三角骨障害(つま先立ちで、足の後ろが痛い!)

踵周辺の痛みや足首周辺の痛みは今までお話してきましたが、
足首の後ろが痛くなる疾患に「三角骨障害」があります。

サッカーのシュート時や、バレエのポワントのように、
足が爪先立ち状態の姿勢になるときに、足首の後ろ側が痛くなります。

このページでは「三角骨障害」とはどういうもので、
どういう症状が出てくるのかということについて御覧頂きたいと思います。

下の図の赤丸で囲んだあたりに痛みが生じ、押さえると、強く痛みが生じる場合、
この「三角骨障害」を疑います。

下の3枚の写真は、爪先立ち状態の足を撮ったレントゲン写真です。

左端のレントゲンでは、つま先がしっかりと伸びています。

でも、真ん中と、右端のレントゲンは完全につま先が伸び切らなくなっていることがわかります。

真ん中のレントゲンの赤丸で囲んだ中央部を見ると、
白い小さな骨片が見えます。

右端のレントゲンでは、骨の出っ張りが赤い丸で囲んだ中央に確認できます。

このように足首の後ろにある骨片や骨の突起が足の関節部分で挟まってしまって、
炎症をおこし、痛みが生じたのが「三角骨障害」の病態であるといわれています。

上の図のようにボールをけったり、つま先立ちをするスポーツでは、
こういった足の姿勢を長時間することになり、
つま先立ちになった時に限って痛みが生じます。

また、捻挫などをきっかけに痛みが生じ、いつまでたっても痛みがなくならず、
よく調べてみると足の後ろが痛いということで、三角骨障害が見つかる場合もあります。

三角骨障害って足関節で何が起こっているの?

左の図は足首を横から見たものです。

いちばん上の正常な状態では、
足首の後方にある後突起は目立ちません。

しかし、なかには分節した後突起が存在したり、
大きく突出した形状の後突起が存在します。

足の甲を上に向けるような動作の場合は、
痛みはないのですが、
ボールをけるようなつま先立ちのような状態になると、
足首の後ろで痛みが生じるような場合は、
左の絵のような状況が起こっていることが考えられます。

つまり、三角骨がむこうずねの骨と踵の骨に挟まって、
痛みが生じることになります。 

左の図は足首の後ろを上から見た図です。

先ほど紹介した三角骨は、
外側結節と呼ばれる部分が分節したり、
大きく突出していることをいいます。

点線部分より後ろで分節しているケースが多く見られます。

三角骨障害の弊害として、
内・外の結節の間を走る長母趾屈筋腱が
炎症を起こすことがあります。

ですので、足関節の後ろ部分では
様々な疾患が起こる可能性があります。

以下で、実際の症例をご覧いただきたいと思います。

 16歳の女性、
クラッシックバレエをされている方です。

足の後ろの痛みを訴えて来院されましたが、
外反母趾もあったので、
両足レントゲンを撮影しました。

特に痛みを訴えるのは、
外反母趾部に体重をかけたときではなくて、
ポワントの肢位で足首の後ろが痛むことでした。

左足の後ろにはレントゲン写真で
赤色矢印の先に三角骨の存在が確認されました。

右足と比べると、三角骨が大きくなっていることがわかります。

患部に痛み止めの注射をすることで、
症状がとれたのでしばらく様子を見ました。

しかし、しばらくするとまた痛みが出てきたので、
手術を行うことにしました。 

左のレントゲンは、手術後の足です。

手術後は1週間ぐらい固定をして、
患部を安静にします。

上の写真の赤矢印の先にあった三角骨が
無くなっていることがわかります。

固定終了後は、直ちにリハビリをして、
1~2カ月ぐらいでもとの様に爪先立ちができ、
バレエの練習に戻ることができました。

左の写真は17歳女性、
クラシックバレエをやっておられる方です。 

4か月前から足の後ろに痛みがあって、
2ヶ月間休んでいましたが、
痛みがとれないので御来院になりました。

注射で足の後ろの痛みが消えましたが、
しばらくすると再び痛くなりました。

右足赤色矢印の先に
三角骨ができているのがわかります。

痛みのない左足のレントゲンでは、
足の後方に何も写っていません。 

長母趾屈筋腱炎をおこしているかもしれないので、
鑑別として、足の親指を動かして、
痛みが誘発されないことを確認して、
さらに局所麻酔をして、
足首の後ろの痛みが再びとれるかどうか、
確認しました。

結果、手術をすることとなり、
三角骨を取り除きました。

左のレントゲンは術後のものです。
足の後ろにあった三角骨が無くなっています。

術後リハビリをして、術後約2カ月ぐらいで、
徐々にバレエの練習に参加していただきました。

左の写真は21歳男性、
サッカー部の方です。

×印がつているところが痛いということで、
御来院になりました。

運動の後に足首の後ろが痛くなって、
徐々に腫れもでていました。

左右の足をつま先状態にして比較すると、
右足が左足に比べて、
奇麗なつま先立ちにならないことがわかります。

それはどうしてでしょうか? 

左に見える右足のレントゲンには、
赤色の点線で示した突起がでています。

良い方の左足のレントゲンの足首の後方と
比べると、違いが良くわかります。

CTで形状をさらに詳しく見たところ、
赤矢印の先に突起が大きく突出していました。

横から見た画像でも、
上の骨と下の骨に挟まるようにして、
突起部分が存在していました。

ですので、テーピングにより、
痛みが軽減するか、
様子をしばらく見ましたが、
痛みが変わらないので、
初診から3カ月後に
この突起部分を手術で 除去しました。

手術後のレントゲンでは、
足首後方の突起が消えています。

手術の所見で、突起部分の周辺では、
炎症性の変化があったので、
この突起が挟まることによって、
周りに炎症を引き起こしていたものとわかりました。

その後、痛みは消失して、
クラブにも復帰しました。 

足首の後ろの痛みは、アキレス腱の痛みかな~と思われたりすることが多いものですが、
捻挫をきっかけに痛みがなかなかとれなかったり、
強くひねったわけではないのに、いつまでも痛む場合は、
三角骨障害という可能性もあることを考えに入れておいていただきたいと思います。

今回は競技特性上、手術になってしまった例をあげましたが、
即手術というのは例外で、テーピングなどで保存するのがほとんどです。

足首の後ろが痛くて、つま先立ちがうまくできない場合には、
三角骨障害を疑ってみてください。

そして、なるべく早い目に、足の専門医に御相談ください!