骨粗鬆症の可能性のある患者さんには、診察で以下のような検査を行います。
当院で行なっている骨粗鬆症の検査
1.レントゲン検査
左の写真は、脊椎を側面から撮影したレントゲン画像です。
骨にはX線が通過しません。
従って、骨の密度が高い場合には、
レントゲン写真は骨の部分が白っぽく写っています。
(左上部の写真)
しかし、骨粗鬆症が進行するにつれて、
骨密度が低くなるため、徐々に骨が薄くなり、
黒っぽく写ってきます。
右上→左下→右下と徐々に骨が透けて見ます。
これは、骨密度が徐々に低くなっているせいです。
このように、レントゲンを撮ってみると、
骨粗鬆症の進行度合いがわかります。
2.骨密度検査
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左の写真は「橈骨DEXA」を行う機械です。
これは骨密度を見る機械なんです。
この検査の結果は下の写真の表のようになって出てきます。
この表は、同年代の人と比べたときに
検査を受けた患者さんの骨の密度がどの程度なのかを
表しています。
また、若年成人の平均骨密度と比べて、
どれぐらいに値するのかを見てみます。
いわば、「骨の偏差値」を出すようなものです。
3.血液検査
以下の図は、左は若い人の骨で、右は高齢者の方の骨です。
前のページでも述べたように、破骨細胞は骨から古いカルシウムを放り出します。
これに対して、骨芽細胞は骨に新しいカルシウムをくっつけます。
「尿NTX」という代謝マーカーは破骨細胞の活動量を示しています。
「BAP」という代謝マーカーは骨芽細胞の活動量を示しています。
つまり、若い人では、NTXは35以下で、BAPは29以下です。
これに対して、高齢者はNTXは35以上、BAPが29以上の数値を示していることが多いのです。
近年では、破骨細胞を調べる「TRACP-5b」といった骨代謝マーカを調べています。
特徴として、食事の影響や日内変動がなく、腎機能の影響も受けないため有用とされています。
以下で、実際に診察により骨粗鬆症と診断を受け、治療を開始した患者さんの例をご覧いただきたいと思います。
76歳の女性です。
腰の痛みを訴えて来院されました。
特に思い当たる誘因なく、腰痛が出現してきたそうです。
左のレントゲン画像は初診時のものです。
赤色矢印で示した部分は、他の椎体に比べて圧潰していることがわかります。
理学検査でも、棘突起の圧痛、叩打痛があり、新鮮の圧迫骨折(脊椎に骨脆弱性骨折)であると考えました。
骨密度の検査と血液検査も行いました。
左の写真は、骨密度の結果です。ピンク色示している部分は、骨密度が低下しているゾーンです。
この患者さんは、年齢と骨密度を照らし合わせると、※印で示した部分で、骨密度が低下していることがわかります。
左の写真は、血液検査の結果です。
破骨細胞の量を計測する「TRACP-5b」の数値は基準値を大きく超えており、全ての結果を踏まえて、骨粗鬆症による腰椎の骨脆弱性骨折による腰の痛みということがわかりました。
この日より、骨粗鬆症の治療を開始しました。
このように、当院では骨粗鬆症を診断する上で色々な検査を行います。
骨粗鬆症と診断したのち投薬治療を開始し、薬の副作用などがないか定期的に血液検査を行っています。
次のページでは、骨粗鬆症の治療についてご説明いたします。