リウマチ性多発筋痛(高齢の方にみられる筋肉の全身性の痛み)

高齢の方に見られる急性に発症する、筋肉の痛みや、こわばりなどが生じる疾患があります。

筋肉痛だと思っていて放置していて、いつまでたっても筋肉痛やこわばりが取れないといった症状がでる場合、
「リウマチ性多発筋痛」が考えられます。

聞きなれない疾患ではありますが、
このページではどういった疾患なのか事例を紹介して、
こういった病気もあるのかという認識を持っていただきたいと思います。

リウマチ性多発筋痛は高齢者に急激に発症する体幹および腕や足の付け根に近い部分での筋肉の痛みを主な状とする疾患です。

「リウマチ性」とありますが「関節リウマチ」とは違う疾患です。

この疾患はほとんどの例が50歳以上で発症し、
60歳代、70歳代と高齢になるにつれて発症頻度が高くなるといわれています。

病気の原因は不明で、遺伝的な問題での原因が研究されていますが、
明らかではありません。

筋肉の痛みの出る場所は上図の赤い□で囲んだ首、肩、腰、大腿部に多く見受けられます。

その特徴は両側対称性に痛みとこわばりが出ることです。

急激に発症する場合が多く、朝に痛みが強く出ます。

患者さんの血液検査のデータをあらわしたものが上のグラフです。

血液検査のデータの中で注目する項目はCRPと赤沈値です。

上の経過のグラフは両肩、両大腿部の痛みを訴えておられた患者さんのデータです。

12月の終わりごろには痛みがあって、血液検査も行ったのですが、
それほどCRPの値は高くありませんでした。

痛みが強くなって、再び血液検査をした2週間後に再び血液検査を行ったところ、、
CRP値は急激に上昇していました。

このように、炎症を示す数値が高いとき、
症状としては発熱や全身倦怠感を伴っています。

すぐにステロイド剤を投与することで、
1週間後には安定した数値に戻りました。

このデータからもわかるように、
ステロイド剤を投与すれば、著しく症状が改善するのがこの疾患の特徴の一つです。

リウマチ性多発筋痛症の診断基準は、以下の表を参考にしています。

リウマチ性多発筋痛症は特別な検査というものはありません。

ですので、この判定基準はあくまで参考にしますが、これが全てということではありません。

血液検査の結果や、臨床症状、プレドニゾロンなどのステロイド製剤の反応性などから、総合的に判断します。

以下で、実際の患者さんの症例をご覧いただきたいと思います。

左の写真はある患者さんの検査結果です。

72歳の女性で、1ヶ月前より両手、両肩、両太ももの痛みが出てきました。

最初は経過を見ていましたが、あまりにも痛みが変わらないので、血液検査を行ったところ、上の表の白血球数や、
好中球などの数値が高くなっていました。

特に赤で囲んだCRP値は高い値を示していました。 

ですので、ステロイド剤の投薬を開始しました。
ステロイド剤の投薬によって著しく改善するのがこの疾患の特徴です。

いつまでも筋肉痛やこわばりが取れない、
熱っぽくて怠いなど、思い当たる症状がありましたら、
一度血液検査を受けてご覧になることをお勧めします。

早く血液検査を行って
検査結果に基づいて、ステロイド剤の投薬を受ければ、
早く症状は改善します!

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