人はどこでも痛みを感じるものですが、
部位によって感じる痛みが違うということもあると経験上知っていますよね?
実際に、注射をする部位も、痛みが少ないところを選ぶことで、
注射時の痛みを軽減することができます。
では、痛くないところというのはどういったところなのでしょうか?
このページでは注射してもあまり痛くない場所について御説明していきたいと思います。
上の図は、大脳皮質と、体の感覚野の関係を表した図です。
人の体の絵が大きく描かれているほど、感覚が敏感です。
一方で、上腕、体幹、大腿部は皮膚面積が広い割に感覚の受容器が少ないことがわかります。
すなわち、それらの部位では、痛覚神経が少ないので、注射の痛みを感じにくいと言えます。
上の図は、「ホムンクルス」と呼ばれる人体の模型図です。
脳側頭部の感覚野と運動野の結合密度の状態を考えて作られたものです。
すなわち、大きく示されている部分ほど感覚が敏感で、運動に関しても繊細な動きができることを表しています。
赤い丸で囲んだ部分は、感覚が鈍いところであるともいえますので、
こういった場所に注射するのが適していると言えます。
上の図は、感覚神経が脊髄の後根へ入っていくルートを示した図です。
触感覚や、温度感覚の他、筋肉の収縮に関する情報はそれぞれのルートを通って脊髄へ入っていきます。
同じく、痛みの感覚も別ルートで脊髄へ伝わっていきます。
それらの感覚器が皮膚にどのように位置しているのかを示したのが下の図です。
痛覚の受容器は表皮の部分に位置して、小さな枝を出して分布しています。
体の部位によって痛覚受容器の分布が違っています。
ですので、まず、痛覚受容器の分布が低い体の部位を選び、
さらに細い針を使って注射をすれば、痛覚受容器に触れる確率が低く、
注射をしても痛くない確率が高くなると考えられます。
上の写真は、肩関節への注射をしているものです。
肩関節腔内に注射液を入れたいのですが、
実際に痛みを訴えている関節の前方付近に注射をしたのでは、感覚神経が多いため痛みが強く出ます。
したがって、感覚神経が少ないと考えられる後方部分からアプローチすることで、
痛みの少ない注射が可能になります。
では、実際の注射の工夫はどういったものなのでしょうか?
もう少し詳しく他のページで御紹介していきたいと思います。