上腕骨外顆骨折は小児の肘関節骨折の一つです。本骨折は関節内での骨折なので可能な限り骨折部の安定性を保ち、将来的に肘の変形を残さないようにすることが治療において大事になってきます。
そこで、当院では体幹を含めたギプスを用いた固定療法を行っています。このページでは日本柔道整復接骨医学会学術大会(2023年12月開催)にて発表した内容について御紹介します。
上の写真で紹介している体幹を含めた固定は、3週間実施し、その後2週間は肘関節のみの固定を行いました。
以下で実際に行った固定のレントゲンの経過をご覧いただきます。
上の表は、初診時と3週間経過した時点のレントゲン写真を比べたものです。初診時と除去時ではそれぞれの数値にほとんど変化がないので骨折部は安定性が保てていたことがわかります。
上のスライドでは初診時にレントゲン写真で骨折線がはっきりと確認できなかったのでMRI撮影をおこないました。
上の表も、初診時と3週間経過した時点のレントゲン写真を比べたものです。こちらも初診時と除去時ではそれぞれの数値にほとんど変化がないので骨折部は安定性が保てていたことがわかります。
上のスライドでは右が約3か月後、左が2年後のレントゲン写真と肘を曲げた時の写真を載せたものです。左右ともに肘がしっかり曲げ伸ばしができ、変形治癒することなく骨癒合したことが確認できます。
今回の症例は、上記の重症度分類に当てはめるとgrade3(赤枠で囲んだ部分)と考えました。
上記のプロトコールに基づいて、手術をしないで治療することも可能であると判断しました。
ただし、より骨折部が安定するような固定を行う必要性があると考えました。
今回我々が行ったギプスでの固定療法を行った利点は以下になります。
上腕骨外顆骨折は小児の肘関節の骨折で2番目に発生率が高く、場合によっては手術を選択しなければなりません。当院では保存療法が可能であると判断した症例は上記のような固定をさせていただきます。