関節リウマチは日常生活に支障を来す疾患としてよく耳にする疾患ですね?
デイサービスをご利用になっておられる方々の中にも、関節リウマチが原因で要介護認定を受けておられる方もいらっしゃいます。
関節リウマチという言葉を聞くと、関節を動かすと悪化するようなイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
実は、関節リウマチの患者さんでも、トレーニングをした方が良いと考えています。
このページでは、なるべく関節に負担をかけずにできる運動をご紹介していきたいと思います。
関節リウマチとは?
関節リウマチは自己免疫疾患の一つです。
本来は、自身の身体を外敵から守るための細胞が何らかの異常をきたして、
暴走してしまい自分の身体を攻撃してしまう疾患です。
標的となった関節の軟骨が破壊されてしまい、その結果、関節自体を壊してしまうことになります。
上のレントゲン写真にあるように、関節の軟骨が破壊されてしまい、関節の隙間が消失してしまいます。
このような状態にならないように、近年、関節リウマチの治療は、早期に発見して、
関節破壊を未然に防ぐことが可能となってきています。
上の図にあるように、関節破壊の進行は、発症してから約2年ぐらいの間でピークを迎えます。
そこで、早期発見・早期治療を、この2年の間に始めることで、後の関節破壊をできうる限り防ぐことができると考えられています。
その結果、関節リウマチの予後は良好になってきています。
現在では、10年以上がたった時点で、たとえ関節破壊があったとしても、痛みを和らげたり、
日常生活が滞りなく過ごせるようにコントロールできる方法があります。
関節リウマチで痛みがあっても運動して大丈夫!?
「関節が痛いのに、運動しなさいといわれても、関節を動かすと痛みがあるので、やめておきます!」
とおっしゃる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、関節リウマチによって関節破壊が生じた方であっても、
今から先のより良い生活を目指して、ご自身の状態をより良くするためにやっていただきたいことがあります。
ただ闇雲に運動をするというのではなく、ご自分でコントロールしながら運動していただければ、
身体機能を維持することができます。
注意点としては、
①頑張りすぎないこと。 |
②次の日に痛みが残らないような運動負荷で行うこと。 |
③関節の腫れが増強していないかを確認すること。 |
④首を前後屈するような運動を激しくしないこと。 |
⑤関節のこわばりが翌日に出ていないかを確認する。 |
以上のような点が上げられます。
また、運動する前にお風呂に入って関節を温めて、リラックスした状態で行うとさらに効果的です。
ただし関節の炎症上がるときには、温めてはいけませんので、注意が必要です。
関節に負担をかけない運動の方法Ⅰ(ストレッチ)
ストレッチの注意事項!
頸部の前後屈は、注意してください!
上のレントゲン画像は頸部を前後屈したときのものです。
関節リウマチによって、頭部を支える関節の部分で緩みが生じています。
緩みが生じたままで、前後屈すると、関節が不安定になって、神経を傷害する恐れがあります。
関節リウマチを罹患して長期の方の場合は、特に注意が必要です。
関節に負担をかけない運動の方法Ⅱ(ボールエクササイズ)
上の動画は関節がスムーズに動かせて、なるべく痛みを誘発しないように加減しながら行います。
痛みが生じる運動は、我慢しないで休憩していただいて大丈夫です。
スムーズな動作を獲得するための方法(チューブエクササイズ)
股関節の周辺の筋肉を使うトレーニングです。
座って行うので、関節への負荷も少なくてすみます。
もも上げを意識したトレーニングです。
チューブの負荷をかけて太ももの全面の筋力を鍛えます。
膝伸ばしを意識したトレーニングです。
座って行うので、膝への負担も軽くてすみます。
足首周りの筋力を使うトレーニングです。
座って行うので、足関節への負担も少なくてすみます。
上腕や肩甲骨周囲の筋肉を使うトレーニングです。
チューブの強弱は自分で調節ができるので、痛みなくできます。
手首周辺を鍛えるトレーニングです。
関節への負担を軽くするために、手を膝の上に置いて行います。
肘関節をスムーズに動かすためのトレーニングです。
肘の可動域制限がある場合には、痛みのない可動範囲で行います。
関節リウマチが原因で関節が変形した方でも、日常生活の動作の中では、
掃除や調理などやらなければならない動きがあります。
少しでもそういった、日常生活での動作がやりやすくなっていただけると良いなと思っています。
痛みを我慢せずに、つらいときは正直に「つらい!」とおっしゃってくださいね。
症状にあった運動をスタッフと一緒に探しながら、ご自分に合う運動をやってみませんか?