第5中足骨基部骨折に対する初期治療法の検討

外傷性第5中足骨基部骨折は足関節を内反捻挫することにより発生する。そして体重がのることで第5中足骨基部に捻り応力が加わった上に、短腓骨筋腱の収縮作用によって骨片が引っ張られ生じる骨折である。     

本骨折は、日常診療でよく遭遇する骨折であるが、保存的治療においてさまざまな治療法があり、決まった治療法がない。

そこで、今回第5中足骨基部骨折に対して3つの初期治療を施し、各々の治療成績の比較を行った。

当院では、以前より第5中足骨基部骨折に対して足底板による処置を行っていた。

この治療法は踵部外側にウェッジシートを重ねることで第5中足骨基部に負荷を掛けることなく歩行が可能となるように考えた治療法である。

上の図のように踵から母趾方向に荷重を行うことにより骨折部を避けて歩行することが出来たうえ、全例骨癒合も得られていた。

しかし、十分な除痛が得られなかった症例もあり、それらの症例にはU字ギプス固定を試みた。

考察②

U 字ギプスは、足部の内外がえしを制御しつつ、(①)足関節の底背屈の動きはある程度許容される。

また、踵荷重を意識させることにより早期荷重と歩行が可能であった。(②)

諸家の報告で行われている。U字ギプス固定は、

早期荷重・早期歩行が可能であり、なおかつ衛生管理、精神的な苦痛軽減に有用であるとしている。

しかし、欠点として、腫脹によりギプス辺縁が軟部組織や骨折部を圧迫して疼痛が生じていた。(③)

そこで、当院では骨折部をあえて被覆しなかったため、圧迫痛を訴えた患者は確認されなかった。

また、ギプスの厚みで骨折部を免荷したことにより足底からの機械的刺激を軽減させたことも

疼痛を早期に軽減できた要因ではないかと考察する 。(④)

諸家の報告では疼痛軽減または消失までの日数が

平均32.5±9.8日(21〜56日)だったのに対し

当院では23.6±12.3(7〜28日) と諸家の報告と比較して短かった。

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