バーナーペインについて

アメリカンフットボールやラグビーなどのボディコンタクトが多いスポーツいおいては、

よく「バーナーペイン」と呼ばれる故障が発生します。

 これは首が強制的に曲げられることで、肩から腕にかけて焼けるような電撃痛を発し、

上肢の痺れや脱力感などを生じた状態をいいます。

 当院では、この障害について某大学アメリカンフットボール部の部員を対象にアンケート調査を行いました。

このページでは発生頻度や原因をご紹介し、当院で行った予防方法についてご紹介させていただきます。

アメフトの試合中では、激しくぶつかり合うので、膝や足関節の他、頚部での障害が多くみられます。

左の図のように、首が強制的に過伸展した場合、片側が大きく圧迫され、もう一方は反対に過剰に伸ばされ、神経に損傷を受けることになります。

(Fourre M. etc  The physician and sports medicine: 53-55  1991より)

バーナーペインをおこす肢位とその発症機序は左の図のように分類されています。

Ⅰ型(牽引型)は外力を受けた方向と同側の上肢に痛みを覚えるもの。

Ⅱ型(側屈型)は外力を受けた方向の反対側の上肢に痛みを覚えるもの。

Ⅲ型(伸展型)は正面より外力を受け、両側あるいは左右のいずれかの上肢に痛みを覚えるもの。

発生頻度

バーナーペイン経験者数  81名中26名(32.0%)

内訳   1回生   3名(11.5%)
      2回生   5名(19.2%)
      3回生   7名(26.9%)
      4回生  11名(42.3%)   

試合や練習への復帰状況

当日に試合復帰      できた80.7%
            出来なかった19.3%

バーナーペイン後、頚椎の運動痛や上肢の痺れ・脱力感などの症状が消失するまでの期間

以上のような調査の結果から、試合復帰は当日に出来ているのがほとんどなのですが、
その後も、何らかの症状を持ちながら、症状回復まで2週間ぐらいかかっていることが分かりました。

重症例においては2ヶ月以上症状が消失するまでにかかっていたことも分かりました。

そこで、予防をするに当たり、
過去の報告例と比較して
現在の発生状況を比較検討してみました。

過去の報告との比較

1991年と1992年にわたり、報告した内容と、今回のアンケート調査の内容を比較しました。

以上の結果から、常に約30%前後の発生頻度があるようです。

 上の表から91年と92年ではバーナーペイン経験者数が減少していました。

それは、以下のような予防策が効果を発揮したからだと思われます。

バーナーペインに対する予防策

このブロックやタックルの仕方は通称「スペアリング」といいます。

昔は、ヘルメットを武器にして相手に立ち向かうこういった方法で、頚部損傷者(死亡者)が続出したので、こういうブロックやタックルは現在ではルール上禁止されています。

ですので、今現在、故意にこういうブロックやタックルをするプレーヤーはほとんどいないでしょうが、相手に体格的に劣るプレーヤーなどは、つい弾みでこういう姿勢でブロックやタックルをしてしまうことがあると思います。

しかし、こういう姿勢でブロックやタックルをすることは頚部損傷に直結し、非常に危険なので、絶対にやめてもらいたいと思います。

このブロックやタックルの仕方は「ハンドファースト」といいます。

従来の「ヘッドオンタックル」は危険なので、こういうブロックやタックルの仕方が現在の主流になってきています。

「ハンドファースト」では、手で相手を押し、額の部分が相手に当たるようにします。体の軸や重心を安定させた状態になるためには、頭を上げて背中を張り、頭から腰に掛けて真っ直ぐな姿勢をとります。

そうすることで、効率的に自分の力を相手に伝えることができ、脊椎の故障を防止することができます。

左の写真では、ヘルメットをかぶることで、防具がヘルメットとぶつかって頚椎の伸展を止めています。

こうすることで、故障を防止できることが分かりますか?

予防装具を使うことで、故障を予防することが出来ますが、選手のポジションによっては装具を着装することで、プレーがしにくくなる場合もあるので、選手とスタッフが話し合いながら防具の調整をする必要があります。

再発の予防

2006年の調査では、バーナーペインの経験者26名中23名(88.4%)がの再発予防に取り組んでいました。

その主な内容は以下のようです。(複数回答あり)



頚部筋力の強化     14名(60.8%)

ストレッチング       13名(56.6%)

装具の着用         8名(34.7%)

テクニックの工夫      3名(13.0%) 

 このようにの再発予防に取り組む選手自身の姿勢が積極的になるほど、

チーム自体も強くなり、ケガも予防できることが分かります。