先のページでは、変形性膝関節症の症状や病態についてお話しましたが、
それらを少しでも予防し、膝を変形から守ることが必要です。
そこで、すでに膝関節痛のある方にお勧めしたいのが
膝周りの筋肉を鍛える運動です。
このページでは膝の痛い皆さんを代表して、Aさんにご登場いただきます。
Aさんが日ごろ困っていることや、これからどうしたらいいのか、先生に答えていただきます。
膝を動かし始めたり、階段を降りるとき、
膝が痛むんです。
痛みをとる何か良い方法はありませんか?
膝が痛いと、歩くことや運動することが、どうしてもおっくうになりがちですよね。
非常にお辛いだろうなと思います。
そういった変形性膝関節症の患者さんには「運動療法」をお勧めしています。
「運動療法」って言っても、ただでさえ膝が痛くて動くことができないのに、運動なんてできるんでしょうかねぇ?
それに、私は運動なんて若い頃以来やったことがないし…。
私にそんなのができるんでしょうか?
「運動療法」といっても、スポーツをするような、大変なものではないんですよ。
痛みを伴わず、ご自宅でも気軽にしていただけるものなんです。
痛い関節には負担をかけず、膝を支える筋肉を鍛えて、膝を保護する力をアップすることで、膝の安定化をはかるものなんです。
ですので、気軽にやってみてください!
気軽にやってみてくださいと言われても、どんなことをするのですか?
本当にできるのかなぁ?
「運動療法」は痛い膝には体重をかけず、寝たり座ったりした状態でできるんですよ。
お家でごろ寝して、テレビを見ながらでもできるんです。
とても気楽で手軽なものなんですよ。
どうです?
とにかく一度やってみませんか?
じゃぁ、ものはためし。
「運動療法」をやってみますか…。
先生ご指導よろしくお願いしますね~!
はい!
じゃぁ、一緒に「運動療法」がんばってやってみましょう!
運動療法
具体的にどんな運動をしたらいいのかを以下でご説明したいと思います。
寝た状態で膝を伸ばしたまま足を上げて、写真の状態にして2~3秒止めます。
再び足を下げて、また写真の状態まで上げます。
これは赤丸で囲んだ膝の前の部分の筋肉を鍛えています。
この運動のポイントは、足首を直角にしてから上げることです。
運動しない方の足は、写真のように曲げて置いてください。こうすると、腰が痛くなりません。
足自体を上げる角度はそんなに上まで上げる必要はありません。
写真で赤丸で囲んだ部分の筋肉を意識して行いましょう。
回数は、10回を2~3セットを朝晩行ってください。
今度は横向きに寝て足を上げます。
ベッドと足が水平になるぐらいで2~3秒静止します。2~3秒静止したら、足を下ろします。これを繰りかえします。写真の赤丸で囲んだ部分の筋肉を鍛える運動です。
この運動のポイントは、足を上げ過ぎないことです。
上げた足が床と水平になるぐらいで十分です。
足を下ろすときは、心持ゆっくりとおろす方が効果的です。上の写真の赤丸で囲んだ部分を意識して行ってください。
この運動は膝だけに限らず、股関節の疾患の方にも有効です。
回数は10回を2~3セット朝晩行ってください。
次はうつぶせになって、足を後ろに上げます。
上げすぎると腰に負担がかかるので、床から10cmぐらいの高さで足を上げ、2~3秒保持します。これも2~3秒保持したら、足を下ろします。これを繰り返します。これは、写真の赤丸部分の筋肉を鍛えています。
この運動のポイントも、足を上げすぎない事です。
上げすぎると、腰をそらすことになりますし、体が傾いて狙っている筋肉の運動になりません。
やりにくい方は、枕を使わずに、掌を広げて額にあて、あごを引く形にして床にうつぶせ状態になって行ってください。
写真の赤丸で囲んだ部分を意識して行ってください。
回数は10回を2~3セット朝晩行ってください。
今度は椅子に座って、ボールや枕などを膝にはさみ、つぶしていきます。つぶした状態で2~3秒保持します。それを繰り返します。これは内腿の筋肉を鍛える運動です。
どんなことをするのかわかりましたけど、
先生、この運動を一日何回ぐらいやったらいいんですか?
できれば、それぞれの運動を10回を2~3セットやってくださいね。
それを朝と晩に分けてするとより効果的ですよ。
なれないうちはきついと感じることもあるかもしれませんが、テレビでも見ながら寝転んで気楽にやってみてください。
テレビ見ながらでもできるんなら、やれそうな気がしてきましたよ!
先生!がんばってみますわ~!
Aさん!その調子ですよ!
効果が出るまで2~3ヶ月ぐらいかかると言われていますので、気長に毎日続けてみてくださいね!
一緒にがんばって行きましょう!
何か質問などがあったら、気軽にスタッフに声をかけてくださいね!
運動療法は継続して行うことが大切です。
無理せず、気楽にテレビでもみながら日常生活の中に取り入れてみてください。
継続して行えば、2~3ヵ月後には、今までとは違った安定感が膝に出てきます。