手指の側副靭帯損傷(指の関節の横が痛い!)

スポーツや日常生活動作の中で、指の捻挫は良く遭遇する疾患です。

しかし、いつまでも痛みが続いていたり、治ったと思って指を使い始めても、

曲げるときに痛みが生じたりして、すっきりとしないということもあります。

このような場合には、単なる捻挫ではなくて、指の関節の側副靭帯損傷が疑われます。

手指の側副靭帯損傷はしばらく固定療法を行う事で十分に治る疾患なので、

受傷して最初の段階で治療をしっかりすることが肝心です。

このページでは、手指の側副靭帯損傷についてご覧いただきたいと思います。

手指の側副靭帯とは?

手指の側副靭帯損傷とは以下の図で示したDIP関節 、PIP関節、MP関節に起こります。

その中でも、PIP関節での受傷の頻度が多く見受けられます。

手指の受傷頻度としては、中指と環指に多く見られます。

下の図は、指の関節を横側から見たものです。

側副靭帯とは、指の関節の側面(内側と外側)に存在し、関節の安定性を司る役目をしています。

この側副靭帯はMP関節では、伸展位で緩み、屈曲位で緊張します。

ですので、MP関節を屈曲させた状態で側方へのずれが生じるかどうか、ストレステストを行い、
側方のずれが生じれば側副靭帯損傷を疑います。

PIP関節では屈曲角度による靭帯の緊張はあまり差がないといわれています。

ですので、指を伸ばした状態でストレステストを行い、
側副靭帯の単独損傷であるのか、副靭帯や掌側板の損傷も伴っているのかを確認します。

手指の側副靭帯損傷の分類について

以下の図は手指の側副靭帯損傷の分類を示しています。

Ⅰ度損傷は側副靭帯の部分断裂で、Ⅱ度損傷は側副靭帯の完全断裂、

Ⅲ度損傷は側副靭帯と骨間筋の付着部での断裂を表しています。

Ⅰ度損傷の場合は、痛みはあるものの、側方動揺性は感じません。

Ⅱ度損傷やⅢ度損傷では、ストレステストで側方動揺性が認められ、腫脹も強く見られます。

治療に関しては、どのタイプであっても、第一選択として、保存療法を行います。

アルミ副子などを用いて、安静を保持するために固定を行い、固定後は少しずつ可動域訓練を行っていきます。

スポーツ以外での受傷機転

手指の側副靭帯の多くはバレーボールやバスケットボールなど運動中にボールが手指に当たり、受傷することが多く見られます。

しかし、成人の方で、特に怪我をした記憶がないのに、手指の関節に痛みや腫れが出現する場合があります。

そういった場合の例として、下の写真のような場合が考えられます。

下の写真は知らず知らずのうちに、テーブルや、台などで手指をぶつけた場合です。

下の写真のように指をぶつけた場合には、
最初は少し痛いなという程度で、気にも留めていなかったのに、しつこい痛みが続く場合があります。

上の写真のように指をぶつけたりすると、下の図のように、

ほとんどのケースは小指側に外力が加わり、橈側の側副靭帯が損傷されます。

このように、受傷機転がはっきりしていなかったり、受傷した時、痛みの程度が強くなく、放置していると、
腫れがなかなか引かなかったり、痛みが続く事があります。

上記のようなことがある場合には、手指の関節に拘縮が生じるため、手指を強く握りにくくなる場合もあります。

このような指の痛みや、症状があれば、テーピングなどの簡単な処置で痛みを緩和することができます。

側副靭帯損傷の診断

側副靭帯と診断するには、単に外観を見ただけではわかりません。

決め手となるのは、ストレステストと呼ばれる患部に抵抗をかける徒手検査が有効です。

以下で、実際のストレステストを行ったときのレントゲン画像とエコー画像をご覧いただきたいと思います。

左の外観写真は、右中指PIP関節の橈側側副靭帯損傷と診断した患者さんの手です。

この状態では、
PIP関節の腫脹と軽度の発赤があります。

しかし、レントゲン画像では、
異常所見は見当たらず、
エコー画像でも関節裂隙周辺に
はっきりとした所見は見られません。 

ストレステストを行うと・・・

そこで、ストレステストを行ってみると・・・。

レントゲン画像でもわかるように、関節裂隙が広がって、エコー画像においても、同じ部位が広がっていることがわかります。

以上の所見から、橈側側副靭帯が損傷して緊張を失っていることがわかります。 

以上のように、指の側副靭帯損傷は単に外観を見たり、レントゲンを撮影するだけではわかりません。

