家でもできる膝の運動

膝の痛みがあっても、足が弱らないようにデイサービスで運動しておられる方はたくさんいらっしゃいます。

痛みがあるにもかかわらず、運動をするというのは、本来ならば避けたいところですが、
実のところ、かえって安静にし続けることが、逆に痛みの悪循環に陥る危険性もあります。

このページでは、痛みがあったとしても無理のない範囲で、
お家でもできるような手軽で、継続ができる運動をご紹介したいと思います。

痛みがあるときの運動の考え方

痛みがあるにもかかわらず、運動するということについては、以下のような考え方で行っています。

本来、痛みがあるときは、痛みがひどくならないように足を休めてしまいがちです。

足の筋肉を使わなくなると、膝を支える筋肉が弱くなってしまいます。

その結果、いざというときに膝を支えてくれるはずの筋肉が働かなくなって、余計に膝関節に負担がかかる結果になります。

先に述べた、悪循環を改善するために、膝の痛みが出ない範囲で足に力を入れることで、
少しでも膝を支える機能を保つようにしていきます。

また、膝だけに限らず、股関節や足関節も含めた足全体の筋肉を刺激することで、
足を支える筋肉が総合的に強くなります。

その結果、膝関節への負担が軽くなって、膝の痛みを和らげることにつながります。

この好循環を生み出すために、必要な主な筋肉は以下のようなものです。

膝を支えるために働く主な筋肉群

上記の筋肉群は、股関節や膝関節をとりまく筋肉です。

膝と直接関係の無い部位の筋肉でも、体重を支えるという意味合いは同じなので、
膝関節周りの筋肉を鍛えると同時に、股関節から足趾に至るまで下肢全体の筋肉をトレーニングしたり、
ストレッチすることが膝の痛みを和らげることにつながります。

以下で、どのようなトレーニングが必要なのか見ていただきたいと思います。

まずは、変形性膝関節症の方の場合、そのような姿勢になっているのかを見ていただきたいと思います。

変形性膝関節症の方の姿勢

下の写真は、変形性膝関節症の方の立位姿勢(スクワット運動時)です。

特徴的な姿勢としては、膝関節がやや曲がった状態で、立位を保ち、
そのバランスを骨盤を使って保っています。

さらに、背中が丸くなるような形となって、後ろへ倒れないように、
頭はやや前方に位置することでバランスをとっていることがわかります。

右の写真のように足の幅を広くとることで、より安定感が得られ、
スクワットのようなしゃがむ動作でも、安定が得られます。

同じ姿勢を後ろから見た写真です。

こちらの方は、人工膝関節の手術を右側は施行されました。

反対の左側は手術をしておられません。

この写真でわかるように、右側は足のアライメントが改善されています。

左側はO脚が残存しているので、体重のかかる面が膝の内側に集中することになります。

しかし、膝のアライメントは改善されても、足部の土踏まずは平坦化したままです。

このような、変形性膝関節症の方の場合、膝関節に負担をかけずに運動を行うには、
以下の点に注意して進めていきます。

痛みを悪化させずに膝の運動を行うポイント

(1)膝関節の曲げ伸ばしをすることで、拘縮を防止します。

(2)O脚傾向になることを防止するために、大腿の外側の筋肉をストレッチして緊張を緩和し、逆に、大腿の内側の筋肉は筋力の向上を図るような運動をします。

(3)体重のかからない寝た状態や、座った状態で運動を行います。

(4)足先を意識して、地面をとらえるような運動を行います。

(5)臀部や股関節周囲の筋肉を鍛えて、自分の体重を支えられるようにして、膝への負担を軽減します。

膝の屈曲拘縮を防止する運動

膝関節が曲がってくると、周囲の筋肉が必要以上に疲れやすくなってしまいます。

そこで、膝周囲の筋肉をストレッチすることで、筋肉の柔軟性が向上して、拘縮が改善する方向に進みます。

膝の曲げ伸ばしをするのは、自分の手で膝を抱え込むような形で行っていただきます。

伸ばすときも、曲げるときもゆっくりと行います。

膝を深く曲げられない場合には、膝の裏にボールやタオルを当てて、曲げられる範囲でゆっくりと膝を曲げてください。

膝関節の曲げ伸ばしが痛み無くできるようになってきたら、
曲げるときに作用するハムストリングスを鍛えて、より引き寄せやすくなるようにしていきます。

O脚の状態を少しでも改善するための運動

上の図にあるように、O脚というアライメント不良の状態は、
足の外側の筋肉群は緊張を強いられ、内側の筋肉群は弛緩した状態に陥ります。

そこで、足の外側の筋肉群は、ストレッチをして緊張を解きほぐし、
内側の筋肉群は筋力強化をして、少しでもO脚傾向に陥らないようにしていきます。

上の写真は外側の筋肉群の緊張を和らげるための運動です。

仰向けに寝た状態で、ゆっくりと膝を倒していきます。

大腿の外側の筋肉をストレッチしていきます。

膝を支える内側広筋や内転筋群を使うことを意識して行う運動です。

5秒数えて、10回繰り返すことを1セットとして、2~3セット行います。

上記のような運動をしたからといって、すぐにO脚が良くなるわけではありません。

しかし、こうやって運動を続けることで、膝への負担は軽くなってくるので、
結果として痛みが和らぐことになってきます。

膝の痛みが強いときに行う運動

膝の曲げ伸ばしや、体重をかけた状態で痛みが生じる場合、寝た状態で行う運動がおすすめです。

上の写真は、大腿四頭筋の収縮を促して、膝を支えることが安定してできるようになることを目的に行います。

足を伸ばした状態で、力を入れるわけですが、その際は、足首も直角になるように力を入れてください。

下肢伸展挙上運動(SLR)

膝を曲げて、行う運動がつらいときには、上の写真のように、仰向けに寝て、膝を伸ばしたまま、
少し上に上げるだけでも十分な運動になります。

この際は、反対の膝を曲げておいて、腰への負担がかからないように行ってください。

足をゆっくりと上げて、5秒間キープした後、ゆっくりと下ろします。

10回をワンセットとして、2~3セット行ってください。

膝以外の部位を鍛える運動

股関節周囲の筋肉は、片足で体重を支えたときに、足全体が踏ん張れるように働きます。

また、足指から足首周辺の筋肉が働いて、土踏まずを形成することで、
歩くときに地面から受けるショックを吸収できるようになっています。

そこで、これらの筋肉も平行して鍛えていくことで、膝への負担を軽くすることにつながっていきます。

仰向けになって、ボールを膝に挟んで、内腿に力を入れたまま、ゆっくりお尻をあげていきます。

臀部の筋肉を強化していきます。

ゆっくりとあげることを10回繰り返して、2~3セット行います。

足関節を支える前脛骨筋のトレーニングです。
ゴムチューブの力に反するようにつま先をあげることを繰り返します。
10回ワンセットとして、2~3セット行ってください。

座った状態で、ゴムチューブの力に反するように足首を上に動かします。
これは土踏まずを形成する、後脛骨筋の筋力トレーニングです。
10回ワンセットとして、2~3セット行ってください。

上の動画のように足趾を動かしていきます。
足の内在筋をトレーニングすることで、足でしっかり地面をとらえることができるようにします。
そうすることで、膝に負担をかけることなく、安定した重心を保つことができます。

運動を継続していただくためには、運動中に痛みがないというのが理想的です。

痛みの少ない運動から選んでいただいて、徐々にレベルを上げていくことをおすすめします。

その日の体調などによっても運動量などを調整した方がいいので、
運動のやり方で質問やご相談がありましたら、お気軽にスタッフにお声をおかけくださいね!