有痛性分裂膝蓋骨の手術療法 (分裂骨片摘出術)

有痛性分裂膝蓋骨は、保存療法で癒合が可能であることを前2ページでご紹介しました。

年齢的に骨癒合が難しかったり、何度も繰り返し同じ症状が出てくる場合には
手術を考えた方がいいかもしれません。

以下に、当院で手術療法を行なった場合の症例をご紹介します。

有痛性分裂膝蓋骨は、保存療法で癒合が可能であることを前2ページでご紹介しました。

年齢的に骨癒合が難しかったり、
何度も繰り返し同じ症状が出てくる場合には
手術を考えた方がいいかもしれません。

以下に、当院で手術療法を行なった場合の症例をご紹介します。

同じ方の膝を立てて、撮ったレントゲン写真です。

右左ともに分裂部分があることが分かります。

実際に痛みを訴えているのは左の膝です。
しかし、右膝にも潜在的に分裂がみられます。
(自覚症状は右膝にはありません。)

左の膝の痛みが何度も繰り返してみられ、
そのたびにスポーツ活動を休止していたので、
手術適応となりました。

左の写真は術後10日めのレントゲン写真です。

骨片がなくなっているのがわかります。

手術の翌日からリハビリテーションを始めます。
松葉杖歩行から始めて、
足首や股関節などの固定されていない関節を
積極的に動かしていきます。

術後2週間ぐらいになると、
膝周囲筋の筋力トレーニングを積極的に行ないます。

太ももの筋肉がやせていくのをおさえることを目的に
リハビリを行ないます。

術後約1ヶ月ぐらいで軽いジョギングを始め、
術後2ヶ月ぐらいでスピードをあげた
ランニングができるようになります。

実際の野球の練習は、
術後痛みの程度を診て2~3ヶ月で復帰となりました。


左の写真は、15歳の野球部所属の男性です。

数年前から分裂膝蓋骨という診断が出ていて、
痛みが生じたときにはストレッチをしたり、
一時期は固定療法も行っておられたそうです。

今までの他院での治療方針は運動を休んだり、
痛みが強くなった時には無理をしないで様子を見るということで、野球を続けておられました。

しかし、今後も野球を続けたいということで、
シーズンオフのときに、
今後の治療について当院に相談しに来られました。

さっそく分裂部分を詳しく見るためにCTを撮ってみました。

別の角度から見てみると、明らかに分裂骨片の離開が見られ、骨片の辺縁も丸みを帯びているので、
分裂してから時間がたっていることもあり、
固定療法で癒合することは難しいであろうと考えました。

治療としては、分裂骨片を摘出する手術を行いました。

術後は、近隣の当院リハビリスタッフOBの整骨院で
リハビリを行い、
手術後1カ月ぐらいで、
軽いジョギングができるぐらいまで回復し、
その後痛みもありません。

現在経過を見ています。

痛みが出だしてから時間が経っていて、何度も痛みを繰り返しているようなケースでは、
分裂部分での骨癒合能力はほとんどないものと考えます。

ですので、こういった場合には、やっているスポーツのシーズンオフを見計らって、
手術をするという方向で考えています。

術後は、完全に固定するのではなくて、腫れと痛みが引いて、動かせる状況であれば、
術後1週間~10日ぐらいからは固定を外して、動かすことも徐々に始めていきます。

スポーツへの復帰には2~3か月の時間を要しますが、競技種目によっては治療期間が前後します。

有痛性分裂膝蓋骨でお悩みの方は、当院まで、お気軽にご相談ください!

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