靴を選ぶとき、サイズよりも見た目やデザインを重視して買うことが多いかと思います。
しかし、スタイリッシュなインポート物の靴は足幅の狭い靴や、アッパー部分が低くなっている物が多いため、
日本人の足には合わないことがしばしば見られます。
デザイン性を重視して、自分の足に合っていない靴をはき続けると、足の変形が生じてきたり、痛みが出てきたりします。
以下で、実際にそのような靴の障害によって、母趾や小趾の付け根が痛くなっている症例をご覧いただきたいと思います。
18歳の男性です。
2年前より、ずっと小趾の付け根が痛かったそうです。
サッカーをされており、サッカーをしているときに痛くなるとのことでした。
左の写真は初診時の外観です。
赤色矢印でしめした両方の小趾の付け根の部分が痛くなるそうです。
左の写真は初診時のレントゲン画像です。
足幅が広く、赤色矢印で示した両方の小趾の付け根部分に当たる
第5中足骨骨頭が大きいタイプである内反小趾であることがわかります
左のレントゲン画像は、靴を履いた状態で撮影した物です。
痛いと訴えている赤色矢印の小趾付け根部分は、靴と接触しており、
ここが靴によって圧迫され、
すれて痛みが出ているのではないかと判断しました。
実際にサッカーで使用しているスパイクを持ってきていただいて、
履いていただいて確認しました。
赤色矢印で示した部分で靴が膨らんでいて、
靴と小趾の付け根が当たってすれていることがわかりました。
足幅の狭いサッカーシューズを履いていたために
靴擦れを起こしていると判断できましたので、
幅の広いサッカーシューズに変えていただくように指導しました。
30歳の女性です。
両足の母趾と小趾の付け根の痛みを訴えて来院されました。
3ヶ月前より、キャビンアテンダントの仕事を始めてから、
痛みが出現したそうです。
左の写真は初診時のレントゲン画像です。
赤色矢印で示した部分に痛みを訴えておられます。
左の写真は仕事で履いておられるパンプスです。
この靴を履いて仕事をしていると、痛みが出るそうです。
よくお話を聞くと、
ご自身でお持ちのスニーカーなどを履いたときには痛みは出ないそうです。
左の写真はパンプスを履いているときのレントゲン画像です。
上の1枚目のレントゲン画像と比べると、足の形が違って見えます。
また、赤色矢印で示した部分が靴に当たっていることがわかります。
靴と足の幅を比べてみると、
靴の幅が足の幅に比べてかなり狭いことがわかります。
しかし、仕事上この靴を履かなければならないという規則があり、
足に合っていない靴を履かざるを得なくて、
痛みが出ているということがわかりました。
原因がわかったので、会社に靴について相談していただくようにしました。
母趾と小趾の付け根が痛いという場合には、
デザイン性にとらわれて、自分の足幅に合っていない靴を選んだり、
仕事や、学校の制服として支給されている靴が足幅に合っていないにも関わらず履かざるを得なくて、
足が痛くなっている場合が多いように思います。
できるだけ、靴を選ぶ優先順位として、デザインではなく、締め付けられるような感覚がなく、
自分の足幅に合っている物を選ぶようになさることをお勧めします。
また、お仕事や学校で制靴として指定されている物が、ご自分の足に合わない場合には、
一度、お仕事先や学校に、ご自分の足に合う物を履かせていただけるようにお願いしてみてください。
正しく靴を選ぶことが、足の痛みをとる最適な治療方法です。
この「靴障害シリーズ」のページをご参考にしていただければと思います。