座ると膝や足首が痛いのは?(滑液包炎)

床や畳の上などに膝をついたり、正座をしたときに、
膝が痛くなったことはありませんか?

はじめは痛みもなく、
気付かない事が多いのですが、
ある日、腫れていて気になり、
御来院になられる方が多いのが「滑液包炎」です。

上の図は膝を横から見た絵ですが、
膝蓋骨(膝のお皿)と脛骨(向こうずねの骨)の前のところ、
水色で示した部分に水がたまって腫れてきます。

もともと、この部分は、直接皮膚と骨や腱が
こすれ合わないように存在するクッション材のような役目をしています。

普通の状態では、何事も起こらないのですが、
繰り返し圧迫や機械的な刺激にがこの部分に加わると、
炎症が起こって、水がたまって大きく腫れることがあります。

以下で、実際の症例を御覧いただきたいと思います。

膝の滑液包炎
〜60歳 男性〜

こちらの写真は、60代の男性です。膝の腫れと痛みが生じたので、御来院になりました。

実は、膝をつく作業を最近しておられて、膝をつくと急に痛みが走っていたそうです。

左右を比べてみると、右ひざのお皿の上あたりが腫れているのがわかります。(黄色矢印の先端部分)

階段を上り下りしたり、歩いたりすることには、なんら問題は生じないそうです。 

そこで、エコー検査をしてみると、明らかに右ひざの皮膚のすぐ下のところに、大きく水がたまっている所見が見られました。
(黄色矢印の先端部分)

このことから、膝蓋前皮下滑液包(しつがいぜんひかかつえきほう)の炎症であると、診断されました。

〜28歳 女性〜

次の方は28歳の女性です。

膝の腫れに気付いたため、痛みはなかったのですが、心配になって御来院になりました。

洗濯物をたたむときに正座をするということから、常に赤色矢印で示した部分に圧がかかって、滑液包炎を生じたものと思われます。 

エコーを撮ってみると、広い範囲で水がたまっている所見が得られました。
(赤色矢印で示した部分) 

特に治療はせずに、膝をつかないようにということを指導させていただきました。

〜20歳 女性〜

次の方は、20歳の女性です。

保育園に勤め始め、膝を床に付く機会が多くなってから、膝の前方が痛くなったので、来院されました。

左右の膝を比べてみると、膝のお皿のやや下の部分(赤色矢印の先)に腫れが見られますが、膝をつかない限りは痛みが生じず、歩くことにも支障はありません。

このことから、脛骨粗面部の滑液包炎であると診断しました。

この方にも、膝を床に直接つかないように指導させていただきました。

〜91歳 男性〜

次の方は、91歳の男性です。

約1か月前から膝の前に腫れが出現したそうです。

痛みは強くなく、毎朝仏壇の前に1時間正座して、お経をあげることが日課になっておられました。 

実際に正座しておられるスタイルをとってみていただいたところ、床面に脛骨粗面部が当たっていることが確認できました。

明らかに、赤色矢印で示した部分が腫れて、まるで膝のお皿が2つあるような感じがします。

この方には、しばらく正座をしないようにしていただきました。 

しばらく経つと、痛みは無くなりました。

膝が腫れると一口に言っても、
膝全体が腫れる場合と、
滑液包炎の様に部分的に腫れるのとでは違いがあります。

膝の関節の中に水がたまって、
膝全体が腫れている場合には、
全く別の処置が必要です!

しかし、このページで見てきた滑液包炎の場合は、
生活習慣を少し変えたり、
患部に当たる刺激をなくすことで改善する場合がほとんどです。

ですので、治療として特別なことをすることはほとんどありません。

仕事上の必要性や、あまりにも症状がひどい場合には、
痛みがある部位の圧を逃がすために、
パッドを作って、お渡しすることもあります。

このページで見た様な症状がある場合には、
当院までまずはご相談ください!

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