足がしびれるのに自転車こぎ運動をしても大丈夫ですか?(腰部脊柱管狭窄症編)

大丈夫です! むしろ、足の運動として動かしていただくほうが良いと思います。

デイサービスの機能訓練中で時には、足がしびれて困っておられる方や、
普段歩いているとだんだん足がしびれてきて歩けなくなるといった訴えで困っておられる方もいらっしゃいます。

そういう方々は、「確かに運動が大切なのはわかっているけれど、運動しすぎて痺れ感が強くなるのでは?」
ということで心配しておられるようです。

そこで、このページでは、足がしびれたり、痛くて歩きにくくなる方でも十分にできる運動をご紹介していきたいと思います。

今回は、高齢の方の疾患として多くみられる「腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)」にフォーカスしてお話したいと思います。

腰部脊柱管狭窄症って、どんな病気でしょうか?

背骨は椎骨という骨が積み重なってできていますが、その椎骨にある空間が積み重なってできるトンネルが脊柱管です。

上の図の青い丸で囲んだ部分を縦割りにすると青丸の図のようになっています。

腰椎の脊柱管には、馬尾と呼ばれる神経の束が走っています。

赤い丸で囲んである図では、脊柱管の中を走る馬尾が圧迫されています。

さらに、緑丸で囲んである図のように、伴走している神経栄養血管をも圧迫を受けてしまって、
血流が悪くなってしまいます。

このように、脊柱管が狭窄される文字通りの疾患が腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)です。

なぜこんなことが起こるの?

上の図の左側は、正常な脊柱管の周辺を示したものです。脊柱管内を馬尾神経がスムーズに通っているこのがわかります。

しかし、図の右側にあるように、加齢に伴って脊柱管周囲の靭帯が肥厚したり、骨や関節が変形したりすると、
脊柱管の幅を狭くしてしまうところが出てきます。

そこへクッション性を失ってきた椎間板が突出したり、椎体そのものが棘を形成することで、より脊柱管が狭くなってきます。

上の図の右側の脊柱管を輪切りにした図にもあるように、
狭くなっているトンネルの中を窮屈そうに神経が通っているのがわかります。

神経は枝分かれして、下肢の方へと走っていき、足先の方まで伸びていくので、
狭窄されてしまうと、下肢に症状が出てきます。

どんな症状が出るのかといいますと…。

歩いて、休んで、また歩く
間欠性跛行(かんけつせいはこう)

普段は何ともないのに、歩きだすと足がしびれて歩けなくなったり、歩きにくくはなるけれど、
前かがみになって休憩するとまた歩けるようになるという症状が腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)に見られます。

これを間欠性跛行(かんけつせいはこう)といいます。

この症状が出るのには、理由があります。

上の図は、姿勢別に見た脊柱管の状態を表したものです。

左のように、前かがみいなった状態では、馬尾(ばび)神経の通り道はスムーズになっています。

しかし、右のように腰をそらすような姿勢では馬尾神経の通り道は、ところどころに狭窄されるような形になってしまいます。

歩き初めてから、しばらくすると、後屈状態のように脊柱管が周囲を取り巻く組織の圧が高まります。

そこで、一旦前かがみ状態を作って、休憩することで、再び歩けるようになるわけです。

そこで、少しでも休憩なく長く歩けるようにするためには、押し車やショッピングカートを押すような姿勢を保つとか、
自転車に乗る姿勢のように、やや前傾気味の姿勢を保てば足の痺れ感は少なくて済みます。

高齢の方々が、歩行器を押しながら買い物に出かけるという姿勢は、長く歩くという点で非常に理にかなっているのです。

では、どういうトレーニングが良いでしょうか?
エアロバイク


自転車こぎのような運動は、前傾姿勢を保ちながら、足の運動ができるので、最も有効です。

図で示したように、自然な形で前傾が保てるので、痺れ感が悪化することなく、長時間下肢を動かし続けることができます。

連続して下肢を動かし続けるので、持久力の改善にもつながります。

こういった点で、下肢のしびれ感が気になる方でもエアロバイクをこぐことは十分にできると思います。

ウオーキング

https://www.youtube.com/watch?v=rhUB2TT98Ug

普段、足がしびれて長く歩けなくて困っている方でも、やや前傾姿勢を保った状態で、歩くことさえできれば、十分にウオーキングマシーンに乗れます。

上の動画の方のように、手すりを持って安定した姿勢を保ったまま歩いていただくと、
手押し車を押しながら歩いているのと同じ状態になるので、痺れ感なく歩くことができます。

動画に出ていただいている方も、実際には日頃は歩行器を押して外出しておられます。

ストレッチング

色々なストレッチがありますが、下記のストレッチは簡単で効果的です。

腰部脊柱管狭窄症では、腰をそらすような姿勢はNGです。

では、できるだけそういう腰をそらさないような姿勢を作るにはどうしたらいいのかというと・・・。

片方の膝を抱え込んできて、反対側の足は逆に伸ばしていくようにすると、股関節の前面を走る腸腰筋が伸ばされます。

腸腰筋がストレッチされることで、骨盤の前傾が少なくなり、それに伴って、腰椎の反りも小さくなってきます。

結果として、腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)を誘発するような姿勢を作りにくくすることになります。

ストレッチをするときには、10ぐらい数を数えながら、息を吐き、リラックスして行ってください。

体幹トレーニング

上の写真にあるように、背中が曲がって猫背の姿勢は背筋が伸ばされて、背中の筋肉が疲れてしまいます。

また、腹筋が使われないので、腰骨を支える力も失われます。

一見、前屈姿勢なので、腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)にはうってつけの姿勢に思えますが、
長くこの姿勢が続くことはよくありません。

それは、脊柱自体を支える力がなくなってしまうからです。

そこで、ある程度脊柱を支える力をつけるためのトレーニングが必要になってきます。

上の写真にあるように、ボールに乗って、少し姿勢を正すだけでいいのです。

そうすることで、下腹部に力が入り、腹筋の力を脊柱を支える力に変えます。

結果として、脊柱を安定した状態に保つので、腰椎へ余計な負担がかからなくなります。

お家にボールがない場合には、背もたれつきのいすにボールをのせて座って、上の写真と同じようにしてみてください。

理にかなった姿勢や、やり方をすれば、運動しても足のしびれ感や、痛みなどはあまり出ません。

運動される方、一人ひとりの状態をちゃんと理解して、
スタッフが運動の指導をさせていただきますので、
安心して、運動してくださいね!

PAGE TOP