タナ障害(屈伸で膝がばきっと音がして痛い! )

膝の痛みの中で、曲げ伸ばしをしたときに生じるひっかっかり感や、
パキンという音を伴う疾患に「タナ障害」があります。

普段聞きなれなれない疾患名ですが、
このページでは、「タナ障害」について、
どんな疾患なのかをご覧いただきたいと思います。

左の図は、膝を曲げて正面から見た時の図です。

タナと呼ばれる組織は、
症状が出ていない人の膝の中にも存在し、
それ自体は障害の原因にはなりません。

しかし、スポーツなどで繰り返しストレスがかかり、
曲げ伸ばしの時に関節の間に挟まったり、
こすれたりして、炎症を起こすことがあります。

それが誘因となって、膝の曲げ伸ばしで、
痛みを伴う場合、
「タナ障害」と呼ばれる疾患になります。

左の写真は、
実際の膝の中を関節鏡で見たものです。

膝蓋骨と大腿骨の間に、
滑膜ひだが棚のように張りだして見えるので、
「タナ」と呼ばれています。

関節鏡ですぐわかるのですが、
痛みの原因となっているのでなければ、
そのまま放置しても差し支えありません。 

タナ障害を見つける方法は、
左の図のように膝の内側に親指を当て、
膝を曲げ伸ばしすると、
ポキポキという音とともに、
弾発現象が生じることで発見できます。

タナの形状には、主に左の図のように
a~dの四種類があります。

ピンク色で示した部分がタナと呼ばれるものです。

赤いラインのところで切って、別の角度から見てみると、
タナは膝蓋骨と大腿骨の間に割って入るように見えています。

aとbはタナが大腿骨にかかっていません。

しかし、cとdのように大腿骨にタナがかぶさってくるような場合は、膝の曲げ伸ばしのときにパチンという音とともに、
ひっかっかりが生じる原因となります。

治療としては、スポーツ活動などを中止して、安静を保ち、炎症が引くのを待てば、問題ありませんが、繰り返し痛みが生じたり、数か月にわたって痛みが引かない場合などは、関節鏡下での手術になることもあります。

以下で、実際の患者さんの症例をご覧いただきたいと思います。

31歳の男性、右膝の屈伸時に
弾発音と痛みがあったため来院されました。

赤矢印で示した部分で痛みや音が生じていました。

左膝と比べると、若干腫れているようにも見えます。 

タナ障害を疑って、MRI を撮ってみると、
赤色の○の中に見えるように、
タナが写っていました。

このタナの部分を関節鏡で除去することで、
完治しました。 

14歳の男性で、
クラブ活動中にランニング中、
右ひざ内側に痛みがあるので来院されました。

MRIを撮影した際に、
内側半月板の一部分に色調の変化があり、
半月板損傷があるのではないかと思われました。
 

同じ方の膝を別の角度からMRIで見てみても、
やはり半月板の変性を疑わせる所見がありました。

本人の訴えも、
膝の内側に強い圧痛があるということと、 
経過も長いということ、
膝の曲げ伸ばしの制限があるということなどで、
関節鏡手術をすることになりました。

実際に関節鏡で膝の中を見てみると、
dタイプのタナであったとわかりました。

半月板には明らかな断裂像はなく、
dタイプのタナが原因であったと考えて、
切除しました。

タナ部分の切除後、
タナは膝の中で浮遊してしまって、
曲げ伸ばし時にひっかる原因が解消されました。

術後の経過も良く、
運動時痛も無くなり、
スポーツに復帰されました。 

42歳、女性です。

テニスをするたびに膝の内側の
ひっかっかりと痛みを感じていました。

しばらく遠ざかっていると痛みは無くなるのですが、
再びテニスをするとまた痛みとひっかっかりが
再発するので来院されました。

MRIを撮ってみると、
赤矢印の先にタナが写っています。

この方も、内視鏡手術でタナを除去しました。 

38歳の女性です。

3年前よりジョギングを始め、マラソン大会にも参加するぐらい
競技力がアップしていたのですが、1か月前から走るたびに膝蓋骨の内側の痛みを覚えて、走るのが辛いということで来院されました。

日常生活には問題はないのですが、
精査のため、MRIを撮りました。

すると、赤色矢印の先にしめしたように、タナが見えました。
 

横から撮ったMRIでは、
半月板に少し色調の変化が見られますが、
本人の症状とは直接関係がないように思われます。

関節鏡で見てみると、
半月板は問題ありませんでした。

しかし、
タナ部分が赤く充血しており、
炎症をおこしていました。

ですので、そのタナの切除処置を行いました。

その後、経過も良くスポーツ復帰されました。 

42歳の女性です。

1年前に当院にて内側半月板の部分切除を行い、痛みは消失していたのですが、3週間前より就職され、立ち仕事をすることになりました。

すると、右膝蓋骨の内側に痛みを覚えるようになりました。

症状から、タナ障害を疑い、再び関節鏡手術を行いました。

1年前の半月板関節鏡の所見でも
d型のタナがありましたが、
その時点での痛みの直接原因ではなかったので、
タナは放置しました。

しかし、就職されて、
膝を酷使する仕事につかれたのが原因で、
膝に痛みが発生し、手術になりました。

このタナを切除することで、
痛みは消失し、仕事も問題なくできています。 

タナ障害は経過を見ることで、ほとんど症状が改善します。

痛み自体はひっかかりが生じた時に起こるだけなので、
仕事やスポーツ時に膝が常にひっかかって痛むということがなければ、
スポーツなどを中止して安静にすることで、
だいたいの場合は改善します。

しかし、長期にわたって痛みが出る場合には、
内視鏡下での手術でタナを除去すれば治ります。

上のような症状に御心当たりの方は、
一度整形外科を受診されることをお勧めします!