第2趾MTP関節背側脱臼(外反母趾のとなりの指(趾)がおかしい!)

脱臼と聞くと、外傷性による強大な外力によって骨の位置がずれてしまったことをイメージするかと思います。

しかし、今回ご紹介する「第2趾MTP関節背側脱臼」は外傷性によるものではなく、
足趾の変形(外反母趾)やRA(関節リウマチ)による関節破壊が起因となって生じることが多く見られます。

このページでは、第2趾MTP関節背側脱臼はどういったものか、

なぜそういうことが生じるのか詳しくご説明していきたいと思います。

第2趾MTP関節背側脱臼とは?

第2趾MTP関節の場所は、上の図の赤丸で示した部分をいいます。

横から第2趾を見ると、第2趾MTP関節背側脱臼は以下の図のような状態になっています。

脱臼のイメージ図

実際のレントゲン画像 

上の図で示したように脱臼していると、以下の動画のように外観でもすぐに脱臼とわかります。

第2趾MTP関節背側脱臼

第2趾MTP関節背側脱臼を元に戻す

左の動画は、自分で第2趾を背屈させることで、脱臼が生じているといます。

右の動画は前足部を手で挟み、足部の横アーチを作るようにすると、脱臼した第2趾が元に戻ります。

脱臼しているからといって、痛みを訴える方は、あまりいらっしゃいません。

違和感や、変形、脱臼に伴う靴障害による他の部位の痛みを訴えて来院される方が多く見られます。

なぜ第2趾MTP関節背側脱臼は生じるのか?

第2趾MTP関節背側脱臼が生じる原因は、いくつも存在します。

一つは、足型のタイプが原因となることがあります。

ギリシャ型は人差し指(第2趾)が長くなっており、小さめの靴などを履いていると、

人差し指が靴に当たり、足趾の変形が生じてきます。

以下の図は足趾の変形が生じた時にかかる筋肉の作用を示しています。

短趾屈筋と趾伸筋のバランスが崩れ、趾伸筋の作用で、MTP関節が過伸展します。

すると、骨間筋がMTP関節を伸展する筋として作用します。

足趾が変形を起こすと、関節の拘縮や筋肉の緊張が強くなってきます。

これらの現象が生じることで、MTP関節の側副靱帯や関節包などが徐々に弛緩され、
以下の図のように変形によって、第2趾MTP関節に軸圧が加わり、背側脱臼が起こります。

このように、足型や、履き物が原因であったり、外反母趾や足趾の変形などで、脱臼が生じることもあります。

治療は、履き物を替えていただいたり、外反母趾など足趾の変形を改善するために足底板療法などを行います。

以下で、実際の症例をご覧いただきたいと思います。

45歳の女性です。

右第2趾MTP関節の痛みを訴えて来院されました。

1ヶ月前、歩行中に第2趾MTP関節の脱臼感があり、痛くなったそうです。

その後、脱臼したままであるが、現在は痛みはないそうです。

左の写真は立位で上から見た初診時の外観です。

赤色矢印で示した部分が脱臼している場所です。

左足と比べ、赤色矢印の部分は出っ張っていることがわかります。

左の写真は足を前から見たものです。

赤色矢印で示した部分が第2趾MTP関節です。

第2趾がハンマー趾になっていることがわかります。

左のレントゲンは初診時のものです。

赤色丸印で示したところが第2趾MTP関節です。

左足と比べると、関節の隙間がなくなっていることがわかります。

また、両足共に外反母趾があり、
患側のほうが外反母趾の角度がきつくなっていることがわかります。 

左のレントゲンは足を斜位から撮ったものです。

赤色丸印で示した第2趾MTP関節では、 
基節骨が背側に脱臼していることがわかります。

左の動画は、自分で第2趾を背屈させ、
第2趾MTP関節の脱臼を誘発しています。

この動作を繰り返し行っても、痛みはないそうです。

靴の圧迫によって、第2趾が軸圧方向に力が加わると、
第2趾MTP関節は背屈し、脱臼が生じるそうです。

しかし、脱臼しても、左の動画のように、自分で元に戻せます。

横アーチの低下により、開帳足が見られます。

横アーチを作るように、前足部を挟むようにすると、脱臼は元に戻ります。

左の写真は以前外反母趾で作成したインソールだそうです。

インソールでアーチサポートしていても脱臼は生じるそうです。

これでは、第2趾MTP関節背足脱臼は抑制できないため、
脱臼しない固定道具を作ることにしました。

左の写真は第2趾MTP関節背側脱臼が生じないように、
作成した固定具です。

しばらく脱臼しないように、こちらの固定具を使用していただくことにしました。

58才の女性です。

左第2趾MTP関節の痛みを訴えて来院されました。

約1年前に、左第2趾MTP関節に痛みが出現したそうです。

7ヶ月前に、第2趾MTP関節左の脱臼に気がついたそうです。

左の写真は初診時のものです。

赤色矢印で示した左第2趾MTP関節部分が突出していることがわかります。 

左の外観写真は足を正面から見たものです。

健側に比べて、赤色矢印で示した患側の左第2趾MTP関節は、
明らかに突出していることがわかります。 

左のレントゲンは初診時のものです。

赤色丸印で示した部分が第2趾MTP関節です。

関節の隙間がはっきりとわかりません。

また、患側では外反母趾が認められます。 

左のレントゲン画像は足を斜位から撮影したものです。

赤丸印の部分では、第2趾MTP関節の背側脱臼が確認できます。

左の動画は、足趾を屈伸させるだけで脱臼していることがわかります。

この方には、開帳足や外反母趾が認められ、
横アーチの低下も確認できたため、
足底板による処置を行いました。 

第2趾MTP関節背側脱臼は、履き物やRAによる足趾の変形、外反母趾などが原因で生じます。

しかし、脱臼してもすぐに自分で戻せてしまうことがほとんどです。

脱臼による痛みもあまりなく、違和感を訴えて来院される方がほとんどです。

痛みがある場合は、脱臼による痛みではなく、足趾が靴にすれていることが多いので、
足底板などで、靴に当たらないような工夫をすれば、痛みを取ることができます。

脱臼を根本的に治すには手術療法しかありませんが、
痛みが無かったり、足底板などで除痛ができれば、必ずしも手術療法を選択する必要はありません。

このような症状でお困りの方は、一度お近くの整形外科でご相談していただければと思います。