腱鞘炎に対する注射はこうして工夫しています!

ばね指や、ドケルバン病に代表される、いわゆる腱鞘炎に対する注射は、
痛み止め(ステロイド注射)をすることで、一時的に痛みから解放することができます。

しかし、患部に直接注射をするというのは、患者さんにとっては非常に苦痛であり、あまり評判が良くありません。

医師側も、ためらう場合もあります。

そこで、当院では、ばね指やドケルバン病のように腱鞘内に注射を打つ場合には、
できるだけ痛みを少なくする工夫をしております。

その工夫について、以下で御説明したいと思います。

腱鞘注射:ばね指の場合

27ゲージ針によって、手根管への麻酔剤を注射します。

このとき正中神経にささらないように注意をはらっています。


10分後、腱鞘内へのステロイド注射を行います。

先の麻酔剤が効いているので、ほとんど痛みは感じません。

このような順番で注射を行う理由は・・・

左の図は、上の写真で示した手根管への麻酔剤注射をイメージしたものです。

手根管内部には、腱鞘滑膜と正中神経が通っており、
ここに麻酔剤を注入することで手掌の方まで浸潤していきます。

そうすることによって、注射を打つ指の痛みが緩和され、
患者さんにより楽に注射を受けていただくことができます。

腱鞘注射:ドケルバン病の場合

まず、第1区画の中枢部皮下に27ゲージの注射針を用いて、
橈骨神経浅枝の麻酔をします。


5分後、短母指伸筋腱鞘へステロイド注射を行います。

先の麻酔剤が効いているので、ほとんど痛みは感じません。

このような順番で注射を行う理由は・・・

第1区画周辺の感覚を司る神経は、左の図にある橈骨神経の浅枝です。

主に、この神経は左の図に示した神経の走行部の領域を担当しています。

そこに注射を行うことで、この領域全体に麻酔をかけることができます。

そのうえで、左の図に示した短母指伸筋腱の腱鞘へ注射することで、
注射を打つ区画の痛みが緩和され、
患者さんに、より楽に注射を受けていただくことができます。

上で御覧いただいたように、局部へ直接注射をする前に、
周囲への麻酔をすることで、痛みの緩和をはかり、
そのうえで注射をおこなっております。

注射はいやだという患者さんのお気持ちに添えるように工夫をしておりますので、
腱鞘炎でお困りの方は、一度当院まで御相談ください!

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