも多いのは、
下の図の赤い線で示した
Y字型の二分靭帯が損傷を受けている場合です。
上の図にある二分靭帯は、
足の積み木のように並んだ骨をつなぎとめる役割を持っています。
爪先立ちのような姿勢で体重が乗り、
内側に足をひねった場合などにこの怪我は起こります。
時には、たかが捻挫と思っていたら、
二分靭帯が付着部分の骨ごとはがれてしまうこともあります。
以下、写真を見ながら二分靭帯損傷について御説明したいと思います。
左の写真は20代の女性の方のものです。
やや爪先立ちの状態から、足首を内側にひねってしまい、
歩く時の痛みが強く、心配になって来院されました。
押さえたとき、写真の×印の部分に痛みがあり、
足くるぶしの外側に皮下出血の跡もありました。
これだけ内出血をしているので、
単なる捻挫ではないような感じです。
レントゲンを撮ってみると、
骨折は無いようです。
でも、押さえた部分の痛みと、
足の腫れ方などを総合して判断すると、
二分靭帯の損傷と考えました。
そういうわけで、ギプス固定を2~3週間行いました。
こういった場合には、ギプス固定をしていても、
痛みのない範囲で、足に体重をかけてもかまいません。
固定の後、リハビリをおこなって、
この患者さんは支障なく完治しました。
左の図のように、
足を捻挫する姿勢に加え、
足先のひねりがさらに加わって、
二分靭帯の付着部に引っ張る力がかかり、
骨の一部をはがしてしまうことがあります
その結果、骨折となることがあります。
左は別の患者さんのレントゲンです。
足首が痛いということで御来院になりました。
詳しくお話を伺ってみると、
以前に捻挫したことがあり、
放置して治っていたとのことでした。
今回再び捻挫をして、
痛みが長引き、
本来捻挫した部分とは違う部分に
痛みを感じるということでした。
レントゲンを撮ってみると、
赤矢印の先に骨折線が認められました。
青い線で囲んだ部分は踵骨前方突起といいます。
さらに詳しく見てみると、
この骨が根元で折れているのがわかります。
(赤い点線の部分)
骨折線はシャープに割れている感じではなかったので、
以前に骨折して、見逃されていたのだと思われます。
この患者さんの良い方の足の骨のレントゲンを見てみると、
青い線で囲んだ踵骨前方突起は鋭く山形になっていて、
途切れている部分はありませんでした。
悪い方の足のレントゲンと、良い方の足レントゲンを
比較してみると、症状が明らかにわかります。
足首の怪我で腫れているときには、普通の捻挫と見分けがつかない場合があります。
しかし、二分靭帯損傷は、
押さえたとき痛い部分が違うので、見分けることは可能です。
治療としては、最初はギプス固定で、徐々に包帯固定に切り替えていきます。
2~3週間すれば、腫れや痛みは引きます。
捻挫したときに、足首以外の場所が痛い場合や、いつまでも痛みが引かない場合には、
病院へ行って、きちんと診てもらうことをお勧めします。