上で説明したように、ストレステストを行い、確認することが大切です。

以下で、実際にストレステストを行い、側方動揺性が見られる動画をご覧ください。

以下で、実際の患者さんの症例をご覧いただきたいと思います。

9歳の女の子です。
左環指PIP関節の痛みを訴えて来院されました。

約半年前、突き指をし、固定をせずに過ごしていたそうです。

しかし、痛みと腫脹が続くため、当院へ来院されました。

左の外観写真は初診時のものです。

赤色矢印で示した左環指PIP関節の腫脹が著明に認められます。

圧痛は赤色矢印で示した左環指PIP関節の橈側に認められました。 

左のレントゲン写真は、初診時のものです。

赤色矢印で示した左環指PIP関節の軟部陰影でも、
腫脹が確認できます。

骨端線の損傷や骨折などの骨傷は認めれれませんでした。

そこで、側副靭帯損傷を疑い、ストレステストを行ったところ、
不安定性があったので、レントゲンでもストレス撮影を行いました。

ストレス撮影を行ったレントゲンの赤色矢印で示した部分
(左環指PIP関節の橈側)の関節裂隙の開大が認められました。

左のレントゲンは、健側(右環指PIP関節)の
ストレステストを行っているものです。

患側(左環指PIP関節)と比べると、関節の開大は見られません。

以上のことから、 左環指PIP関節側副靭帯損傷と診断できました。

痛みがあるため、しばらくアルミ副子による固定を行いました。 

左の外観写真は、初診から2ヶ月後のものです。

腫脹は少しずつ軽快してきており、不安定性も改善してきました。

受傷から来院に至るまで時間はたっていましたが、
固定療法を行う事で、痛みや不安定性を改善することができました。

36歳の女性です。

右中指PIP関節橈側の痛みを訴えて来院されました。

3週間前より中指の橈側に触れると痛いという事でした。

しかし、特に怪我をしたなどの記憶は無く、
気がついたら、痛みと腫れがあったそうです。

左の写真は初診時の外観です。

赤色矢印で示した右中指PIP関節に腫脹が認められます。

左の外観写真は指を橈側から見たものです。

圧痛が×印(右中指PIP関節橈側)に認められました。

ストレステストを行ったところ、
右中指PIP関節の不安定性も認められたことから、
右中指PIP関節橈側側副靭帯損傷と診断しました。

お仕事の事情もあり、アルミ副子による固定ではなく、
示指を添え木代わりにあてがうよう、
中指と一緒にテーピングで固定を行いました。 

このテーピングの目的は、右中指PIP関節橈側にストレスがかからないようにすることです。

受傷直後や、痛みが強い場合にはアルミ副子による固定の方が
しっかり固定できるので、良いと思います。

でも、受傷後の日数が経過していて、痛みが軽度な場合には、
テーピングで処置をすることも1つの方法です。

53歳の男性です。
左中指PIP関節橈側の痛みを訴えて来院されました。

3週間前、作業中に左中指を物にぶつけて受傷されたそうです。
放置されていたそうですが、痛みが続くため来院されました。

左の写真は初診時の外観写真とレントゲン画像です。

赤色矢印で示した左中指PIP関節橈側に痛みと腫れが認められます。

同部位に圧痛も認められたため、左中指PIP関節橈側側副靭帯損傷を疑い、ストレステストを行いました。 

左の写真はストレステストを行う前の
外観写真と、レントゲン画像、エコー画像です。

赤色矢印で示した部分(PIP関節橈側)に骨折などはなく、
関節裂隙の異常も認められませんでした。

ストレス撮影を行った外観写真とレントゲン画像、エコー画像です。上の写真と比較すると、違いは一目瞭然です。

赤色矢印で示したPIP関節橈側の関節裂隙の開大が
レントゲンとエコー画像から確認することができます。

左中指PIP関節橈側側副靭帯損傷と診断しました。
処置としては、仕事に差し支えがない様、
患者さんの意向にそえるような固定を行いました。 

手指の側副靭帯損傷は、気付かないままでいると関節の不安定性が生じる恐れがあるので、

受傷後なるべく早い内に固定の処置をすることをお勧めします。

また、怪我をした記憶がないのに、上記で説明したような受傷機転で思い当たる節があって、
指が握りこみにくいなどの症状がある場合には、手指の側副靭帯損傷を起こしている場合もありますので、
整形外科へ早い目にご相談ください!